文学フリマ東京│4年半ぶりの出店振り返り
絵を描いて詩集を作る白まんじゅう、陽向ぽこです。
早いもので、「文学フリマ東京38」から1週間以上が経ちました! 早いな。
当日ブースにお立ち寄りくださった方々はもちろん、Xにて宣伝ポストのリポストなどをしてくださった方々も、みなさま本当にありがとうございました。
2019年の秋以来、実に4年半ぶりのイベント出店でしたが、おおよそ無事に出店を終えることができてほっとしています! せっかくなので、ちょっくら振り返りめいたことなどを書いていこうかなと思います。
■ 4年半ぶりの新刊制作&宣伝
「久しぶりに出店するからには、新刊を作らなくちゃだよな」
ぽこが強めにひとりごとを言うので、4年半ぶりに新刊を作りました。おのれに鞭打っていくスタイルです。
新刊のタイトルは『こころをおにぎりにして生きていく』。これまでずっと詩集を作ってきたぽこですが、今回は6冊目にして初めてのエッセイ集となりました。我ながら本当に急……。
中身のほうはXのほうにちらりと載せておりました。
エッセイのテイストに合わせて、本文用紙はざらざらしたグレイッシュな紙にしています。とっても素敵な風合いの紙です! あとは、表紙につやつやのPP加工をしたり、遊び紙(海苔と金棒をイメージ)を入れたり……。せっかくなので挿絵もたくさん描きました。
Xでは、公式ハッシュタグでの宣伝もたくさん投稿しました。新刊・既刊あわせて全部で6冊あるので、しっかりお知らせしようと思うと結構な数でした……!
以下は宣伝ポストの一部です。
少し話がそれますが、ぽこは、わんさか宣伝するのがあまり得意ではありません。それでも毎回「キエエェーイ!!」と我を忘れる勢いでどうにか投稿できていたのは、かつてサークル参加したイベント Text-Revolutions(テキレボ)のおかげかなと思います。URLを貼れ、サンプルを貼れ……などなど、数々の公式ツイートを心に刻んであります。
効果のほどがなにか具体的に見えるわけではないのですが、後々のおのれが「もっと宣伝しておけば、もっと手に取ってもらえたのかな……」などと発展性のないたらればをぼやく可能性を潰すためにも、(自分の活動スタンスから外れない範囲で)できるだけの宣伝をして過ごしました。
■ 文学フリマ東京の朝
さて、新刊を手に迎えた文学フリマ東京の朝。
さっそくエスカレーターを落ちました。幸先が悪いぞ……!
念のため書いておくと、大事ではありません。見渡す限り前方には誰もいなかったので、もちろん人を巻き込んだりもしていません。
落ちたといってもたぶん4~5段程度……ぽこが両膝を勝手に派手に打ちつけたくらいです。新刊のエッセイ集に階段落ちの話を書いたばかりだったので、「フラグ回収みたいなことしちゃったな……」と落ち込みました。笑いごとではないのでいつも本当に気をつけているのですが、難儀なものです。
怪我をしようが落ち込もうが、おのれ一人の問題ならば、気を取り直して生きていかねばなりません。かつて、イベント終わりにりんごジュースが飲みたくて飲みたくてしょうがなかったことがあったのをふと思い出し、道中でりんごジュースを買いました。ツイートをさかのぼってみたけど、ちょうど前回(4年半前)だなこれ。
りんごジュースだけじゃなくて、思い出もしっかり濃かったんだな。このときとは違って、朝の時点ですでに身も心も疲れ果てていたぽこ、買ったばかりのりんごジュースをひとくち飲んで、ちょっぴり元気になりました。
■ 久しぶりのブース設営
物理的にボロボロでたどり着いた4年半ぶりの流通センター。
第二展示場の2階に配置されるのは初めてでしたが、第一展示場のような広さはない代わりにフロア全体が見通せるので、ぽこのような迷子民にはうってつけです(道に迷いやすい話も今回のエッセイ集に書いています)。
問題は2階に上がるためのエスカレーターの存在です。今朝打ちつけたばかりの両膝は依然としてヒリヒリ。しかし乗るしかないんだよ。「どうかエレベーターをください、どうか……」と思いながらおそるおそるエスカレーターに乗り、自分のブースへ向かいました。
ブースでごあいさつをして軽く荷物を置いたのち、見本誌(見本誌コーナー用)をチェックしていただくために本部へ。
今回は新刊のエッセイ集『こころをおにぎりにして生きていく』と、既刊の文庫詩集『くれない大掃除』、イラスト詩集『SWEET HEART SUITE』を置きました。ほかにもいろいろありますが、わかりやすく雰囲気のちがう3種類です。
ところで、第二展示場の見本誌コーナー、ひらけていて明るくてとても好きです! 初出店のときも、「明るくていいなあ」と思いながら見本誌を置いたのを覚えています。しばらく見本誌コーナーにとどまりたい気持ちを抑え、設営のためにブースに戻りました。
さて、1ブースは長机の半分、90cmです。
机には、その昔「絶対に左右のブースにはみ出すまい」というおのれの強い意志により「幅80cm」で作った布を敷きます。10cmも余裕を持たせておけば当然はみ出すことはありません……!
