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電波戦隊スイハンジャー

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神も仏も小人も天使も異星人も暴れるヒーロー戦隊もの
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#ツクヨミ

電波戦隊スイハンジャー#114

第七章・東京、笑って!きららホワイトプロローグ「Tokyo,japan!」

そこは夜も昼も、無き場所である。

ひとりの若者が瞑想するかのようにカードを丁寧に切ってテーブルの上に広げていた。

銀髪に銀の瞳の、明らかに異星人高天原族の特徴を持つそれはそれは美しい若者は、やがてすうっと目を開き「よし」と一枚のカードを選んでめくった。

はっ、と若者は一気に胸中の吐き出し「これはいけないわ」とまだ寝

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電波戦隊スイハンジャー#115

第七章・東京、笑って!きららホワイトPrincess KAGUYA1

遡って、早朝5時39分青木が原樹海。

ご来光を浴びた美しい富士山を左背後に、

藍地に銀の星座模様の刺繍を施したパワースーツを着たツクヨミ王子が時速150キロで昏い森を駆け抜ける。

シャトルを樹海の地下深くに隠したから見つかる事は無いわね。

ま、光学迷彩とトラップで磁界狂わせまくっているのは私の仕業なんですけどー。くすっ

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電波戦隊スイハンジャー#116

第七章・東京、笑って!きららホワイトPrincessKAGUYA2

今ではもう昔のことになるが

竹取の翁という者が都の外れの山中で様々な竹細工を拵えて暮らしていた。

翁の名は讃岐の造といった。

ある日、いつものように竹林に入ると一筋の銀色に光る竹を翁は見つけた。

まあまあなんでオマエ竹の中に入れたんだよ!って言いたい気持ちすごくよく分かる。

私ツクヨミ王子の特殊能力は形態変化。

その

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電波戦隊スイハンジャー#117

第七章・東京、笑って!きららホワイト

PrincessKAGUYA3

なぜ、かぐや姫はあまたの貴公子の求愛を最後まで拒み通したか?

ここまで話聞けば分かるでしょ?だってその時、私の体は「男」だったんだもん。

あったりめーだろうがよ。

裳着の式から程なく私の男性期が始まった。媼と千鳥は私の体の秘密を知っていた。

だってー、湯殿の世話の時に裸体を見られちゃったのよ。

そりゃ二人とも「この

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電波戦隊スイハンジャー#118

第七章・東京、笑って!きららホワイトPrincessKAGUYA4

「姫からご相談の文をいただきまして

『私のような野育ちの卑しい身分の娘が尊いお方のおそばにお仕えするなどとてもとても畏れ多いこと。

かと言って無下にお断りしても

齢七十になる父にどのような禍が及ぶか思いわずらい

このうえは今を時めく空海阿闍梨におすがりして

髪を下ろし、尼になりとうございます』と

ここまで姫がお苦しみ

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電波戦隊スイハンジャー#119

第七章・東京、笑って!きららホワイト

Princess KAGUYA終

かぐや姫と帝の文の取り次ぎは吉野の推薦でとある命婦が行うこととなった。

夜もとっぷりと暮れた御所の廊下で、帝は姫からの結び文を命婦から受け取る。

帝は細く折りたたまれた紙を丁寧に開き、寝所の灯火の光を頼りに「恋文」の漢詩の暗号を解読する。

宮中には女御を始めとする30人近くのお手付きの女たちが常に交替で帝の傍に侍って

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電波戦隊スイハンジャー#130

第七章 東京、笑って!きららホワイト花言葉は復讐1

身分と階級を言われても哲治は唇を引き結んだまま悟を見つめている。

不意に背後からぽん、と両肩を叩かれて哲治は振り向いた。そこには店の制服のポロシャツに胸当てカフェエプロン姿の小角がいた。

(サルタヒコ…!)
(お前に見せたいものがある)

