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#おすすめ名作映画

映画は、人生の厳しさからすばらしさまで、さまざまな感情を私たちに教えてくれます。自分にとって“名作” だと感じる映画作品をぜひ教えてください。

人気の記事一覧

記憶の森を彷徨う ―ヒッチコック『めまい』の美しさ

【木曜日は映画の日】 アルフレッド・ヒッチコックの1958年の映画『めまい』は、2000年代以降、多くの映画のベストテンで上位、しかも1位か2位を争う程の高い評価を受けています。 公開時も高い評価は受けていたものの、年を経るごとにどんどん評価は上がり、映画の古典とも言える作品になりました。 しかも、他の「上位作品」と違い、多くの作家に換骨奪胎され、思考を誘発する傑作となっています。 刑事のスコティは、犯人を追っている際、高所恐怖症によるめまいによって

光の速さで駆ける -ラオール・ウォルシュの映画の面白さ

【木曜日は映画の日】 物語の大事な要素の一つに、スピード感というものがあります。 小説で、短い文ばかり繋げれば、(多少は読みやすくなるけれど)スピード感が上がるわけでもない。映画の場合、短いカットを繋げれば、(刺激的だけど)体感速くなるというわけでもない。 「速さ」というのは、進行が全てスムーズに繋がって、尚且つ、物語にちゃんと深みを感じられるような味わいが必要に思えます。つまり、あくまで体感であり、受け手側の意識が作るものなのだと感じます。 映画

映画『キングダム 大将軍の帰還』王騎将軍と龐煖の一騎打ちシーン撮影裏に注目

2024年7月12日公開。映画『キングダム 大将軍の帰還』を鑑賞した。 今回でシリーズ最終章と聞いていたが、最終章にふさわしい最高傑作だった。 鑑賞した後の興奮が冷めないうちに、映画を観た感想をネタバレなしで紹介しようと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想今回の作品の主役は、間違いなく王騎将軍だ。 大沢たかおさん演じる王騎将軍が、“大将軍”の名にふさわしい活躍を見せている。 大沢たかおさんは王騎将軍を8年間演じ続けている。王騎将軍という役どころ

甘美な青春を踊る -ベルトルッチの映画『革命前夜』の魅力

【木曜日は映画の日】 青春とは、取り戻せない故に甘い時間です。 イタリアの監督ベルナルド・ベルトルッチの初期の映画『革命前夜』は、そんな甘美な時間を閉じ込められた稀有な映画です。 舞台は1962年のイタリア、パルマ。裕福な青年ファブリツィオは、マルクス主義に傾倒し、ブルジョワの婚約者との婚約解消を考えます。そんな彼は、貧しい労働者階級の友人アゴスティーノの葬儀の際、久しぶりに会った叔母のジーナと話し、恋仲になります。。 監督のベルナルド・ベルトルッチは、1

決断をして受け入れること -映画『ワイルド・アパッチ』の教訓

【木曜日は映画の日】 人は、様々な選択を迫られて生きています。そして、後悔など無意味と分かっても後悔してしまいます。 そんな時に背中を押してくれるのは、後悔なんて無意味だ、という言葉ではなく、その選択に意味があったと誰かに告げてもらうことのように思えます。 ロバート・オルドリッチの1972年の映画『ワイルド・アパッチ』は、優れた西部劇でありつつ、そんな選択を巡る、ある種の大人の作品です。 アパッチ族のウルザナが、ネイティヴ・インディアン居住区から脱走

波の中の失われた愛 -デュラス『アガタ』の魅惑

映像と言葉とは、本来別のものです。 私たちは映像に言葉を載せて一致させる、「映画」を何の疑いもなく享受しているけど映像と言葉が切り離されたらそこに何が生まれるのか。 フランスの小説家マルグリット・デュラスが監督した一連の映画は、そうした部分を探究する大変興味深い映画です。 そして、私が好きな1981年の『アガタ』は、原作の戯曲もデュラスが監督した映画も、言葉と映像が、魅惑的な関係を結んでいます。キーワードは「愛が失われること」です。 マルグリット・デュラ

