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『木に学べ』

この本をもって法隆寺を見に行きたくなる。そんな本です。

法隆寺の宮大工であった西岡常一さんの本で、話し言葉で書かれています。読み終わる頃には「○○でんな」「○○でっせ」を使いたくなっちゃう😊

とあるラジオでこんなことを言っていました。「宮大工ってSDGsだ」と。

さて、木から何が学べるのでしょうか?

一緒に学びましょう!


法隆寺への思い

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私も小学生の修学旅行で行ったような気がするのですが…まったく覚えていません😅

いろんな人が、ぎょうさん法隆寺を見に来ますが、ただ世界で一番古い木造建築だからって見にくるんじゃ、意味がありませんで。

私は小学生のころは(も?)とてつもないアホでして、「一番古い」、そんなことも知らずに行っていたと思います。

古いだけがいいんやったら、そこに落ちてる石ころの方が古いんや。

たしかに😅

たがら、古いから見に来るんじゃなくて、われわれの祖先である飛鳥時代の人たちが、建築物にどう取り組んだか、人間の魂と自然を見事に合作させたものが法隆寺やということを知って見に来てもらいたいんや。

知って。そのうえで体験する。大切ですよね。小学生の私にも教えてあげたいです。


木は人間に似ている

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「組む」
棟梁は、木のクセを見抜いて適材適所に使います。
その木を組む前に組むものがあります。それは人間です。

木はクセがあっても正直です。でも、人間はクセもあるうえ正直ではない。だから、木を組むより人の心を組むのです。

→法隆寺棟梁に伝わる口伝 
木の癖組は人の心組』『工人の心組は工人への思いやり

「勝ち抜く」
木は芽を出すときから競争がはじまっています。つち、日の光、水、…他の芽よりよい条件を手にいれなくては育ちません。

法隆寺や薬師寺の千三百年以上前の木は、芽を出すときから千年以上の競争に勝ち抜いた木です。厳しい環境条件だからこそ千年もの木が育つ

人間も同じです。甘やかして欲しいものがすぐ手に入ったのでは、いいものにならない。木は人間に似ている


ものづくりはシンプルに

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大工が千年の木を使えば、(建物も)千年もたせなならんちゅうのも自然な考えですし、千年たったときには千年の木が育ってんといかんというのも道理ですわ。

ものすごくシンプルですね。まさにサスティナブルです。

「昔からサスティナブルな考えがあったんだ!😲」ではなく、「そんなことも忘れてしまったんだね🙄」と考えるべきかもしれません。


学ぶこと

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よりよくする力
法隆寺などの構造の技術は大陸からもってきました。ただ、大陸からの技術を鵜呑みせず、日本の風土に合わせた構造に変化させています。

こういう知恵の働きは、アメリカのまね、イギリスのまねをやってる今の日本人は勉強しなければなりませんな。

本質をつかむ
本質をふまえないと、の入っているものはつくれないと言います。

形だけまねしておっては、自分のものというのは出来ません。

「本質をつかまず形だけ」…世の中にいっぱいですね。自分もそうなっていないか?と、ときどき振り返ってみるべきですね。

技術は盗め
教えられたってなかなか覚えられない。だったら盗む!
周囲の人で自分よりうまい人を見て、その人の技を盗めと言います。

会社でも同じですね。仕事のはやい人は「なぜはやいのか?」よく観察して盗んでやりましょう。もちろん直接聞いたっていいんです。

学ぶ心

みんな気張ってやってるんですけど、学ぼうという心がないと、ただ仕事をするだけになってしまうんです。

 稼ぐのはお金だけじゃない、学びも稼ぎたいですね。


人の育て方

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腕のいい棟梁
腕のいい棟梁は、人を育てるのも上手だそうです。「溝」を掘り、いやでもそこにいくようにする。意図せず学ぶようにしむけるのです。

