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ルソー『社会契約論』を読む

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過去に執筆した記事のうち、『社会契約論』の紹介をした記事がまとめてあります。
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#語学

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

 これまで、本編を14回、号外を2回と、計16回もの間にわたって『社会契約論』を読んできました。いよいよ今回が最終回です。さっそく内容を読みましょう。

本題に入る前に この「市民宗教について」と題された章は、事実上、『社会契約論』の最終章といって良い位置づけになっています。厳密に言えば、「結論」と題された章がこの次に続きますから、最終章ではないのですが、そうした形式的な意味ではなく、この章の内容

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美しきルソー

美しきルソー

 前回の記事で、『社会契約論』第二篇第十一章が「美しい」という話をしました。今回は、なぜあの引用箇所が「美しい」のか、を見ていくことにします。

前回の記事はこちら

 というのも、前回、

と言ってルソーの引用をしたのですが、その引用直後に、

とまさかの「説明なし」のまま、ただ美しさを讃美するだけで終わっていたからなのです。今回は、しっかり説明します。

美しいルソーの文章・・・ね。美しいでし

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ルソー『社会契約論』を読む(8)

ルソー『社会契約論』を読む(8)

 今回は第二篇第十一章から。

第十一章 立法のさまざまな体系について ルソーの『社会契約論』を解説するこのシリーズ。・・・ですが、この章だけは解説しません!!

 この章は、解説してはいけないのです。(なんでやねん)

 そう、あまりにも美しい文章なのです。だから、私の拙い解説は「邪魔」です。彼の文章の美しさに、私の解説を釣合わせることは到底できません。ということで、ぜひここだけでもいいので、『

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ルソー『社会契約論』を読む(4)

ルソー『社会契約論』を読む(4)

 今回からは第二篇です。さっそくどんどん読んでいきます。

 今回は、民主主義の提唱者ルソーの思想の核心に迫る、まさに「神回」です(自分で言うんかい)。

第一篇のおさらい まず、第一篇で語られた「社会契約」について、いま一度確認しておきましょう。

主権は「譲渡できない」 さて、これまでの議論から導き出されることを、ルソーは次のように語ります。

国家はそもそも、公共の福祉を目指して設立されたも

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