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たかこ(旧いと)
2020年11月22日 20:52
何か嫌なものごとを嫌でなくするために、私がとる方法のひとつに、こんなことがある。たとえば、ある人のあることばに傷つけられたとする。その人はそのとき、赤い色の服を着ていた。嫌だったことばの中にある単語や、赤い色を目にすると、反射的にそのつらかった思い出が頭に浮かんでしまう。だからできるものなら避けて通りたい。でも、標準的な日本語や、赤色を徹底的に排除して生きることは、ほぼ不可能。なら
2020年10月9日 23:00
雨粒がガラス窓で潔く弾け、次の瞬間には残った水分が結集してつうっと下へ下へと滴り落ちていくそのさまは、まるで熟達した生存のようだ。にぶく光るそんな光景を背に、彼女は私と向き合って微笑んでいた。穏やかだけではない、きちんと見すえるふうな一抹の緊迫を伴って。「こういったことをお仕事でされていたこともあると伺っておりますけれど、その時にいくらか訓練も積まれたといったことは?」私はなけなしの控え