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Men Explain Things to Me
レベッカ・ソルニット著(邦題『説教したがる男たち』) 原著は10年前に出版されたものだが、今でもそのまま当てはまることばかりである。
特に気になった2章を取り上げるが、感想というか半ばは自分語りだということをあらかじめ断っておく。
第1章 説教したがる男たち
全9章からなるが、書名ともなっている第1章はmansplainingを広める端緒ともなっている。これを読んで感じたのが、このよう
「読書百遍意自ら通ず?」(1)
昨年の春、独学でラテン語の勉強を始めた。教科書はいろいろ調べたすえ、最もよく使われているらしい、中山恒夫『標準ラテン文法 Classica Grammatica Latina』にした。屈折語はまず形態論だからサンスクリットに似ていて、それほど抵抗もなく進んだ。練習問題もそれほど難しいものでもなくこれはいけそうだと感じた。
秋には放送大学の面接授業で唯一のラテン語の授業があってこれを受けた。独学
『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』
田野大輔、小野寺拓也編『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』を読んでいる。 編者2名による少し前の著作『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? 』(岩波ブックレット )は煽りタイトル名のせいで話題となり、読んでもいない知識人がアサッテを向いて非難したりと騒がしい。こちらは、歴史研究者とアーレント思想研究者による分担執筆および対談が収録されている。改めて、従来流布している「凡庸な」アイヒマンという見方でよいの
もっとみる言葉について(1)音写語「ホロコースト」と「ジェノサイド」
この数年、社会科学分野の本を読むことが増えてきている。そこで強く感じるのは、言葉を軽く扱うものが意外と多いことである。
他の分野、例えば自然科学や工学では、専門用語は関連する学協会によって定義されているのが普通であるし、英語等の外国語と日本語の対応もなされている。大きなものはSIやISOだが、様々な専門分野でもそれぞれ決めているのは、学術的な議論のみならず現実の取引に支障が起こらないためであ