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GloBEを踏まえたCFC税制抜本見直し私案 ー経産省研究会報告書を読んでー
昨日公表された経済産業省の研究会報告書「最低税率課税制度及び外国子会社合算税制のあり方について」を読んだ。
この手の研究会の性質上やむを得ないのだろうが、委員のそれぞれの立場(納税者、学者)からの意見が総花的に並んでいて、(個々の意見には面白い点が多々含まれるものの)誤解を恐れずに言うとそもそもの軸がよく見えない印象が残った。
そこで、最低税率課税制度(GloBE)を踏まえて外国会社合算税制(
令和4年度税制改正大綱 -大注目のグループ通算制度・SBG税制等の改正の徹底考察-
一昨日、自民党の令和4年度税制改正大綱が公表されました。以前から本noteでも指摘していたグループ通算制度の投資簿価修正やSBG税制等の大きな問題点の改正も織り込まれており、小粒ながら嬉しいとともに非常に重要なものとなっています。
ということで、それらの改正内容について、せっかくなので米国の税制との比較等も交えつつ解説してみたいと思います。
1. グループ通算制度の投資簿価修正の改正一点目はグ
パナソニックの海外持株体制再編に係るタックスプランニングと税務調査否認の分析
ちょっと古い事案ですが、2018年9月、パナソニックは海外持株会社の再編に関連して大阪国税局より412億円という巨額の税務否認(更正)を受けたと公表しました。この事案もなかなか興味深いですので、パナソニックの開示資料を元に分析してみたいと思います。
1. 海外持株体制の再編の概要更正を受けた海外持株体制の再編の内容を確認します。
『大阪国税局からの更正通知書の受領と当社の対応について』
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M&Aにおけるアーンアウトの売り手と買い手の会計上(IFRS・日本基準)及び税務上の取扱いを包括的に纏めてみた!
M&Aにおいて、将来の業績見通しや不確実性等によって買い手と売り手が買収価額に合意できない場合に、例えば将来に一定の業績を達成した場合に追加で対価を支払うという取り決めをすることがありますね。いわゆるアーンアウトというものです。
まだまだ日本のM&Aにおいてアーンアウトはそこまで一般的には利用されていないかも知れませんが、最近では、ペッパーフードサービスがペッパーランチ事業をファンドに譲渡するに
【令和2年税制改正】ソフトバンクグループ対策税制(特定支配配当の簿価減額規定)の最速詳細分析
令和最初のエイプリルフールです。
さて、昨日、令和2年度税制改正に係る政省令が官報に掲載されました。残念ながらグループ通算税制の政令はまだ間に合っていないようですが、いわゆるソフトバンクグループ(SBG)対策税制についてはその全容が判明しました。
ご承知の通り、SBGは2018年に実施したARMの再編により日本において2兆円を超える税務上の損失を計上し、国税当局はこれを問題視したものの、結局の
塩野義製薬事件の考察(東京地裁判決の税務通信記事を受けて)【追記あり】
塩野義製薬が2012年に行った現物出資が適格現物出資かどうかが争われている事件の東京地裁判決が2020年3月11日に出て、塩野義の全面勝訴となったようです。
元々、非常に注目していた事案ですので、まだ判決文は公開されておらず読めていないのですが、税務通信の記事をベースに思うところを整理しておきます。
1. 塩野義製薬事件の概要事案の内容そのものについては、過去ブログに纏めたものがあるので、そち
ソフトバンク(SBKK)によるヤフー連結子会社化の租税回避否認リスクを検証してみた
note第二弾もまたまたソフトバンク関係です。
昨日、ソフトバンクグループ(SBG)の通信事業子会社であるソフトバンク(SBKK)がヤフーを連結子会社化すると発表しました。ヤフーも元々SBGの連結子会社ですが、今回、ヤフーによる新株発行増資と自己株TOBにより、SBKKの傘下の子会社に再編するようです。
この一連の再編はSBG(正確には連結納税子会社のソフトバンクグループジャパン(SBGJ))