忍びにしか理解できない言葉で二人は唇だけ動かした。

とは言ってもコードネーム『サルタヒコ』を名乗るこ

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電波戦隊スイハンジャー#142

電波戦隊スイハンジャー#142

第七章 東京、笑って!きららホワイト

静かの海1

戦隊たちがテレポートで飛ばされた場所は雲に抱かれた富士山を背景にした湖畔だった。

7人の若者は変身を解かれて普段着になっている。

小角だけが忍び装束のままで、右肩に先程の子烏(こがらす)を乗せている。

「ちょうど真ん中に富士が見える…ここは精進湖だ」とさすが地元っ子の悟が現在地を言い当てた。

湖を後ろにパワースーツを着たままのツクヨミと

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電波戦隊スイハンジャー#143

電波戦隊スイハンジャー#143

第七章 東京、笑って!きららホワイト静かの海2

あの「TOKIO,japan」と日本中が湧いた朝から3週間が経つのか。

と思いながら魚沼隆文は9月30日の夜7時、神田神保町にある「鮨や さぶらふ」の暖簾をくぐって

へい、らっしゃい!と声を張り上げる店主に「あのー、インドラさんの招待で来たんですけど…」と言うと

店主の奥さんらしき和服の女性が出てきて「ご予約のお客さんですね?座敷席の方へどう

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電波戦隊スイハンジャー#173 役白専女3

電波戦隊スイハンジャー#173 役白専女3

第9章 魔性、イエロー琢磨のツインソウル役白専女3

本当の魔性の正体とは、
電波の箱から綺麗ごとを述べて笑顔を振りまいて人々を心酔させ、お金を剥がしとる華やいだ存在なのかもしれない。

と思いながら紺野蓮太郎は京都北区の上賀茂にある大田神社の拝殿の鈴を鳴らし、柏手を打つ。

蓮兄ちゃまは東京でのチャリティイベントから帰ってからなんか様子がおかしい。

と従妹の四宮蓬莱も隣で一緒に拝みながらちら、

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電波戦隊スイハンジャー#192 思惟、混沌より出づる

電波戦隊スイハンジャー#192 思惟、混沌より出づる

第10章 高天原、We are legal alien!思惟、混沌より出づる

思えば「私」というもののはじまりは

二億光年前の銀河三十星系の、
文字と発音で出来た言葉。

ありとあらゆるものを計測した結果である数字。

先人たちが石や木に刻まれた像、或いは紙に着色して描かれた絵。

生物の進化の遺伝子情報や過去に人が作り上げた文明や社会というものと、その末路。

という膨大な情報を与えられてそ

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電波戦隊スイハンジャー#193 三貴子

電波戦隊スイハンジャー#193 三貴子

第10章 高天原、We are legal alien!三貴子

その日、ユミヒコ王子は王宮の中庭に降る雨を物憂げに眺めていた。

灰色の雲の中で凝結した水滴が落下し、草木を濡らす不規則的な雨の音を聴いていると不思議とユミヒコの心は休まるのである。

「ねえ思惟」
「はい王子」
「昔我々の先祖が捨てた母星の自然というものはこの雨のように何者に対しても平等なのだな」

ユミヒコはコロニー内の惑星改造

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電波戦隊スイハンジャー#204 邂逅

電波戦隊スイハンジャー#204 邂逅

第10章 高天原、We are legal alien!
邂逅

あれはユミヒコ王子1400才の誕生日の前日。

コロニーの空調に睡眠ガスを仕込んで女王をはじめ居住者全員を眠らせ、予てより王子が恒星間探索用に改造なさっていた戦闘機に主従二人乗り込んでコロニータカマノハラを脱出してからおよそ100年後。

45回めの冷凍冬眠から目覚めた思惟は開いたカプセルからゆっくり起き上がり、ぼうっとする意識と視

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電波戦隊スイハンジャー#225 新春高天原族家族会議

電波戦隊スイハンジャー#225 新春高天原族家族会議

第十一章 プラトンの嘆き、英雄と賢者5新春高天原族家族会議

その3人は元旦の朝8時、唐突に野上家の玄関前に現れた。

そのうち渦巻の紋付き羽織袴姿の若者2人は高天原族王子で月からの観察者ツクヨミとその助手の思惟なのだが…

聡介を驚かせたのはツクヨミが華奢な女性体から筋骨逞しい男性体へと変化している事であった。

なるほどね、これが「完全両性」ってことなのか。

と無理やり納得させられた処に2人

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