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エッセイ

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#エッセイ

何年も難病寝たきりであるということ

何年も難病寝たきりであるということ

何年も難病寝たきりであるということは
時が経つにつれて『寝たきりピアニストの私しか知らない人に出逢う』ってことで、それを素晴らしく思えるような生き方ができたならいいな。
『昔は良かった』と言うのは簡単。
『今が最高』と言うのは簡単なことではないけど、『言える』時ができたなら、それは『最高』

あまりに長い間、難病寝たきりで生きてきたから、元気だった頃の自分が『どんな人間で、どんなことをして生きてき

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過去、全部捨てちゃったら未来しかなくなった

過去、全部捨てちゃったら未来しかなくなった

過去、全部捨てちゃったら未来しかなくなった話

私は5年前に事故で脳脊髄液減少症という難病を発症し寝たきりになってから作曲家・ピアニストに転身という珍しい生き方をしている。

しかも何年経っても病気が治ることなく手術治療もうまくいかず、病気が治るのを待たずにこの寝たきりの状態でピアニストになってしまった。

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1000回叩くと開く扉

1000回叩くと開く扉

1000回叩くと開く扉がある。

人はその扉を何回叩くと開くのかを事前に知らされていない。

ほとんどの人は1000回叩く前に、叩いても開かないと思って諦めてしまう。

諦めて他の道に進むことも人生の一つの選択だと考える。

また、999回叩いてあと一回のところで諦めてしまう人もいる。

さらには、1000回叩いても開かない場合がある。

その場合は、叩き方が悪かったと考えてみる。

おもちゃのス

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僕らの秘密基地は〇〇

僕らの秘密基地は〇〇

私たちが子供の頃、今のように溢れんばかりのSNSやゲームが存在しなかった時代、
実に様々な遊びを自分たちで作り上げて楽しんでいた。

今日はそのうちの1つを紹介しよう。

小学6年のとき、男女混合遊びグループがあって、いつも5、6人でつるんで遊んでいた。
ある日、1人の男子がこういった。
「あそこのパチンコ屋潰れたぜ。今廃墟になっているらしい。中に入れないかな?」

…そんなわけで私たちは廃墟とな

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妹からの贈りもの

妹からの贈りもの

私には3つ年下の「いい意味でとんでもない妹」がいる。

まず、頭がめちゃくちゃ切れる。
私が小学校5年生で学校で割合の計算を習っていたとき、
それにつまずいて四苦八苦している私の姿を見ながら、
当時2年生だった妹はどや顔ですべての問題に瞬発で答えてきた。
暗算能力が桁違いだ。
悔しくてめちゃくちゃ泣いていた覚えがある。母は妹がすごいのと、私が悔しくて泣いている姿に笑っていた。
割合の計算を習っても

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謎の草

謎の草

堂々とそびえ立つ1本の謎の草がある。そいつはいつもベランダの私の枕元にいる。

そいつを植えた覚えも、種をまいた記憶もない。水をやったり肥やしを与えた記憶もない。ただ気づけばそいつが私を見下ろしていた。

全く世話をしていないのに、どこからともなく種がやってきて、勝手に大きく育った。

そして、堂々ととてつもなく凛々しく、ただ空だけを見つめて、定規で描いたかのようにまっすぐと太陽の方へと上だけを見

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