猫屋式

猫12匹と住んでいます。多分、人間より動物や植物が多い環境で、日常の中で思いついたこと…

猫屋式

猫12匹と住んでいます。多分、人間より動物や植物が多い環境で、日常の中で思いついたことを詩やエッセイや短歌にしています。

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    詩というよりは、ものすごく短い小説の集まりです。 わざと言葉を減らす代わりに 読者自身がそこに投影されて補われていく。 そんな鏡のような小説が生み出せれば、と思っています。

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    森で生まれた詩、短歌、俳句、散文とかまとめています。

記事一覧

○(まる)

猫屋式
3年前
2

爆寝

猫屋式
3年前
1

いたずら描き

猫屋式
3年前
1

フランボワーズ

雨が降っては摘めない庭の フランボワーズを今朝 摘んできた あなたが好きだった 甘酸っぱい色の 実は少し口に苦くて しかめっ面になっちゃった

猫屋式
3年前
4

割れた瓶の

怪我しない程度に でも しっかり割れた分厚い瓶を 丁寧にスポンジで洗う あなたはもう居ないのにね

猫屋式
3年前
1

破片

ぼろぼろの 砕け散った破片を 眺め見て 両手で包む 生きてさえいればと

猫屋式
3年前
3

Velcro(ヴェルクロ)

あなたの影に寄り添って あなたの背中に指を絡めて あなたの声と吐息だけを この世のすべてと感じられたら そんな風にシンプルな 生き方に身を投じられたら もっとずっと…

猫屋式
3年前
2

膝上のにび

そろそろね 行ってきたいな お手洗い 聴いてる訳ない 膝上のにび

猫屋式
3年前
4

鈍(にび)が来た

にびが来た フランスの革命記念日で 私が「鈍色の」を書いた日に 見つけてもらったそうだ まだ6週間ぐらい 人間で言えば乳飲み子である こんなちいちゃな子を捨てる神経…

猫屋式
3年前
5

絶望

絶望の底を見てる 昨日からずっと 日が変われば楽になるとか 思ったけど戯言だった 吐き出せもせず 浮き上がれもせず 昨日からずっと 同じ風景を見てる いつか上見れる…

猫屋式
3年前
4

鈍色の

鈍色(にびいろ)の空という 言葉に出会ってから ずっと探していた 鈍色の空 あれは重すぎ それは軽すぎ 鈍くないし 鈍重では馬鹿みたい そんな風に吟味して 毎回曇り空を…

猫屋式
3年前
6

足掻く

何気なく水にさしておいたミントが 今日花をつけた 葉が落ちて ぼろぼろで もうそのまま枯れてしまう そういうことを選択したみたいな 細い枝のミントが 花をつけた 水し…

猫屋式
3年前
4

内宇宙

猫屋式
4年前
3

そのままで

動かなくていいよ そんなに苦しいなら 歩かなくていいよ ただ自分を抱き締めて 泣けばいいよ 川が流れて 楽になるまで 休むがいいよ いつか必ず楽になる その時までは苦…

猫屋式
4年前
2

ガーフィールド

猫屋式
4年前
1

風紋・波紋

猫屋式
4年前
1
フランボワーズ

フランボワーズ

雨が降っては摘めない庭の
フランボワーズを今朝
摘んできた

あなたが好きだった
甘酸っぱい色の
実は少し口に苦くて
しかめっ面になっちゃった

割れた瓶の

割れた瓶の

怪我しない程度に でも
しっかり割れた分厚い瓶を
丁寧にスポンジで洗う

あなたはもう居ないのにね

破片

ぼろぼろの
砕け散った破片を
眺め見て
両手で包む
生きてさえいればと

Velcro(ヴェルクロ)

Velcro(ヴェルクロ)

あなたの影に寄り添って
あなたの背中に指を絡めて
あなたの声と吐息だけを
この世のすべてと感じられたら

そんな風にシンプルな
生き方に身を投じられたら

もっとずっと簡単に生きられたでしょうにね

ビリビリと少しずつ
引き剥がされていく心と身体
1つに溶け合うことのない狂おしさ

そっと手を伸ばせば触れ合える距離に
いたはずのあなたが
グラスに残ってたほんの一滴の甘い毒に犯されて
淀んでいく

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膝上のにび

膝上のにび

そろそろね
行ってきたいな
お手洗い
聴いてる訳ない
膝上のにび

鈍(にび)が来た

鈍(にび)が来た

にびが来た

フランスの革命記念日で
私が「鈍色の」を書いた日に
見つけてもらったそうだ

まだ6週間ぐらい
人間で言えば乳飲み子である
こんなちいちゃな子を捨てる神経が
皆目わからん

小さいけど元気で甘えた
最初にママ認定してくれたので
私がいなくなると1秒で
沸騰しっぱなしのピーピーケトルと化す
二階建ての家のどこででも聞こえるレベルだ

だけどママさえいればいいらしい
ママがダメならパパで

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絶望

絶望

絶望の底を見てる
昨日からずっと

日が変われば楽になるとか
思ったけど戯言だった

吐き出せもせず
浮き上がれもせず
昨日からずっと
同じ風景を見てる

いつか上見れるのかな

こんな時はとことん
底を見るのがいいと
教えてくれた人がいるけど
底を見続けるってそれなりに辛い

今度も耐えれるのかな

絶望って全部奪うよね
楽しいことも
楽しいと感じる心も
楽しもうとする気も
楽しかった過去も

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鈍色の

鈍色の

鈍色(にびいろ)の空という
言葉に出会ってから
ずっと探していた
鈍色の空

あれは重すぎ
それは軽すぎ
鈍くないし
鈍重では馬鹿みたい

そんな風に吟味して
毎回曇り空を眺めていた

失礼なことだ
曇り空にだってそれぞれ味があり
言い分だってあることだろうに

そもそも雲の上であれば
いつでも気持ちの晴れ渡るような晴天だ
そもそも曇り空を
吟味することもできない

50を過ぎてふと想う
鈍色とは

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足掻く

足掻く

何気なく水にさしておいたミントが
今日花をつけた

葉が落ちて
ぼろぼろで
もうそのまま枯れてしまう
そういうことを選択したみたいな
細い枝のミントが
花をつけた

水しか入ってない大地に
それでも足を伸ばして
何かを取ろうと踠くように
枝の縁から小さな根をたくさん出して
とうとう花までこさえた

足もない癖に
足掻く根性は私より数十倍強かった

あんた、すごいな

もう少し頑張ってくれたら
直に

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そのままで

そのままで

動かなくていいよ
そんなに苦しいなら
歩かなくていいよ
ただ自分を抱き締めて

泣けばいいよ
川が流れて
楽になるまで
休むがいいよ

いつか必ず楽になる
その時までは苦しくて
胸掻きむしってもそれでいい
雨が降ったら明日は晴れる