【ネタバレだらけ】最後を観客に託す「ラストマイル」で私が見付けた自分なりの答え。

映画「ラストマイル」を観てきたら これはどういう意味なのだろうかと 思う部分がチラホラ出てきた。 2回目を観に行く前に自分なりに 考えを整理したくて噛み砕いてみた 感想を残しておこうと思う。 以下、本当にネタバレしかないので 見ていない人は要注意!そして、 この作品は人によって受け取り方が 違う部分も多いと思うので、これが 正解とかではないし、討論目的の noteではないのでこんな考えの人も いるんだな~くらいに受け取って 貰えたら嬉しいです。 【バカなことをした】病院に

人生を取り戻す歌 -映画『ラブソングができるまで』の幸福

【木曜日は映画の日】 人生をやり直すということは、復元することではありません。今までの駄目な自分を肯定しつつ、「これだ」と思う新しい自分を創り出すことです。 2007年の映画『ラブソングができるまで』は、ポップソングのソングライターたちのラブコメを楽しみつつ、そんな人生をやり直すことの意義を感じさせてくれる、魅力的な秀作です。 80年代に一世を風靡したアイドルロックバンド「ポップ」の元ボーカル、アレックスは、今やソロで落ちぶれて、遊園地や同窓会の営業で食

私が変わる冒険 -映画『エム・バタフライ』の美しさ

【木曜日は映画の日】 変わった、ビザールな作品、という前情報で体験してみると、実際の作品は非常にまっとうだったということは結構あったりします。 グロテスクな映画で有名なデヴィッド・クローネンバーグ監督の1993年の映画『エム・バタフライ』は、何ともけったいなストーリーであると同時に、そのこけおどしのない端正な作りが心に残る秀作です。 フランスの外交官ルネ・ガリマールは、北京の大使館に赴任してきます。ある夜会で、『蝶々夫人』を見事に演じる京劇の女優、ソン・

「誰もが正しい」ことの軽やかさ-名作映画『ゲームの規則』についての随想

【木曜日は映画の日】 物語の面白さというのは、二種類あると思っています。一つは、結末が予測できて、それでも人を満足させるもの。 『アンナ・カレーニナ』も『ハムレット』も、悲劇と知らされていなくても、大体どういう終わりになるかは、物語の半ばで推測できるでしょう。それでも、最後まで引き込まれる名作です。 いや、分かっているがゆえに、最後まで安心して物語に入り込めると言えるかもしれません。 「どんでん返し」とか「意外な結末」と謳われる作品も、この「予想でき

♡今日のひと言♡フェデリコ・フェリーニ

フェデリコ・フェリーニ(1920-1993 イタリア~映画監督) ヒューマニズムに根ざした『道』(1954)によって世に出たが、『甘い生活』(1960)で現代ローマの退廃と宗教の無力を描き論争を巻き起こした。その後、『8½』(1963)など一作ごとに独特の映像を創造し、現代のもっとも個性的な監督の一人となった。他に『サテリコン』(1969)、『道化師』(1970)、『フェリーニのローマ』(1972)、『アマルコルド』(1974)など、多くの名作を遺した。

無垢と共に歩む -名作映画『バルタザールどこへゆく』の魅力

【木曜日は映画の日】 物語には象徴というものが出てきます。それは基本的には、ドラマを直接動かすことは無くても、物語を彩り、意味を重ねて、深みを与える存在です。 フランスの映画監督ロベール・ブレッソンの1966年の名作『バルタザールどこへゆく』は、かなりユニークな象徴の使い方をした、変わった映画です。 こんな使われ方はあまりないので、物語を創る人には、参考になるかもしれない。ここでの対象は「ロバ」です。物語でのその扱い方が絶妙なのです。 フランス・ピレ

幸福の黄色いハンカチ

みなさんこんにちは。 紅里です。 今日は幸福の黄色いハンカチです。 高倉健さん主演の映画、 幸福の黄色いハンカチはご存知でしょうか? 1977年公開とのことなので随時前の映画になりますね。 そのロケが夕張で行われていて幸福の黄色いハンカチ想い出ひろばとして今も残されているのです。 父が高倉健さんの大ファンだったこともあり、おそらく数回ほど見てなんとなく記憶に残っています。 子どもながらに最後のシーンで 「ハンカチそんなに下げとくのかい!」と突っ込んだ記憶があります

