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【読書感想#22】歩道橋シネマ/恩田陸(2019)【ネタバレなし】

【概要】

作品名:歩道橋シネマ
著者:恩田陸
発行所:新潮社
発行年:2019年
頁数:400頁
ジャンル:ミステリ、ホラー、SF、ファンタジー、短編

【あらすじ】

とあるたてこもり事件の不可解な証言を集めるうちに、戦慄の真相に辿り着いて…(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて才能がもたらす美と神秘と酷薄さに触れる「春の祭典」。密かに都市伝説となった歩道橋を訪れた「私」が記憶と、現実と、世界の裂け目を目撃する表題作ほか、まさにセンス・オブ・ワンダーな、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。

【評価】

4.5/5

【感想】

※ネタバレは含みませんのでご安心ください

なぜ僕はこれまで恩田陸を知らずに生きてきたのだろう。
全く不思議でならない。書店で何回もその著者名と有名作品の題名を見てきたのに、なぜ手に取ってこなかったのだろう。本作を読み終わったあと、ふとそんな疑問が頭を支配した。ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー、全ての要素が本作には詰まっており、どれもが負けず劣らずの実力を持ち、読者の感性を刺激する。
素晴らしいと言う他ない。

本作は意外にもホラー要素が多かった。
全部が全部そうではないが、ざらっとしか読後感や居心地の悪い不安を感じさせる作品が多かったように感じた。
しかし、ホラーだけでなく、本格ミステリ風のものや牧歌的なエッセイ風のものまで多種多様な短編が収録されているので、贅沢この上ない小説だと思う。

読んでいて強く思ったのが、「小説って自由だなぁ」ということだ。
もちろん、恩田陸の繊細な筆致や抑揚のある文章構成力、豊富で敏感な感受性などが自由な小説をなし得ているのはもちろんだが、なんというか小説の真髄に触れることができたと思う。
不躾ながら私もこんな短編小説書きたいなぁと思ったので、これから恩田陸の作品を読み漁ることだろう。

ぜひみなさんも手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

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