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映画鑑賞

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映画感想など
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2021年4月の記事一覧

「日本酒女子」の本で日本酒を知る

Suits-woman.jp 2021年4月20日配信「日本酒好きが選んだ、最も好きな日本酒ランキング」という記事を読んだ。
これは、ボイスノートが全国の男女945名を対象にアンケートを行い作成した「日本酒銘柄人気ランキング」で、トップテンの1位は「獺祭」とのこと。
興味深いのは以降の銘柄で、「菊正宗」「月桂冠」「松竹梅」「日本盛」がランクインし、10位が「まる」だという。

日本酒好きの酒呑みで

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映画『ブックセラーズ』と古書にまつわる本

私が新宿の「シネマカリテ」で観た映画『街の上で』(今泉力哉監督、2021年)にて、主人公・青が勤務先の古着屋で店番の間に読んでいる本は、近所の古本屋で購入したものだった。
その10日後、同映画館のしかも同じ席で、ニューヨークの古書店街を舞台にしたドキュメンタリー映画『ブックセラーズ』(D・W・Young監督、2019年、日本公開 2021年。以下、本作)を観た(2021年4月24日)。

興味を引

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映画『椿の庭』

若い頃は思い出す過去よりまだ見ぬ未来の方が長く感じられたし、死者は身近ではなく死そのものも「ただの概念」だと思っていた。

そんな私は、映画『椿の庭』(上田義彦監督、2021年。以下、本作)で抱いた自らの感情に驚いた。

夫を亡くした主人公・絹子(富司純子)の家に、夫との共通の友人・幸三(清水紘治)が訪ねてくる。
二人は、絹子の夫を交えた3人で行った、まだ開業したての後楽園遊園地での思い出を楽しそ

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カレーライスをイチから作る

死語になった言葉に「かまとと」というものがある。
goo辞書によると「知っているくせに知らないふりをして、上品ぶったりうぶを装ったりすること。また、その人」とあり、「蒲鉾 は魚 か、と尋ねたことに由来するという」と補足されている。

死語になった理由はきっと「触れてはいけないタブー」になったからだ。

現代に生きる我々は、スーパーでパックに詰められた「刺身」や「切り身」の魚や肉を買い、コロナの影響

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映画『街の上で』

別稿で、映画『街の上で』(今泉力哉監督、2021年。以下、本作)についてどうでもいいような雑文を書いたが、少し真面目な感想も書いておく。

本作は、東京の「下北沢」という実在する街で暮らす若者の「何気ない日常」を描いている。だから、大した事件は起こらないし、「ネタばれ」を気にするような展開や結末もない。

本作は「フィクション」だが、「劇映画だから」という理由ではない。

確かに、フィクションを「

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映画『街の上で』を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず)

2021年4月11日(日)、下北沢・本多劇場で M&OPlaysプロデュース『白昼夢』の昼公演を観た。その後、渋谷・Bunkamuraシアターコクーンで『フラガール』の夜公演を観る予定だったので、それまでの間、久しぶりに下北沢を歩くことにした(下北沢から渋谷まで京王井の頭線で6分程)。
その日は気持ち良く晴れていて、若者たちでそれなりの賑わいだった。
テイクアウトの食べ物屋に並んだり、古着屋をハシ

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映画『グッドバイ』

娘にとって「父親」とは、どういう存在なのだろう?
私は男で、しかも家庭を持ったことがないので、全く想像がつかない。きっと息子にとっての「母親」とは、全然違うものなのだろう。

私個人でいえば、母親に「女」を見たことはない(少なくとも記憶にある中では)。かつてネガティブなイメージで語られた「マザコン」においても、きっと彼らは母親の中に「(大人の)女」を見ていたわけではないだろう。
息子が母親に見てい

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映画『JUNK HEAD』

2021年4月1日、UPLINK吉祥寺で『JUNK HEAD』(堀貴秀監督、2021年)を観た。
毎月1日が全国の映画館のサービスデーで割引なのと、緊急事態宣言が解除され、21時まで上映可能となった(20時終映だと勤め人は平日映画を観るのが困難)こともあるのか、63席のシアターはほぼ満席だった。

もう、とにかく「良く出来ている!」の一言。
キャラクターの造形も動きも、背景も、音楽も、ストーリーも

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『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』を観ていたら、わからなくなった

2021年3月31日、テアトル新宿で『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(池田暁監督、2021年)を観た。
映画は、まぁナンセンスコメディで、「ゲラゲラ」笑うものではなく、かと言って「クスクス」とも違う、私の感覚では「グフグフ」とか「ニヤニヤ」とかが近いかも。

で、そうやって観ているうちにわからなくなってしまった。

「内容」ではない。
映画にはシティボーイズのきたろう氏も出演しており、池田監督自身も

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ちひろ美術館で癒され、考えさせられる

本棚を漁っていたら『金曜夜6時半のちひろ美術館』(藤島淳・文/いわさきちひろ・絵、岩崎書店、1994年)という本が出てきた。
四半世紀以上前、何故この本を購入したのか、まるで覚えていない。

この本は「大人向けの絵本」という感じで、社会の中で戸惑ったり立ちすくんだり悩んだりしている若者たちが、週末の夜、ふと思い立ってちひろ美術館を訪れ、ちひろの絵を見て少しだけど元気や勇気を得る、といった内容の詩が

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