33．シチリア旅行のプランニングをはじめる

スローフードジャパンでの仕事も残すところあと1ヵ月になったとき、新しいプロジェクトを立ち上げました。
シチリアのトモコさんと共同でシチリア旅のプランニングを始めることにしたのです。

シチリアにマフィアはいるのか

私は偶然、友人に連れられてシチリアを旅することになりましたが、当時タオルミーナを訪れる人の多くが映画『グランブルー』や『ゴッドファーザー』に触発されてでした。
そしてそのイメージのせいかもしれませんが、シチリアにはマフィアがいるので旅をするのは危険だ、という情報もまことしやかに流れていたのです。

実際のところ、タオルミーナにもマフィアはいます。
とあるレストランで食事をしていたとき同行のイタリア人に「いま店にマフィアが入ってきた！あ、でも直視しちゃダメだよ！」と言われ、メニューを広げるふりをしてこっそり見てみたら、ふつうのよれっとしたジャージ姿の男が2、3人で入ってきたところでした。
スーツにネクタイにコッポラ帽でもなければ、いかつい様子でもなく、ごくごく普通のシチリアのおじさんといった風情です。
お店には、みかじめ料を徴収に来ていたようでした。

観光で来ている人が見てもまったく気づかないと思いますし、もちろん直接的にその被害に遭うことはないでしょう。
私も1度もありませんし、これまでご案内したお客さまにもいらっしゃいません。

そうしたイメージを払しょくするために各地の観光協会ではマフィアの印象を薄くするため、クリーンな町の印象づくりに励んでいます。
ただ、それでもやっぱり個人で旅行するような日本人にまではなかなか届きません。
それらの発信はすべてイタリア語、または英語ですから。

情報発信の大切さ

前年にタオルミーナに滞在したときトモコさんと2人でどんなことをやりたいのか色々な話をしました。
旅行代理店の大型ツアーではできないような体験をしてもらったり、なによりシチリアの旬の美味しいものを味わってもらいたい、というのが私たちのプランの目指すところです。

知ってもらえさえすれば魅力的なプランだと思うのです。
ただ、大掛かりな広告を出すような予算はありませんし、そこにお金を使ってツアー代が高くなるのは本末転倒、私たちの臨むところではありません。
そんなわけで、ブログを使って情報発信していくことにしました。

記録を見ると2010年3月3日にブログを作って初回投稿をしています。
その日の「いいね」は2つだけだし、その次の投稿でやっと3つというありさまでした。

ただ、こういうことは続けていくことで徐々に効果が出てくるものです。
東京にいる私だけでなく、シチリアのトモコさんからも生の現地情報を発信してもらい、タオルミーナを中心としたシチリア滞在のすばらしさを綴っていきました。

移住するつもりはなかった

東京とシチリアとの2拠点をメリットに始めたシチリア旅のプランニングです。
出発前に直接会ったほうが良い場合は私が対応できて、現地に行けばトモコさんがいるという利便性も売りの一つだったので、この時点で私がイタリアに移住する気がなかったことが分かります。

いつかはイタリアに住みたいなぁとは思ってはいたけれど、ムリだろうと諦めていた部分が大きかったです。
これまでは東京で仕事をしてお金を貯めての渡伊でしたけれど、できれば仕事として行けるようになればいいのにな、というぐらいの考えでした。

それにしても、やはりこの仕事もすぐお金に結びつくことはなく、収入面では派遣仕事に大きく助けられていました。
そして、もっとシチリアのことを広めたい、シチリアに関する仕事をしたい、と思い、またしても新しい企画に手を出すことになります。