孤独の中の暖かな愛 -映画『ラブ・ストリームス』の美しさ

【木曜日は映画の日】 巨匠の最後の作品というのは、今までにない新しい展開で周囲を困惑させるような意外な傑作か、それまでの集大成の名作となるかが多い気がします。 アメリカインディーズ映画の名手、ジョン・カサヴェテスの晩年の映画『ラブ・ストリームス』(1984年)は、彼の過去作品の要素を受け継ぎながら、それが最後の輝きを見せている、美しい映画です。 それは、孤独と愛についての映画です。 作家のロバート・ハーモンは、豪華な屋敷に女性たちを招き入れて暮らし、

生きる意味って

先週は気分も体調も良くなくて、そんな中でなんとか耐えてやっと金曜日の仕事を終えて家に帰ったところで、鍵を家に忘れてきたことに気づいた。(夫と朝一緒に出て、夫が鍵をかけてくれていた) こんな日に限って夫は飲み会で、帰ってくるまで外で時間を潰した。終電までには帰るね!と連絡が来たものの結局深夜2時まで連絡がつかなかった。カラオケで一睡も出来ないまま朝を迎えた。カラオケを出たあと夫が帰ってくるまで家の玄関の前で2時間くらい体育座りして待っていた。結婚してもこんな思いすることあるんだ

せめて銀幕の中では守りたかった ~今、七人の侍を観る~①

「一度は観て、オモシロイから!」と、いきなりプレゼントされたのは黒澤 明 監督の名画「七人の侍」(’54)のブルーレイ。 今年は、公開から70年を迎えたのを記念して、4Kリマスター版が全米でリバイバル公開され、再び話題になっているようです。 戦国末期の寒村を舞台に、盗賊野武士の破壊と略奪に苦しむ農民たちが7人の「浪人侍」を傭兵としてスカウトして、村を守り抜く物語として有名ですね。 このプロットを元にハリウッドでリメイクされた「荒野の七人」は続編を含め何回か観ているのですが、

あんのこと(2024)

自然体の実力派女優、河合優実の主演作 悲しい現実から学ぶべき重厚な社会派ドラマ 今年1~3月まで放送され、生きづらい現代を生きる人々に笑いと希望を与え、大反響を呼んだテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(’24年)で、尖ってるけど純情な昭和のヤンキー女子高生・純子を演じて、大ブレイクを果たした河合優実。 2019年のデビュー以来、『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』(ともに’21年)で数々の映画賞の新人賞を受賞した後、2022年には『PLAN75』を始め、8本の映

天空の城ラピュタに出てくる大人たちになりたい。

初めて天空の城ラピュタを観たのは、映画館だった。 公開は1986年。映画館には父親に連れて行ってもらった。たぶん座席は最後列だった。 びっしりと座席が埋め尽くされた満員の映画館。映画に関する記憶は繰り返し観ることによって上書きされていくので、その時印象的だったシーンがどこだったかは、正直なところ、よく覚えていない。けれど、とにかくワクワクしていて、終わった後も大興奮だったことだけは覚えている。映画館を出た後の高揚感だけは、今でもずっと胸の奥で熱を帯びたままだ。 そんな私は

モーリタリアン 黒塗りの記録(2021)

ジョディ・フォスターがアメリカの闇に迫る 9.11事件が招いた、壮絶な運命の物語 2015年にイギリスで衝撃的な〈手記〉が出版されました。それは、アメリカ政府の検閲により、多くが黒塗りにされていました。 その手記を書いたのは、9.11事件の首謀者の1人として、キューバのグアンタナモ収容所に収監されていた、アフリカ・モーリタニア出身の男性モハメドゥ・スラヒ。モーリタニアで家族と穏やかに暮らしていたスラヒが突如、9.11事件の容疑者となってしまいます。 そんな壮絶な経験を『

