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あの頃書いたの。

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菜根譚

音楽教師はかわいい。
これが一般論として成立するかはさておき、高校1年生のときの女の先生がかわいかった。やんちゃな友達は廊下ですれ違う度に好き好き言いまくっては、先生にいつも呆れられていて可笑しかった。彼と違って自分は音楽の授業を履修しておらず、先生と話すことはほとんどなかった。その友達とよく行動していたからか、名前は覚えられてたと思う。

もうすぐ終業式を迎えようというある日。所用で職員室を訪ね

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ひとり

この文章を下書きしたのいつだったろう。先月かな。吐き出しておかないと、今書きたいことが書けなくなるから、今日ここに。少し長くてごめんなさい。
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煮えたぎる不安に蓋をして眠り、自棄的に過ごす。そんな日々を経て、感傷的な朝。BUMP OF CHICKENの飴玉の唄を聴きたくなってorbital periodを再生し始めてからようやく体を起こした。このアルバムは自分にとってのバイブルで良

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空のペットボトル

まだ暗い早朝。
夢の中にいながら自分の体が脱水症状にあるような自覚があった。体がだるく内側から枯れ朽ちていくようなその感覚に、何かを察した自分は「ごめん死ぬわ」と誰に対してか分からずに繰り返した。
それでも本能的に苦しみから逃げるように起きて、冷蔵庫から水を取り出し、飲み干して寝た。

これがいわゆる悪夢だったのかは分からないけれど、今朝の床には空になったペットボトルが立っていた。

ラベルを剥が

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自己肯定感について

最近どうしたら自分を好きになれるかということをよく考える。熟語で言えば自己肯定感について。
今までは、自分は自分が嫌い、自己肯定感が低い、ということを半ば己の個性、ラベルのように意識していた。そういう詞に出会うたびに頷いて安心感を得たりもする。それを最近は少し変えたいと思う。

きっかけは最近読んだ「彼が通る不思議なコースを私も」という小説。https://www.amazon.co.jp/dp/

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夢と現と。

月に1回は書こうと思っていたブログも、下書きが溜まるだけで10月はとうに過ぎた。好きなアーティストについてだとか、公開できるくらいまで出来上がったものもあるのだけれど、こんな私見や自己満足に誰が興味を持とうか。そう思うと、誰かに見せる前提で書いていたはずが急に無意味な落書きに見えてくる。
なのになぜ今、こうして言葉を吐き出しているのか。ふと考えたことのせいでどうにも眠れなくなったから。といって、い

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シとシ♭

午前二時が書かせるこの文章は所詮起きたら笑われるんでしょう。俯瞰せずとも気持ちの悪い詩も、改行しなけれりゃ気持ちの吐露で。バスタブに水。ドアノブにネクタイ。この世に未練があるから心が生まれ、心に誰かがいるから言葉が生まれる。

空っぽの洗濯機

曇ってても洗濯物が乾く。夏ってほんまに有能。その点冬は「君の冷えた左手を僕の右ポケットにお招き」させるくらいの性能しかないし、そもそもその「君」とやらが居ないので意味がないではないか。
北風と太陽、なら圧倒的に太陽の勝利。太陽と結婚しよう。「お相手は、太陽のように明るく家庭を照らしてくれる人です」って芸能人が会見しているのを何度か見たが、こっちの相手は太陽そのもの。超明るい。ちょっと熱すぎるけど。

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いやなことがあった帰り道。
上京して初めてできた友達に電話をかけた。
味気ない状況説明と遣瀬ない愚痴をこぼし、最後に「ありがとう。じゃ、また」と言って終話ボタンを押した。今夜はこのブログを書き上げるまで帰らないつもりだ。

咄嗟に出た「じゃ、また」には何の意味も信憑性もなかったはずなのに、自分のその言葉を反芻すると、本当にまた会いたいと思った。田舎臭かった彼の言葉づかいももう随分と東京の匂いに染ま

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まとも

今の生活が普通ではない。
「普通」とか「まとも」といった言葉を嫌う人もいるけれど、一定数の人間に囲まれ、ある程度の長さ生きていれば、必要な普通というものは存在する。
睡眠不足であったり、人との会話が少なかったり、いらいらすることが多かったり。場当たり的に過ごしていると、そういう時期が訪れるのは至極当然ではあるが、その報いとして、ニキビが増えるとか咳が止まらないとか耳鳴りがするとか、体に異変が現れる

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夢を掘る人

つづき。

走るのが得意だったからスポーツを好きになったのか、スポーツが好きだったからそこら中を走り回っていたのか。幼少の自分の気持ちなど今となっては思い出せない。
幼稚園の文集にはサッカー選手になりたいと作文を書いた。そこに父は、あたかも応援しているかのような愛のあるコメントを書き添えていたのだが、小学校のときにはその作文を読み返し自分では無理だよと鼻で笑っていた記憶がある。その頃には才能のなさ

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それを待つ人

サッカー日本代表がベルギー代表に2-3で逆転敗けを喫してから半日が経った。

美しい2本のシュートで掴みかけた夢が、一瞬のうちに手から消えていく。この手はもっと強く握れなかったのかと、代わりに得た無念を握りつぶそうとする。選手の悔しさは自分のそれとは比べられないほど大きいのだろう。

スポーツ選手になりたい。大人になってもそう思うことがある。その一瞬、その人間にしかできない身体の動き。その刹那性と

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はじめまして

何においても初めての事ってのは鮮明に記憶しているような気がする。

初めて自転車に乗って風を切った恐怖と喜び。祖父の葬式で見た父の涙。初めて愛し繋がった相手と場所。初めて買ったCD。ライブで聴いて溢れた涙。

生きれば生きるほど、初めての感動なんてなくなっていくんだと思っていたし、実際そういう退屈を感じるときもある。でも今こうしてブログを書きながら思うのは、自分の心次第で新しいことなんて簡単に始ま

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