母になったら、女は捨てなきゃダメですか。
くびれがなくなっても、女でいたい。
胸は小さいけど、キュッと締まったウエストが自慢だった。
体の曲線が私の“女らしさ”だから。
でも妊娠したら、大事に守ってきたくびれがなくなってしまった。
まんまるのお腹を見て、私はふとこう思った。
―女らしさをつくるのは、体の曲線だけなんだろうか。
飛び出したおなかにため息をついていたら
「お母さんになるんだからしょうがないよ」
と言われた。
母と女は両立できないのだろうか。
母が女でいることは、はしたないんだろうか。
くびれがなくなったから、やさしく広がるパジャマを買った。
袖を通した瞬間に女心がくすぐられる、あまいパジャマ。
淡いパステルカラーを纏って、リボンのついた裾をひらひらさせる。
ずっしり重いおなかが、ふんわり優しく見えた。
ああ、私は女だ。よかった。
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Director,CopyWriter: 萩原 かおり ArtDirector,Stylist:吉間 小季乃
Photographer:荒川 千波 Designer :砂原 ゆい
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