「ロッキーホラーショー」(英国映画)

この映画。 演劇でカルト的な人気を博した後に映画化と相成ったそう。 公序良俗といった言葉とは無縁の(といっても、ものすごく過激というわけではないが)テーマ性。でもこれが最高の映画&舞台なんです。 テーマ性や、ストーリーよりもやはり、この見た目の印象が強烈。スーザン・サランドン(若い!)も出演しているのが驚きで、こういったジャンルも好きなのでしょうかね・・ またこの作品は、音楽もポイント。「タイムワープ」なんて永遠のアンセムとなるのではなかろうか。 時代の影に、ひょっこ

未来でも続く友情 -映画『ソイレント・グリーン』を観る喜び

【木曜日は映画の日】 少し前、1973年のリチャード・フライシャー監督の名作SF映画『ソイレント・グリーン』が、リマスターで再公開されていました。 時間がとれなかったので行けなかったのですが、現行のバージョンを、配信で少しずつ見返していました。今のままでも十分いい画質です。 そして、改めてこの作品が、SFに留まらない、人間のありようを描いた、大好きな作品であることを認識しました。 舞台は2022年、人口爆発により、格差の拡大と、食糧難の進んだ時代。合成食料「ソイレント

インサイド・ヘッド(2015)

なぜ人は喜んだり、悲しんだりするのか? 感情の謎に迫る名作ピクサーアニメ オモチャ、魚、車、ロボットなど、さまざまなものが生きる世界を描いてきたピクサーアニメ。本作では、人間に宿る感情をキャラクターにしてしまう発想力に本当に驚きました。 喜びや悲しみ、怒り、ムカつき、恐れなど、何かを経験するたびに沸き起こる感情は、実は頭の中で、感情たちがコントロールしているのです――。そんな楽しい想像をベースに、理屈では割り切れない感情の大切な意味について示したストーリーがとても素晴らし

人間の「深み」を学べる映画10選

平日が勤務であった人も、 GWの後半戦スタートです! この休みが始まる前日の夜が 1番ワクワクするんですよね~笑 共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨ 教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌 どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。 共育LIBRARYりょーやん、元教師です。 「飲み会に行かなければ嫌われる。そんな動機で行く飲

運命の輪が回る -フリッツ・ラングの映画の魅力

【木曜日は映画の日】 よく、ホラー映画や小説の惹句に、「人間が一番怖い」というのがありますね。 「人間が一番怖い」映画で私が思い出すのは、『メトロポリス』を撮った巨匠、フリッツ・ラングの映画です。 ラングは、サイレント時代から撮っており、おそらくは映画史上10本の指に入る、重要な巨匠です。 ジャンルとしてのホラー映画は一本も撮ってはいませんが、その容赦なく暗い人間観と、精巧な機械のように組み合わさって、破滅へ向かう運命の過酷さは、並みのホラーよりも背筋が

今日、投資信託に買い注文入れた判断は正解だったのではないだろうか?!😅 お昼休みにチャートを確認してよかった📉 米国株価、日経平均株価も下落していることに加えて、円高圧力も相まって下がっているのではないだろうか🤔 ただ長期インデックス投資である事は変わらないため引き続き継続🫡

熱帯夜の幻想 -映画『ヘカテ』の魅惑

【木曜日は映画の日】 夏が近づき、熱い夜が続きますが、夏の夜というのは、どこか、他の季節よりも、ある種の「魔」を誘うようなところがあるように思えます。 秋や冬の物思いに耽るのに適した夜や、春の暖かで夢想を誘う夜でなく、湿気と熱気と闇が混ざって、じんわりとこちらに浸透してくるかのような夜。 シェイクスピアの名作に『真夏の夜の夢』がありますが、これが他の季節では、あの妖精たちが跋扈する、異様な祝祭空間は出てこないでしょう。 ダニエル・シュミットが監督し