同じく、褒めるのもうまい。直接褒めずに間接的に褒めるんです。間接的に褒めるのは会社や家庭でも使えますね。

息子にかけた言葉
宮大工にはならないと決めた息子さんに対する言葉、

「会社が大きなお城として、自分がその石垣の一つだという信念をもって務めなければあかん。この一つが抜けたら会社が崩れる。そのぐらいの気分で勤めろ」

グサッときます。🔪

祖父の言葉
大工の仕事がない時期は農業の仕事を手伝っています。子どものころに農業を任されて、収穫が悪かったときに祖父からかけられた言葉、

「おまえはな、稲をつくりながら、稲とではなく本と話し合いしてたんや。大工は木と話し合いができれば、大工ではない。よーく心得て、しっかり大工をやれよ」

収穫をよくしようと知識でなんとかしようとしていたんですね。でも、相手(稲)のことは見ていなかった。おじいさんは、そんな孫をよく見ていたんですね。

グサッときます。🔪

宮大工の技術継承
宮大工の技術を人に教えられるか?とよく聞かれたそうです。実際につくりながら学んだ棟梁ですから、教えることが難しいこともわかっています。

教えられて学ぶことはあります。しかし、行動して自分の血肉にしなくては本当の学びではないのですね。

自分の技を見せる

年が寄って、口だけが達者だけで、手が動かんというやつが一番大変です。
つくってみせることができない。

大工にもこういう人がいるんですね。そういう人がいると現場全体の能率はどんどん下がるといいます。そりゃそうだ。

自分でやってみせることが大事です。

ただ一般的には、それが唯一の答えではないということは付け加えておくべきですね。新しいやり方を発見することも大事です。


組織のあり方

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構造物=社会
構造物は社会です。部品や柱は個人個人の人間です。それぞれが、うまく自分の力を発揮して、組み合わせられて、崩れない形のよい建物ができます。

人の心を知る
人の心がわからないようでは人を束ねていけない。

棟梁は、大工だけでなく、あらゆる職人を束ねなくてはいけません。ありとあらゆる人の苦しみを知っていなくてはいけないのです。

みなさんの上司、会社の経営陣、政治家…みなさんの苦しみがわかっているのでしょうか?

→法隆寺棟梁に伝わる口伝
百工あれば百念あり。一つにする器量のない者は、自分の不徳を知って、棟梁の座を去れ

個性を見抜く
木は一本一本に個性があり、ひとつとして同じ物はありません。強い木もあれば弱い木もある。その質を見抜き、それぞれを使える所に使うそうです。

一方で、住宅などではなんでも規格に合わせて、同じようにします。これは、決していいことではないと棟梁は言います。

それぞれの個性を活かしてやらなくちゃいけませんな。そのためには、個性を見抜いて、のばしてやる。そういうことが忘れられてますな。

これは木だけの話ではないですね。学校、会社、社会そのものの話です。

全体を見る
個性を組み合わせてつくるから美しい
。逆に、規格品で全てが同じじゃおもしろくないし、美しくない。

学者が法隆寺にきて、何がいくつだとか寸法測るけど、全部違います。それ一個取り出しても、全体やつながりを見ないとわからないのです。

事前の段取り
作業がはじまる前の段取りの方が、棟梁は大変だと言います。逆に、

はじまってしまえば、自分の仕事を天職だと思ってる人たちがそれぞれやってくれるんですから、心配ないわけですな。

これってプロジェクトの進め方と、メンバーへの信頼と同じですね。


そうなんだ!

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学びというよりは雑学に近いものをまとめました。

日本に樹齢千年以上のヒノキはもうない
斧にある三本の刻みはミキ(酒)、四本の刻みはヨキ(五穀、地水火風)、木を伐る際の供物の代わりだった。
道具は鉄が大事。昔の釘から道具をつくった。今はいい鉄がない。
五重塔は塔婆である。仏陀の遺骨を埋めて、その上にたてた塔婆が五重塔である。塔の本体は心柱である。
塔は軟構造である。建物はがっしりしているようで、端を手で押すとゆらゆら動く。力が抜けるとまた元どおりに、じっとおさまる。塔とはそういうふうにつくる。だから、地震ではひどくゆれる。だが倒れることはない。
相輪は飾りではなく構造である。五重目を上から押さえている。
屋根の反りは鳥の羽を模している。天に飛んでいけるように。
寺でも式の形は神様をまつる。祝詞に、神の名前が出てくる。


最後に

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西岡さんのこんな言葉が刺さりました。🔪

人間賢いと思ってるけど一番アホやで

私自身もそうです。だからこそ、学びつづけることが楽しいのです。


本日の学びはここまで。また来てください👋


読書期間 2021/03/18-2021/04/04
初版発行 1991/08/01

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最後までお読みいただき、本当にありがとうございます! 楽しく、読みやすいnoteになるように今後もがんばっていきます。