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日本語の不思議

日本人は細やかな性格の国民とされています。

それは言語にも反映されているらしく、雨にまつわる表現には「ザーザー」や「しとしと」など様々な言い方があります。

たしかに副詞は豊富なようです。

しかし感情にまつわる名詞は、英語のほうが豊かなのでは?と思うこともあります。


たとえば、'grief'という英単語。

日本語では「死別の悲しみ」と訳されたり、そのままカタカナで「グリーフ」と言われたりします。

英語では一語で言えるのに、日本語ではそれに相当する単語は見当たりません。

日本でも当然、誰かと死別して悲しむという状況はあるわけですが、それを表す日用語がないとは不思議ですね。

また、一種の造語かもしれませんが、'petloss'や'surviver's guilt'といった言葉も英語圏から流入して、「ペットロス」や「サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)」と呼ばれています。

どうやら死別についての感情を表す名詞に関しては、英語のほうが日本語より先を行っているようです。


もちろん、適当な言葉が生まれていないからといって、そうした感覚や概念自体が存在しないことにはなりません。

語彙の多寡だけを比較して、英語話者より日本話者のほうが死者に対して冷淡だとは断定できないでしょう。

ただ現時点で言えるのは、日本人は死別の際の感情を、あまり言語化・概念化してこなかったということです。

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