天の使いが駆ける -映画『ペイルライダー』の美しさ

【木曜日は映画の日】 「ジャンル映画」というのは大体物語のパターンが決まっています。ホラー映画、ラブコメ映画、一昔前のギャング映画ややくざ映画しかり。 パターンが決まっているというのは、みんなが好む、大衆的な作品の条件でしょう。 そしてそれゆえに、人々の集合的な無意識を反映して、ある種の神話のように輝いてしまう異様な作品が、時折存在します。 クリント・イーストウッド監督・主演の1985年の映画『ペイルライダー』は、西部劇という大衆的なフォーマットを

「マディソン郡の橋」(アメリカ映画、小説)

この作品に出会ったのは高校の頃だったろうか。 興味を持ったり理由は何故だったかと思い起こしてみれば、 もしかすると本の帯のコピーによるものだったかもしれない それにはこうあった 果たして、この本の内容が、我々自身の物語だったかどうかというと 実際このような物語を経験するほうが少ないとは思う。 ただ、誰もが、恋にまつわる物語を持っているはず。 それがどのような結果に終わったにせよ。 そういう意味合いで、「あなた自身の物語」を捉えたほうが良いのだろう。 初見時は高校の頃

映画と原作

沈黙―サイレンス― (2017公開) 原作・遠藤周作 映画を観る前に先に原作を読んでたので 「あ~キチジローが窪塚洋介なんだぁ!なんかいい味出てる~」とか「これは原作のあの場面ね!」などなど、原作を知ってると楽しい。原作を知っている映画みたのはこれが初めてかも。イッセー尾形の井上さまがクセツヨで、いい感じ。 遠藤周作の表現 (文章) は美しいというかキレイというか品があるので、どぎついシーンでも読み進めることができたけれど、あれを映像化すると、「ぎゃー!」 多発。だけど映

怒り 悲しみ 心配 怖さ 恥ずかしさ むかむか 羨み 無気力 喜び どの感情も、自分を守る大切な感情!どれが良くて、どれが悪いとかじゃないって思わせてくれるステキな映画を観てきたよ! 感情がそれぞれキャラになってて子どもにも想像しやすい。 親子で楽しめる、想像力豊かな映画♪

オッペンハイマー(2023)

世界が注目した原爆開発者の実像 改めて伝えたい核兵器開発の愚行 原子爆弾の開発者であるアメリカの物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの激動の半生を映画化した話題作。 2023年7月、本国アメリカを皮切りに、全世界で公開されましたが、日本で公開されたのは、8ヵ月以上経った2024年3月から。映画を製作したユニバーサル・ピクチャーズの従来の日本での配給を手がける会社とは違う会社が、日本での配給に名乗りを上げ、さまざまな議論と検討が重ねられた結果、ようやく日本公開が実現した

【映画note】オススメ戦争映画5選:歴史と人間の本質に迫る vol.2

こんにちは、芝本です。 前回の第1弾に続いて、オススメ戦争映画の紹介第2弾です。 歴史を学ぶ上で、「戦争」は切っても切り離せないテーマです。人類史とは、戦争の歴史と言っても過言ではなく、人類史において大きな転換点となり、社会や文化に深い影響を与えてきました。 第二次世界大戦中、感染症が兵士の命を脅かす大きな要因であったため、ペニシリンが大規模に生産され、戦場で使用されました。それまで実験的に使用されていた抗生物質が、戦争を通じて急速に普及し、戦後は民間医療に広く浸透しまし

大気を味わう映画 -名作『木靴の樹』の豊かさ

【木曜日は映画の日】 私は、様々な要素が込められた「大きな作品」が好きです。『戦争と平和』や、『白鯨』のように、一見とりとめのないエピソードが続いても、やがてそれが積み重なって大きなうねりを生むような作品。 映画では、エルマンノ・オルミのイタリア映画『木靴の樹』が、そんな作品の一つです。北イタリアの農民を捉えたこの大作映画は、細かいエピソードの積み重ねで、物語以上の、その空気感を感じさせるような映画となっています。 エルマンノ・オルミは、1931年、イタリア

57時間後に恋に落ちる ~「恋する惑星」(香港映画、ウォン・カーウァイ監督作品)

