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映画感想など
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#読書

映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず) (追記)

映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず) (追記)

先日、2006年に木村カエラ氏をボーカルに迎え再々結成した「サディスティック・ミカ・バンド(Sadistic Mikaera Band)」のライブ(2007年3月7日。@NHKホール)を見返した。
といっても、ちゃんと見ていたわけではなく、BGV的に流しながら家のあれこれをやっていたのだが、加藤和彦氏(愛称・トノバン)が歌う詞に手が止まった。

本当はそんな歌じゃないし、その時本人もそんな気持ちで

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二度と彼のような犠牲者を出さないために~映画『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』~

二度と彼のような犠牲者を出さないために~映画『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』~

1972年11月8日。早稲田大学2年生の川口大三郎君が友人と談笑しながら大学構内を歩いていたところ、男たちに呼び止められ、問答無用で教室に拉致された。
友人たちが「川口を返して欲しい」と教室に行くが、暴力によって追い返されてしまう。教師たちも何度か教室を訪ねてくるが、門番役の学生たちに声をかけるだけで教室に入ろうともしない。
翌日、川口君は死体で発見された。
体中に40カ所以上の打撲跡があり、現場

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第33回日本映画批評家大賞 授賞式

2024年5月22日。東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールCにて、『第33回日本映画批評家大賞 授賞式』が開かれた。

日本映画批評家大賞は、公式サイトによると、『映画界を励ます目的のもと、 現役の映画批評家が集まって実行するもので、 1991年 水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子等、 当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した』とある。

2024年4月10日に

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映画『悪は存在しない』を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず)

物語の序盤、ちょっと奇妙な電子音楽をバックに子どもたちが各々奇妙な姿勢で静止しているシーンを観て、映画『悪は存在しない』(濱口竜介監督、2023年。以下、本作)は当初、「サイレント映画」として企画されたものだったことを思い出した。
日本で生まれ育った我々には、後のセリフでそれはすぐに「だるまさんが転んだ」をやっているのだとわかるのだが、しかし、もし「サイレント映画」だったらと考えた後、本作が初めて

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"一人"だけど"独り"じゃない~映画『とりつくしま』~

"一人"だけど"独り"じゃない~映画『とりつくしま』~

この世に未練がありそうな死者を見つけて、何かに「とりつく」ように取り計らってくれる「とりつくしま係」さん。「とり憑く島」ではない。イントネーションはなく平板。『"石焼芋"と同じアクセント』。
だから、「とりつく」のは「モノ」に限る。

そうやって"モノ"になった死者たちを描いた物語、東直子著『とりつくしま』(ちくま文庫、2011年。原著は2007年刊。以下、原作)を、著者の実の娘(東かほり監督)が

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映画好きのための参考書~北村匡平・児玉美月著『彼女たちのまなざし 日本映画の女性作家』~

北村匡平・児玉美月著『彼女たちのまなざし 日本映画の女性作家』(フィルムアート社、2023年。以下、本書)は、こう書き出される。
映画監督だけではない、世の中の多くの職業-特に「専門職」において-、残念ながら枕詞に「女性」と付けられることが、未だ多い。
そしてさらに残念ながら、そういった職業において「女性ならではの」を求められることも、未だ多いのも事実だ。
と、未だ残念なことが多い世の中だが、ただ

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映画『王国(あるいはその家について)』

『王国(あるいはその家について)』(草野なつか監督、2023年公開。以下、本作)を観る前に立ち寄った書店で平積みになっていた、柴崎友香氏の新刊『続きと始まり』(集英社)を買った。

ポレポレ東中野、年の瀬の木曜日20時上映回。
本編150分で終映は22時半を過ぎるというのに、9割ほどの入り。本作の評判の高さが窺える。

物語は、取調室に見立てた小さな部屋から始まる。
机を挟んで奥に若い女性、ドア側

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映画『女優は泣かない』

映画『女優は泣かない』(2023年。以下、本作)を自ら小説化(小学館文庫、2023年)した有働佳史監督が、「あとがき」にそう記している。

冒頭で引用した有働監督の言葉は、「人間には多面性がある」ということではなく、梨枝と咲は「同一人物」だということを意味する。
違いがあるとすれば、それは「右/左」「表/裏」ではなく、「(二人が出会った時点での)before/after」ということになるのではない

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TM NETWORK『CAMP FANKS '89 at YOKOHAMA ARENA 2014 Edition』~EPICレコード創立45周年記念 毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023 Vol.1~

TM NETWORK『CAMP FANKS '89 at YOKOHAMA ARENA 2014 Edition』~EPICレコード創立45周年記念 毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023 Vol.1~

EPICレコード創立45周年記念として、毎週木曜日に1980~90年代のライヴ・フィルムを映画館で上映する企画がスタートした(2023年9月21日~同年11月2日まで全7作品を上映)。
その第1弾が、1989年8月30日に横浜アリーナで開催されたTM NETWORKの「CAROL Tour FINAL」である。
ちなみに、この横浜アリーナのライブは、まずVHSで「CAMP FANKS!! '89」

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映画『天国か、ここ?』

『天国か、ここ?』(いまおかしんじ監督、2023年。以下、本作)はとても不思議な映画で、どう説明すればいいか全くわからない。
それは、上映後のトークイベントに登壇した人々が「最初観たときは意味がわからなかった。何度か観て漸く『あぁ、こんなことかな……』と思えるようになった」といった主旨の発言をしていたことからもわかる(同席していたいまおか監督自身は「え、そうなの?」と少しショックを受けている感じで

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2023年7月1日土曜日 酒。読書。観劇。それだけ~毎月1日は映画館の「ファーストデー」~

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2023年7月1日……
毎月1日は全国の映画館が割引になる「ファーストデー」。
とはいえ、ちょっと調子に乗り過ぎた……

10:00 映画『愛のこむらがえり』@ヒューマントラストシネマ渋谷梅雨空の土曜日の朝10時の渋谷。
ファーストデーとはいえ、そんなに

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2023年GW 酒。読書。観劇。それだけ

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2023年のGW……

-1日目:2023年4月27日仕事帰りに、ポレポレ東中野で映画『上飯田の話』(たかはしそうた監督)を観た。

後日、"note"の私の拙稿を、たかはしそうた監督自ら"スキ"して下さり、大変恐縮した。

0日目~3日目:2023年4

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甫木元空著『はだかのゆめ』(小説版)

2022年に公開された映画『はだかのゆめ』(甫木元空監督)のパンフレットで、甫木元監督自身が映画の成り立ちを語っていた。

『かなり現実に近い母と僕がいて、日々僕が見聞きしたことが書かれている』という『小説バージョン』が「新潮」(新潮社) 2023年3月号に掲載されていて、確かにやっぱり映画版と同じく「不思議な夢を見ている」感覚ではあるが全く違う、ストーリーではなく「夢を見ている」行為自体が違う。

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2022年の「酒。読書。観劇。それだけ」(飲みある記、読んだ本、観た映画・芝居リスト)

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2022年はこんな感じ……

(小見出し部のリンクは、私の関連拙稿です。また、「本」関連で出版社のリンクは、出版社サイトの当該書籍ページにリンクしています)

新たに読了した本(61冊)1.世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

著者:カルロ

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