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とくし丸:移動スーパーで買い物の楽しさを残しつつ買い物難民の問題解決(CASE: 28/100)



▲「とくし丸」とサステナビリティ

とくし丸とは、日常の生活圏内で生活必需品を取りそろえるのが困難な過疎地の「買い物難民」に向けた移動型スーパーマーケットです。冷蔵庫付きの軽トラックに食料品や日用品を積んで週に2回、玄関先まで出向きます。顧客は商品を見てその場で何を買うか決めることができるほか、「次の訪問時にこれを持って来て」と注文することもできます。

一見イノベーティブには感じられないアナログなソリューションではありつつも、これが買い物難民の多くを占めるシニアのニーズに応えています。シニアにとって、ネットスーパーはハードルが高く、またシニアでなくても、お弁当の宅配サービスなどが続けば飽きてしまいやすいものです。しかし、実に400品目以上を載せてやってくるとくし丸は、そういった問題をクリアしつつ、買い物本来の楽しみも提供することができます。

一方で、ビジネスモデルはB2B2B2Cという特徴ある形態をとっています。とくし丸は、地域のスーパーと提携し、ブランドとノウハウを提供する引き換えに契約金とロイヤリティを課します。提携スーパーは個人ドライバーと契約を結び、商品を供給します。そして最後にドライバーが利用者に商品を販売するという形態をとっています。収益は 1商品につき店頭価格「+10円」を課した上で、売り上げの粗利30%をスーパーとドライバーで分け合います。「+10円」ルールはシニアにとっても、例えばタクシーでスーパーまで出向くのと比べてみたら合理的です。

週に2回、商品を選びながら顔なじみの販売パートナーと会話をすることで、シニアの健康・ウェルビーイングにも貢献でき、見守り機能も果たします。また、買い物難民問題解決により地方に住み続けることができる人が増えれば、地方と都市の間でのさらなる格差の拡大の抑制、地域の存続という意味でもサステナビリティに貢献します。実際に私の祖母も、15年ほど前、運転免許証返納に合わせて、千葉の海の近くにあった家から東京に引っ越して来なければなりませんでした。高齢化と過疎化の負のスパイラルを止めるのに、期待されるサービスの一つと言えるのではないでしょうか。

▲参照資料

写真は、下記千葉市の生活支援サイトよりお借りしています。
https://chiiki-kaigo.casio.jp/chiba/info_services/67430?category_id=1018&page=3
大変お手数ですが、許諾等の問題がございましたら、下記記載のinfoへご連絡ください。

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labインターン 柳川悠香

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

会社名:イノベーション・ラボラトリ株式会社
代表取締役:横田 幸信
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