クランベリーズの「Dream」という曲と、ママス&パパスの「夢のカリフォルニアがとても印象的な作品でした。 前半は、金城武とブリジット・リンの一瞬の邂逅。 なんか、こう、一瞬だけ距離が狭まって一夜明ければまたもとの距離に戻っていくっていうのは、なんともいえず、実の世界でも起こりそうで、ものすごく共感できたりする。 あと、この映画、素敵な言葉がちりばめられていますね 「57時間後に恋に落ちる」とか でも一番すきなのは後半のフェイ・ウォンとトニー・レオンの会話。 あり

ラースと、その彼女(2007)

人形を愛した孤独な青年が起こす愛のマジック 心優しいキャラクターたちに癒される 孤独な過去に傷つき、心を閉ざした青年ラースと、彼を見つめる人々との不思議な交流を描いたファンタジックなヒューマンドラマ。 2007年に製作され、第80回米アカデミー賞の脚本賞にノミネートされました。日本ではあまり注目されませんでしたが、とても良い映画です。 明らかに人形と分かる“彼女”をビアンカと呼び、恋人として扱うラースや、彼の奇怪な言動に驚き、呆れながらもラースを動揺させまいと話を合わせ

「熱烈(ONE AND ONLY)」感想

かっ・・・!!!!!! 感嘆符!!!!!!!!!!!!ということで映画熱烈の感想です。画像は街で見かけた王一博さんをつい撮ってしまったもので、熱烈とは関係ありません。 映画館で中国映画を観るのはこれが初めてかもしれません、 始まる前のクレジットの多さがアイマスのライブより上で、応援上映で読み上げる時大変そうだと思いました。要らん心配。 王一博さんを見るのが陳情令以外で実は初めてなんですけども 笑顔いっぱいの含光君(※含光君ではない)めちゃめちゃ新鮮ですね。 言われるがまま

ぼくらの七日間戦争

すごい映画を観た。 サブスクでおすすめに上がってきたから何となく再生しただけなのに、ぐいぐい引き込まれて、最後のシーンなんてちょっと感動したくらい。 <<以下はネタバレも含みます>> 「昭和レトロ」の雰囲気が好きとはいえ、当時の時代背景はあんまり知らない。 だから、冒頭の高圧的な態度の教師や、生徒が全校集会に出ている間に勝手に持ち物検査をする担任には震えた。 今なら「体罰」「暴力教師」と言われて、あっという間にSNSで拡散されそうなことのオンパレードだ。 ストーリーの設定

マルセル 小さな靴をはいた貝(2021)

小さな貝が堂々のスクリーンデビュー! 大きな世界へ飛び出す勇気をくれる感動作 マルセルは体長2.5センチの小さな貝。ちょこんと付いた足に、きちんと靴を履いて、ちょこちょこ歩く姿はたまらなくかわいく、マルセルの一挙手一投足に目を細めて見入ってしまいます。 植木鉢の中に置かれている貝殻を主人公に、映像クリエイターのディーン・フライシャー・キャンプが2010~14年にかけてYouTubeに公開した短編作品は、累計再生回数5000万回を記録。 愛らしくて、好奇心旺盛で、聡明で、

どことなく小津安二郎の世界も彷彿とさせる名作 ~「運動靴と赤い金魚」(イラン映画)

子供が主人公の映画ってどうして、こんなに感動できるのでしょうか。それは、きっと純粋で一生懸命な姿にうたれるんでしょうね。妹のためにマラソン大会に出場する少年が初々しい。 イランの青空は、日本と同じ澄んだ青でした。とても純粋な子供の瞳にうたれます。いつまでたっても、こんな純粋な気持ち、持っていたいものですね。 どことなく、小津安二郎の世界も彷彿とさせる名作。 ご家族でご覧になってくださいね。

洗練された心の喜び -ルビッチのコメディの魅力

【木曜日は映画の日】 人の笑いに沢山の種類があるように、コメディ映画にも沢山の種類があります。 私は他愛もなく大笑いできる映画も好きですが、微笑を誘うような、ソフィスティケイト(洗練)されたコメディ映画も好きです。 エルンスト・ルビッチの映画はそんなソフィスティケイテッド・コメディの最高峰であり、微妙な心の動きが、見事に描かれた映画です。 エルンスト・ルビッチは、1892年ドイツのベルリン生まれ。演劇で頭角を現し、偉大な舞台演出家、マックス・ラインハ

