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エッセイ他

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長めの詩と、物語と、ポエムの延長線上にあるエッセイと。
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2022年11月の記事一覧

綺麗な言葉の裏側にあなたは気付いていないでしょう

綺麗な言葉の裏側にあなたは気付いていないでしょう

あなたが「あんたの幸せを思って」と言う時
本当に思っていることを当ててみましょう

あんたの思う幸せは間違い
あたしの理解できる範囲にいなさい
あんたの気持ちとかどうでもいいから
誰からも幸せに見える箱に収まって
あたしのトロフィーになりなさい

あなたが「心配」という言葉で
何を言いたいか当ててみましょう

あんたはおかしい
あんたは病気だ
そのままでいてはいけません
みんなと同じになりなさい

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娘じゃなくてすみません

娘じゃなくてすみません

あんたが女の子で良かった
お腹にいるとき女の子ってわかって喜んだ
女の子は可愛くて大人しくてママと仲良し
がさつな男の子の母ちゃんになんかなりたくないわ
あなたが嬉しそうに言うものだから
僕は女の子になりました

未熟な自我の迷走中
男の子に憧れる子なんてありふれてるし
大きくなれば自然と治まり
女であることを受け入れて
僕を私と呼べるようになると
信じてやり過ごしていました

だけどそうはならな

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【詩】人間になりたい

【詩】人間になりたい

ああ そうだね
君は僕のこと馬鹿にしていたけれど
僕も君のこと馬鹿にしていたんだね

お日様の色の空気を吸って
湿ったヘドロの息を吐く
生きているだけで僕は公害
だけど破裂して死んだら死んだで
汚い汁を撒き散らす

隅に隠れて
口を塞いで
消滅の時を待ち焦がれていた

君と二人 生きていけると思ったのは
君が同類だと感じたから
ゴミ同士仲良くしようぜって
臭い吐息をかけてもいいやって
蔑んで甘えて

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【詩】ぐるぐる吹きこぼれ脳内

【詩】ぐるぐる吹きこぼれ脳内

そもそも空気が読めないのと
読んだ空気に合わせられないのは
全然違うことなんです
空気読めないことしてるけど
空気読めてないわけじゃないんです
今ちょっとした失敗とか話して
なんとなく盛り上げるところだなって
わかっても思い出検索がバグってて
作り話するにはシナプスが鈍くて
あわあわえへへって誤魔化して
絡みづらい奴って空気も読めてて
だから隅っこでへらへらしてるんです

楽しくないなら離れればい

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【物語詩】あなたの片腕

【物語詩】あなたの片腕

その国に五体満足という言葉は無かった

身体の下半分だけの人が身体の上半分だけの人を運んでやったり
口だけの人が楽しい話を語ったり
臍だけの人が茶を振る舞ったり
それぞれできることをして生きていた

頭だけの人は
腕のある人が羨ましかった
手があれば髪を綺麗に整えられるし
鼻クソだって好きにほじれる

窓辺に一人据えられたまま
腕のある人が通り過ぎるのを
恨みがましく見送っていた

ある時
すらり

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【詩/小説】救済者への手紙

【詩/小説】救済者への手紙

神様の傍にいた頃。
霧の向こうに目を凝らし、薄氷の軋みを足下に聞いていた。
道は揺らぐ鬼火が朧に照らしていた。
神の御意志から外れ罰を受けることを恐れてはいても、無重力の闇の恐怖は味わわずに済んでいた。

求められていた。
全力を超えて、何も考えられなくなるまで。
何も感じられなくなるまで。
己の形を見失うまで。
消えることすら許されないくらい、必要とされていたのだ。

お前に連れ出されるまでは。

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