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「噛み合わない会話と、ある過去について」を読んだ話。


以前、辻村深月さんの「傲慢と善良」を図書館で借りたものの。
冒頭は読んだけれども、どうしてもそのときに本をきちんと読み進められるメンタルになくて(なんで借りたのよ)
そのときはひとまず断念して、いつかのリベンジを誓ったyuki.ですこんにちは。


そういうわけで。
いきなり大長編を読み出す前に、まずは短いものを慣らしながら…と短編を読み始めた先日ですが
「私は、ホラーを読んだのかな?」というぐらいの衝撃と震えを感じた、辻村さんの短編集
「噛み合わない会話と、ある過去について」
の感想です。

ではいきます。

「噛み合わない会話と、ある過去について」を読んだ話。

怒りは消えない。それでいい。

それでいい……



全四篇。

過去の記憶とあやまち
一方向からしかでない正しさという暖味さ
またはその断罪

そういったものを突きつけられるようなお話たち。

この  痛 さ よ ! ! !

主観×主観×主観×主観× エンドレス
辻村さん、人が抱える痛みの描き方が凄すぎて。
思い込みの記憶とか、食い違う認識とかの描写、相変わらず十八番過ぎんか……

ある話を読んだあとに、「……こっっっっわ」と思わず声に出ました。いや本当に。


このお話たちを読んでいて

物語というものを読んでいると、読み手も無意識に「主人公は正しい人」と思って読み進めてしまうんだな……
感情移入してるかどうかはともかくとして…

という、おもしろい気づきを得ました。
読めばわかると思うんですが、自分の認識を疑いたくなること請け合いです。


現実には正しさというものは
人によってそれぞれ在り方が違うし
ものの見え方も、その人が「こう」だと思い込んで見ているだけに過ぎなくて
その様はまさに「噛み合わない会話」

そんなことが重なると、それはもう事実とは程遠いものになる。

きっと誰でも持っている
「恥ずかしい過去」や
誰でも経てきたであろう
「ぶつけられない怒り」

そういうものたちを物語仕立てでこうも可視化されると、怖くて引きますね。さすがとしか言えない。

辻村さんのこういうお話って、毒とは違うというか…
毒というより、本当に、「痛み」なんですよね。
「痛み」を表現されるのがとにかく凄い作家さんだなあ、とあらためて思うなどしました。


自分は、過去どうだっただろうか…
一方的な正義をふりかざしていなかっただろうか…
という自省にはうってつけのこちらの本。(どんな勧め方)

興味があられたら、ぜひご一読を。

読み始めたら止まらないこと間違いなし、の面白さです。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

それではまた。


虚像と鏡像

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