#6 同卓に座るその子、北野日奈子は高打点だけを見て手を作っていた。上を見ることだけなら誰でもできる。でも上を獲ることは簡単ではない。しかし彼女はその意味を深く知っている。2つの世界を行き来した彼女から発される言葉は重みと強さがあった。どれだけの人が彼女の言葉に、彼女の生き様に希望の色を見出しただろうか。少しして彼女の手配が開けられた。四暗刻単騎…。放銃した僕。彼女の無邪気な笑顔。そして僕が見た彼女の目には”北野日奈子”という名の希望が映っていた。もうひななんかじゃない。強く美しく飛び立っているんだ。