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キズパワーパッド:治してくれるわけではない。でも、自己治癒力を最大限引き出してくれる医療製品 (CASE: 16/100)


▲「キズパワーパッド」とサステナビリティ

小学生の頃を思い返すと、近所を自転車で乗り回したり、野球やソフトボール、バスケットボールなどスポーツで遊んだり、すり傷が絶えない子供でした。近所の幼稚園の園庭で、自転車で横滑りした時にできた太腿の深いすり傷は、今もばっちり跡が残っています。正直、絆創膏は「傷口にくっついて、取る時に痛くなるだけだ」と思っていて、ほとんど利用した記憶がありません。

そんな時に、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した「キズパワーパッド」があったとしたら…熱狂的な愛用者の一人になっていたことでしょう。
キズパワーパッドは、外側はバイ菌や水分を防ぐポリウレタンフィルム、内側はハイドロコロイド素材の2層構造を持つ絆創膏の一種です。このハイドロコロイドは、傷口に滲み出てくる体液を吸収してふくらみ、ゼリーのようなゲル状のクッションになります。
一般的には、傷口は乾燥してかさぶたになり、そのかさぶたの中に新しい皮膚が出来てきます。一方で、キズパワーパッドの場合は、傷口を乾燥させるのではなく、体液がしっとりと、絶えず傷口に触れ続ける状態にして、自然治癒を促進させることが特徴です。
私は、病気になったり、傷を負ったりした際に、薬や治療を通じて、状況を好転させることが常識だと考えてきましたし、そこに商品・サービスとしての価値があると思い込んでいました。ところがキズパワーパッドでは、その商品が身体の状況を直接的に好転させるのではなく、使う人自身の治癒能力を最大限引き出す状況をつくるところに、その価値があります。
また、ワクチンのような体内での免疫作用の現象ではなく、体表面の見た目でも皮膚再生がわかる現象であるため、「自然治癒」と感じやすいのかもしれません。

これからの未来社会においては、ロボット技術や医療技術によって、その身体機能を補強したり、拡張させたりすることも一般的なものとなってくるでしょう。そんな文脈の中での先端技術の使い方として、一般的に考えがちな「身体の衰えた機能を補う」のではなく、日常的に利用することで「自らの機能回復を促す」というのもあり得るのではないでしょうか。
人にとって、いずれ取り外すもの、自らの身体機能を修復するもの、と位置づけることで、ユーザーがその製品を利用する障壁も低くなりそうです。また機能修復の方向性は、身体のみならず、認知機能の分野にも可能性があるかもしれません。
例えば、かけているだけでいつの間にか視力が改善するメガネ、娯楽で眺めていたら頭がスッキリする動画コンテンツ…そんな製品は、私たちの人生の持続可能性を高めてくれそうです。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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