建築家、食を語る。「お寿司の話」
いやさっき、ホント超下らない極みのお寿司屋さん絡みのネタを見てしまった笑(筆者註: 例のラウンジレディーの事案が盛り上がった時期に書かれたテキストです)。
せっかくの機会なので、お寿司の話でもいたしましょう。
まず、お寿司はファストフードである。
トロなんかをありがたがって食べるのも最近の話で(ってオマエ明治生まれか⁉笑)、
客単価数万円の寿司屋なんかは歴史が超浅い。
また、京都なんかから見たら「江戸前」なんてジャンクフードである(寿司とか天ぷらとか)。
私はそんな「ファスト&ジャンク」なお寿司屋さんを心から愛している。
私の好きなお寿司屋さんは「金太楼寿司」で、
浅草馬道店は「江戸派」の天国である。
そしてこれは自信をもって申し上げるが「寿司とワインは致命的に合わない」。
そんなことするのは(&始めたのは)「バブルの残党」だけである。
私は行きつけの美容院のあとに必ず恵比寿のアトレの寿司屋で昼食を取るのだが、先日も白ワインを傍らに寿司を食する成金ばあさんが居た。
あ!今思い出したのだが、中目黒の客単価1万円の某ワインバーで「常連客が焼酎をこれ見よがしに注文する」光景を目撃した。
そのお下品な常連は「オレはこの店の常連でござい!」とアピールするためにわざわざワインバーでゲテモノ(焼酎がゲテモノ飲料である話はまた別の機会に)を注文していた。
それにへえこら従う店主も店主だし、そんな下品な常連がたまる「お店の民度の劣化」も含め、
その店とはその焼酎事件の直後に縁をおきりした。
と話がそれたが、
要するに「飲食店での振る舞い」は、
その人の「氏素性」が顕わになるのである。
私のポリシーは「身の丈に合わないお店には行かない」である。
私はヨーロッパの貴族でも、天皇家の親類でも無いので、己の氏素性である「駿河の商人」の枠組みからはみ出さない振る舞いを心がけている。
この世界の全ての「下品」は、
「自分の置かれた階級以上の振る舞いをしようとする人間」である。
「田舎出身なのに東京で我がもの顔をする」のも「階級以上の振る舞い」に当然含まれる。
と、お寿司屋のお話で一本書いてみた。
と暫くして、
「町鮨(by 『dancyu』)』のメッカ、
浅草の「金太楼鮨馬道店」を久々に訪れた。
ここのキャスト(客)は最高だ。
この日は芸妓のお姐さんがたが朝11時半からカウンターでつまみながら呑んでらした。
前回はここで「新政府」という言葉を学んだ、
年配の姐さんがやたらと「新政府の連中は!」とお怒りのご様子、
聞き耳を立てていたら、どうやらそれは、
「薩長による明治政府」の事だと判明した。
私は飲んでた日本酒を吹き出しそうになった。
(ああ、これが江戸っ子の心意気か、、)と感服しつつ、カウンターで刺身をつまみながら呑むお酒は極上である。
「お寿司屋さん」とは、その人の「身の丈」である。
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