でもこれ、かえってややこしいと気づいたので、そろそろぴったり90cmで作り直そうかなと思っています。当たり前だけど、90cmで作れば90cmからはみ出すことはないんだもんな。なにやってるんだろうな。
まるごと新調した什器をせっせと組み立て、装飾を施し、上段と下段に在庫をのせて、ブース用の見本誌も並べて……写真は下段の一部ですが、卓上はおおよそこんな感じになりました。
来場者の立場からしてみると、数多くのブースのなかから目的のブースを探すのは本当に大変です。みんながみんな、ぽこのように目を皿にして巡るとは限りません。以前は小さな卓上ポスターを掲げる程度でしたが、今の文学フリマ東京の規模ならもっと大きめの目印があったほうがいいかなあと思い、背面ポスターを準備しました。
それがこちらです。
おにぎりを背に座っているのはやや不思議な気持ちでしたが、まあまあ目印になってくれていたんじゃないかなと思います。机の側面には、既刊詩集のカバーイラストをミニポスターにして貼りました。
ただ、ぱっと見の印象が「なんか、おにぎりある……」だったので、詩集もたくさん置いているブースに見えるかどうか、開場前からちょっぴり心配になりました。いたって真面目な作者とそのブースです。
■ 開場! ぱちぱちぱち!
4年半分の力を込めて、めいっぱいの拍手で迎えた12:00の開場時刻。
おお人が……! 人が入ってくる様子が…………! まだほとんど……ないな……。ぽこに見えてないだけかな……。
以前の出店時はどど~っと人が入ってくるのが見えていたのですが、今回の配置場所は2階の奥だったので、あまり人の流れが把握できませんでした。エスカレーターに人が殺到したら危ないので、仕方のないことです。
若干ソワソワしていたものの、会場の外に待機列ができていたのは知っていたので、「そのうちこのあたりにも人が到達するだろう」とブースを整えながら気長に待っていました。開場から少し時間が経った頃、2階の奥にも人が増えはじめて、ひと安心でした。
ところで、会場内の様子といえば、以前と比べてかなり呼び込みが賑やかな印象でした。
ぽこ、おしゃべり自体は好きなのですが、お会計とお礼のほかはほとんど声を出しません。ブース前でしばらく立ち止まって眺めている方に見本誌の存在を案内したり、声をかけられたときに少しお話したりするくらいです。できる限りおのれの気配を消して過ごしています。ここには、誰も……誰もおりません……!
それというのもぽこ自身が、呼び込みを受ければ受けるほど遠ざかるし、派手な呼び込みのあるエリアにはなるべく近寄らないタイプだからです。新作のニットもお土産のクッキーも、一期一会の作品も、大事にゆっくり吟味して選びたい……!
結局のところは「自分の作品を好んでブースに来てくださる方」に向けたものなわけだし、慣れないことをしてぎこちなくなるよりも、自分の活動スタンス(と、イベントの方向性)に合った展開をしていったほうがいいんだろうな、なんて思います。ぽこはこれからも、取引現場に潜む作者として、ブースの陰でひっそり過ごすつもりです。
(お声がけいただければ瞬時に現れますので、どうぞお気兼ねなく!)
