「噛み合わない会話と、ある過去について」という本を読みながら、なんとなく知ってるお話かも…と思っていたら、前に読んだことのある本だった。 過去は記憶の中でどんどん事実から離れていく感じがするので、自分に都合のいい記憶になっていっているんだろうなと感じた。人間ってこわい。
辻村深月『噛み合わない会話と、ある過去について』 人間関係に関する過去の傷を描くもはやホラーな小説。『パッとしない子』と『早穂とゆかり』は佑とゆかりに共感の嵐で、美穂や早穂に苛立ちしかなかった。傷つけた側ってほんとおぼえてないよね。解説も心理士の方なだけあってわかりみしかない。
こ わ い…。怖いけど読み進めたくなる短編4集。恐いもの見たさのこの心理も人間の黒い部分なのか。自分と相手、噛み合わない会話。徐々に逃げ道が失われて行く様に不気味さと恐怖を味わう。そこまで追い詰めるかと、過去の怨念が動き出す怖さ。人の心の中をよくぞ言語化してくれましたと脱帽です。