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誰も挑戦しない組織の作り方

こんにちは。今週のnoteです。

今回はちょっとブラックジョークを含んだタイトルなんですが、以前にある企業の社長さんが「社員の積極性が低い!」「受け身だ!」ということを嘆いておられたんですね。

そこで、実際に社員さんに話をしてみると、たしかに受け身だな〜と思いつつも、ここで大切なのは、じゃあ「どうして受け身になってしまったのだろうか?」という要因で。

これは、意外と見つけられていない(と言うか、そもそも考えてられていない)ことが多く、中小企業であれば、指摘の対象が社長さん自身になることも多いため、尚更に内部からの自浄作用が働きにくく、わざわざリスクを冒してまで社員がトップに指摘することはなかなか起こりません。

よって、社員の意欲などの問題に転嫁され、自分には矢印を向けないという裸の王様化してしまうことがあるのですが、元々エネルギーや意欲も高かった人たちが、受け身になってしまう、受け身の方が良いと思ってしまう背景には、やはり、これまでの経緯や組織の課題があるんだと思います。

挙げれば様々な要因が出てくると思いますが、私がこれまでの支援の中で見聞きしたり、体験したりした要因としては、以下のようなもの。

  • マネジメント職が末端の手段レベルまで関与し、目的コミュニケーションを取っていないためメンバーが考え、創意工夫するための余白がなく、思考習慣が定着していない

  • コントローラー型(支配型)のリーダーの場合、リーダーの思い描いた通りにやらないと怒られるので、リーダーに合わせるようになっていった

  • トップは新しいことには興味はあるが、社員は既存事業の対応で忙殺されており、そんなことより目の前の状況を改善することを望んでいた

  • トップや上司の思いつきに振り回され続け、それが悪い印象として残ってしまったことで「どうせ、すぐに忘れるだろう」と流すようになった

  • 大風呂敷を広げて新規案件を持ってくるのはいいが、その後は現場任せ。案件の収束や尻拭いばかりをさせられていると感じた

  • 「積極的に提案しよう!」と促され、勇気を持って発信をしたが、「その提案は的外れだね」などのリアクションをされ、自信が無くなった

  • 「まずは細かいことは考えずにやってみて!」と言われて取り組んでみたが、上手くいかなかった時に「勝手なことするな!」と怒られた

  • 課題解決やアイデアを発表したら、「それいいね!」となり、やってみてほしいと言われて取り組んだが、その分の評価は全くされず、ただ業務量だけが増えてしまった

  • 社内の新規事業に手を挙げて取り組んだが、社内の協力が得られず孤立。なかなか黒字化できず社内の風当たりも強くなり、その挑戦に対する失敗の責任を咎められた

  • 大枠の方針を決めるフェーズにも関わらず、重箱の隅を突くような細かい指摘が多く、実行スピードが上がらずに社内調整で疲弊した

  • 上司から依頼されて自分のアイデアが詰まった提案を考えたが、自分の名前は一切出されず、提案機会にも参加できず、上司が手柄を持っていった

などなど…。

どうでしょう?結構、あるあるなんじゃないでしょうか。こうやって、挑戦することが「損」だという認識になり、その結果として、誰も挑戦しない受け身な組織ができてしまうのではないかと思います。

人間の回避本能と同じく、組織の中でも良い情報よりも、悪い情報の方が良く回ります。過去にハシゴを外されたとか、貧乏クジを引かされたとか、そういった、気をつけろ!的な情報が多くなってしまうと、どんどん身動きが取れなくなってきます。

もちろん、これまで育ってきた環境が人を作るものなので、もともと受け身な方もいるとは思いますが、全ての要因をヒトに転嫁させてしまっては、いつになっても良い組織づくりのための課題に目を向けられませんよね。最初から受け身なのではなく、いつの間にか蔓延った組織文化がそうさせ、受け身になることを選んだのかもしれません。

私自身、社外人事としてPM参画しているプロジェクトを動かす中では、いかにメンバーの人たちに自発的に動けるようになってもらえるか?を大切にしています。ただ、それを「もっと積極的に!」「受け身じゃダメだよ!」とか発破をかけるだけでは、何も変わりません。

私がプロジェクトを動かす上で大切にしているところでいくと、

  • チームのポリシーを決め、共有する(何ができるようになることを目指し、そのために何を大切にするのか)

  • 目的や背景を共有し、役割責任に対する手段の検討は任せる(メンバーの思考の余白を残す、大失敗はしないように伴走で見守る)

  • まず具体的な小さな一歩を踏み出す(まず小さく始めることが大事)

  • その一歩の前進を認識し、自信や効力感を持ってもらう(できた!という認識が次のステップへのエネルギーになる)

  • 役割領域を飛び越えての提案は大歓迎!(他人の領域侵犯という遠慮は、ただの機会ロスでしかない)

  • 提案する人と実行する人は切り離す(言ったらやらないといけないということがないので、安心して発言できる)

  • 自分の役割に対して回らない場合は、ヘルプ歓迎!(ヘルプは恥ずかしいことではなく、役割認識・成果へのこだわりの証拠ですよね)

  • 取り組んだ仕事や役割に対しては、しっかり名前を出す(自分がやりました!というプライドを大切に)

上記あたりかな〜、と思います。

こういったものを言語化したものが、組織の中で言うところの行動指針(バリュー、組織の価値観)だったりしますが、組織文化は、マネジメントする人の意志が大きな影響を与えると思います。

日常の仕事の中で小さな挑戦を繰り返してステップアップし、自己効力感によって挑戦意欲を増幅させていく。そして、挑戦による失敗さえも「損」ではなく、「得」だと捉えられる環境ができれば、安心して挑戦できる人がどんどん生み出されるんじゃないかと思います。

組織(会社)とは、そもそもは一つの目的のために集まった集合体であったはず。せっかく各々の一度きりの人生で、たまたまご縁があって、たまたま同じ組織で働いている仲間。その確率は、ホントに奇跡的です。

仕事を通じて個人も組織も成長し、イキイキと活動できる社会であったら良いな、と思います。

それでは、本日はこの辺で!

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