■ 質量を伴って現れる読者さんたち
ぽこの有無は置いておくとしても、やはり読者さんが質量を伴って現れてくださるというのは感慨深いです。
もちろん生きとし生ける大抵の方はバーチャルな存在ではないと思うので、質量があることに何ら不思議はないのですが、ぽこからしてみれば「も、目視できる~! 人を」とか「て、手渡せる~! 本を」みたいな感動があります。自分の本を読んでくださるらしい読者さんが「そこ」に「いる」というのはなかなかにすごいことです。この空間の一部を占めているんだぞ……。
それからぽこ、人の顔を覚えるのはとことんヘタなのですが、「にっこにこで買っていってくださったな」とか、「見本誌を丁寧に扱ってくださったな」みたいなことはよく覚えていられます。ぴったり会計になるように、お財布のなかの小銭を探してくださった方がいらっしゃったのも、とてもありがたいことでした。
「わたしは見本誌を丁寧に扱い、にこにこで本を購入しました」なんて本人が言葉にすることはあんまりないんじゃないかなと思いますが、ぽこはしっかりと記憶しています……! そういうことも「嬉しかったこと」としてずっと心に残しておけるので、即売会というのはいいなあと思います。
インターネット上でのやり取りでもたくさん嬉しいことはあるのですが(スクリーンショットとか撮って「嬉しい」フォルダに保存しているくらいなのですが)、面と向かってのやり取りには、なんというか……紙の本を指先でめくるときに感じるような、ある種の「確かさ」みたいなものがあるように思います。
反応をいただくばかりでなく、本を買ってくださった方に直接お礼をお伝えできるのも本当に嬉しいものです。たくさん作品をつくり、たくさんの方の手に渡っても、一回一回発した「ありがとう」をうっかり忘れたりせずにいたいなと思っています。
■ ばいばい流通センター!
開催時間は17:00まで。「ありがとうがひとつ……ありがとうがふたつ……。アッ、2冊同時に? この場合はありがとうがいくつ……」などと数えているうち、あっという間に過ぎていった5時間でした!
以前出店していた頃よりも1時間短くなっているので、気分とかじゃなく実際にあっという間なんだな。それでも、限られた時間のなか、数多くのブースが並ぶなかで、たくさんの方にお立ち寄りいただけて感謝でいっぱいでした。
撤収作業も無事に済ませ、会場の流通センターを後にしました。
次回の出店についてはまだ確定していませんが、12月の「文学フリマ東京」は開催地が「東京ビッグサイト」に移るタイミングなので、できれば出店したいと思っております……!
出店の際は、noteやXにてお知らせしますので、ご興味のある方はチェックしていただけると嬉しいです。フォローもお気軽にどうぞ!
■ 終わりに……
ぽこの本をご購入くださった方で、「Xアカウントを持っているよ」という方は、ぜひハッシュタグ「 #文学フリマで買った本 」で購入ポストや感想ポストをお寄せくださいませ!
その際、作者名の「 陽向ぽこ 」やアカウントID「 @pokotwi 」を添えていただけますと拝見しやすくてありがたいです。
Xを利用されていない方や、オープンな場での投稿にちょっぴり抵抗のある方もいらっしゃるかなと思い、今回は感想フォームも設置してみました。お買い上げの際にお渡ししたペーパーのQRコードからご利用ください。
作家さん宛に感想を送るのって、個人的にはめちゃくちゃハードルが高いのですが(失礼はないかどうか何度も文面を確認し、息を止めて意識を消し飛ばして送信ボタンを押すレベルなのですが)、ぽこ、だいたいのごはん屋さんは「ごちそうさまでした! おいしかったです!」と伝えてお店を後にするので、それくらい気軽に捉えていただけたら嬉しいです。
また、もしもお口に合わなかったときは、こちらもごはん屋さんと同じで、何も言わずにそっと離れていただければと思います。作品を好いてくださった方からのメッセージなら、ぽこは……ぽこはいつでもお待ちしています……!!
それでは、ずいぶんと長くなりましたがこのあたりで。
文学フリマ東京にてお立ち寄りくださった方々、あらためまして本当にありがとうございました。4年半ぶりでしたが、出店できてよかったです。またどこかでお目にかかれますように!
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