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長編小説を読むことは旅をすることに似ている
長編小説が好きです。
なぜなら、長い長い小説を読むことは【旅をすること】に似ているからです。
車窓から見える景色が移り変わり、見知らぬ土地に降り立って、文化の違う人たちと交流し、その場所の空気を胸いっぱいに吸い込む……。
旅をしているときの感覚は、そのまま長編小説を読んでいる時の感覚に繋がっています。
今回は、長い間抱いているこの感覚について、改めて考えてみました。
* * *
長編小説を読むことが【旅をすること】に似ている理由
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昔から本が好きで、週に一度の「図書の時間」が何よりも待ち遠しい、そんな子供でした。
わたしにとって、読書することは息をすることと同じくらい当たり前のことなのですが、そんな日常の中で、定期的に「長編小説を読みたい!」と強く思う時期がやってきます。
そうなると、数週間から数ヶ月をかけてじっくりと、長編小説の世界へ入り込んでしまうのです。
なぜ、こんなにも長編小説を読みたくなるのか。
その理由について考えてみた時に、「長編小説を読む」ということは「旅をすること」と似ているからではないか?という考えに行き着きました。
一体どんなところが「旅をすること」と似ているのでしょう?
▷読む前から楽しいところ
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長編小説を読むことと旅をすること、第一の共通点は「計画する時点で楽しい」ということです。
もしもあなたが「今度の連休に●●に行きたいなあ…」と思った時、旅先の情報をネットで調べたり、どんな旅館に泊まりたいか考えたりしませんか?
長編小説を読む前にも、それと同じようなことが起こってような気がします。
書店や図書館に行って、その作品が何巻も並べられた棚の前に立ち尽くしたり、ネットのレビューを読んでみたり。
長編小説を読む前には、旅行をする前のように「計画」が存在しているんです。
計画を立てている時のワクワク感、これが「旅をすること」に似ています。
▷壮大な世界観に浸れる=非日常を体験
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長編小説の醍醐味は、なんといってもその「壮大な世界観」でしょう。
物語が長く長く続くわけですから、その分話の中に盛り込まれている設定も壮大であり、また細やかである場合が多いです。
その世界観は、わたしたちが普段生きている日常とは遠くかけ離れた、いわゆる非日常です。
長編ファンタジー小説や大河小説など、現実と離れていれば離れているほど、非日常を味わえる感覚は強くなります。
長編小説ならではの壮大な世界観に浸る、ということは、普段自分が生きているフィールドを遠く離れるということ。
それはまさに「旅をすること」に似ています。
▷登場人物たちが【友人】のように思えてくる
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長編小説を読むということは、登場人物たちの心の機微に触れ続けるということです。
登場人物たちは長い長い物語の中で成長したり、途中で登場したり、物語の筋とは違う方向へ去っていったりします。
それはまさに、わたしたちが人生という旅の中で多くの人に出会い、別れていくのと同じではないでしょうか。
わたしは長編小説を読んでいる時、そこに出てくる登場人物たちと一緒に、物語の中を旅しているような感覚を持っています。
その中で彼らが直面したこと、感じたこと、あるいは誰かからもらった言葉などを追体験していくうちに、やがて彼らが「友人」のような存在になっているのです。
何度も読み返している長編小説を読む時には、「本の中のあの人に会いに行こう」という気持ちでページを開いています。
おすすめの長編小説
![長編小説を読書すること旅と旅行](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/66858050/picture_pc_502195e562f8c4d0c7b3107189db5b37.png?width=800)
ここからは、ぜひ読んでほしい長編小説についてご紹介します。
▷トルストイ『戦争と平和』
29歳の誕生日から30歳の誕生日まで、丸々一年間をかけてトルストイの『戦争と平和』を読む試みに挑戦しました。
『戦争と平和』はとにかく長くて、岩波文庫版では1冊600ページくらい、全6巻からなる超大作です。
しかも登場人物が異常に多く、主要な人物だけでも100人を超えています!
しかも作者紹介に掲載されているトルストイの顔は、いかにも気難しそうなひげもじゃのおじいさん…。
「読むのにハードルが高い」と言われてしまいそうな条件が揃っています。
ですが、意外や意外、読んでみるととても面白く、続きが気になってどんどん読み進めてしまいます。
ナポレオンとロシアが戦争をしていた頃のお話なのですが、様々な生き方・考え方をするキャラクターが登場するので、誰かに共感できること間違いなしです。
▷紫式部『源氏物語』
『源氏物語』に出会ったのは、確か小学生の頃だったと思います。
当時通っていた整骨院に、瀬戸内寂聴さんが現代語訳した『源氏物語』が置いてあって、治療の待ち時間にそれを読みふけり、すっかりはまってしまいました。
おそらく『源氏物語』は、日本の古典の中で最も多く現代語訳された物語ではないのかな?と思います。
わたしも本文のままでは難しくて読めませんが、円地文子さん、瀬戸内寂聴さん、田辺聖子さん、そして最近では角田光代さんなど、多くの作家さんが『源氏物語』を現代語訳されています。
さらにもっと遡ると、与謝野晶子や谷崎潤一郎なども『源氏物語』を現代語訳しているのです。
約1000年も前に書かれた物語だというのに、紫式部のストーリー展開や登場人物たちのドラマは、今でも私たちの心を掴んで放しません。
せっかく日本人に生まれたのなら、絶対に読んでほしい作品です。
▷ル・グウィン『ゲド戦記』シリーズ
『ゲド戦記』といえば、スタジオジブリでアニメ化された作品、というイメージが強いでしょうか。
映画の公開当時わたしは中学生で、母と一緒に『ゲド戦記』を観に行ったのですが、なんだか暗くて不気味で、絵もちょっと怖くて、正直、ぜんぜん面白くなかったのを覚えています(笑)
そのことを当時の国語の先生に話したところ、その先生から「『ゲド戦記』の原作を全部読みなさい。すごく面白いし、読んでおくべき物語だから」と言われました。
当時は「ふーん、そうなんだ…」くらいにしか思っていなかったのですが、数年前にそのことを思い出し、全シリーズを読み進めてみることにしたのです。
するとたちまち、『ゲド戦記』シリーズはわたしにとってかけがえのない物語になってしまったのでした。
『ゲド戦記』シリーズはある種の哲学書のようです。
「生きていく」ということは一体どういうことだろう、そんなことを我々読者に語りかけてきます。
まとめ
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この記事では、
●長編小説を読むことと旅をすることの類似点
●おすすめの長編小説
についてお話ししました。
「長編小説はハードルが高い」、確かにそうかもしれません。
ですが、ひとつの壮大な物語と向き合い続けた時、その物語はあなたにとってかけがえのない存在になってくれるはずです。
そして、その物語は必ず、あなたをあなた自身の知らない場所へ連れていってくれるでしょう。
あなたの人生の「友」と呼べるような、そんな作品に出会ってもらえたら嬉しいです。
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