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喪失

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詩というよりは、ものすごく短い小説の集まりです。 わざと言葉を減らす代わりに 読者自身がそこに投影されて補われていく。 そんな鏡のような小説が生み出せれば、と思っています。
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フランボワーズ

フランボワーズ

雨が降っては摘めない庭の
フランボワーズを今朝
摘んできた

あなたが好きだった
甘酸っぱい色の
実は少し口に苦くて
しかめっ面になっちゃった

割れた瓶の

割れた瓶の

怪我しない程度に でも
しっかり割れた分厚い瓶を
丁寧にスポンジで洗う

あなたはもう居ないのにね