ラストが印象的な映画集(ネタバレなし)

 映画において一番大事な部分はどこだろう。視聴者の心を一気に惹きつける導入部分も大切だが、やはり鑑賞後に一番印象に残るのはラストではないだろうか。  今回は定番どんでん返し映画から個人的に好きなものまで、思わず唸ってしまうようなラストが秀逸な作品を紹介していく。重大なネタバレは避けるのでぜひご自身の目で確認してほしい。 1. シックスセンス(1999)  もしも今あなたがこの作品の結末を知らないのであれば、それは信じられないほど幸運なことである。記憶を消してもう一度観た

映画「セロ弾きのゴーシュ」。

夏の家族旅行で、スタジオジブリ展を見てきた。 展示は主に風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、あとは、私の知らない昔のアニメだったが、その一角に「セロ弾きのゴーシュ」のコーナーがあった。 この映画、まだ母が健在だった、私がうんと幼い頃、近所のお姉さんに連れられて、小学校へ観に行った覚えがある。 1 私の思い出遥か昔に住んでいたその地域では、年数回、日曜日の夜に小学校の体育館で映画鑑賞会が開催されていた。なぜか昔のアニメばかり上映していた。 ほかにハイジとか、フランダースの犬

映画チャンネルが大集結!それぞれの”名作映画”を聞いてみた

皆さんにとっての「名作映画」はなんですか? 「名作」の定義は人それぞれあると思います。 衝撃を受けた作品、人生が変わるきっかけになった作品、その映画を見た場所や一緒に見た人込みで思い出になっている作品…。 今回は、スカパー!で映画を放送している8つの映画チャンネル担当者が集結する、豪華な座談会をお届けします。 仕事でも、プライベートでも日頃からたくさんの映画に触れている皆さんにとっての名作とは?ぜひお楽しみください。 ご参加いただいた皆さん日本映画専門チャンネル 

【映画レビュー】シリーズ最高のスピンオフ作品「エイリアン:ロムルス」

こんにちは、Emuです。 当記事をご覧くださり、ありがとうございます! 2024年9月6日公開日に、エイリアンシリーズ最新作の「エイリアン:ロムルス」を鑑賞してきました。お世辞抜きで最高でした! あらすじ解説はなしで、見どころと感想をネタバレなしでレビューを書いていきます。 エイリアン:ロムルス2024年公開のアメリカSFホラー映画。 監督は「死霊のはらわた」(リメイク版)、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス監督。製作総指揮は「エイリアン」のリドリー・スコット。

午前4時にパリの夜は明ける(2022)

人々の人生に寄り添う深夜ラジオが 優しく語りかける希望の物語 1981年5月10日にミッテラン大統領が誕生したフランスは、それまでの33年にわたる保守政権が終わり、変革の時を迎えました。自由で開かれた時代の幕開けに多くの人々が期待を膨らませたといいます。 そんな希望の兆しが芽生えた1980年代のパリを舞台に、時代の明るいムードとは裏腹に、夫の浮気による離婚で、絶望の淵にいた女性が新しい環境に戸惑いながらも、自分の人生を歩き出す姿を描いています。 孤独なタルラとの出会いが

あんたのお好きな映画はなぁに?

皆さんは映画をどれくらい観ますか? 年に2・3本?月に1本?週単位? それとも毎日見ないと落ち着きにならない? まあ見る頻度よりもお好きな映画について各自各々が1本でもありゃいいってもんじゃないですからに。 0よしかは1のほうがいいじゃありませんか まぁそんなことよりも映画を愛する者の端くれの一人であるワタクシの独り言でもどうぞ聞いといてくださいな。ワタクシも大好きな映画がいくつかあるもんで よろしければ皆さんの好きな映画をコメント欄にお書きになってください。できればその

落ちていた一枚の靴底から生まれる物語

私はじっとそれを見つめた。 27.5cmくらいの革靴の靴底。右の足。茶色だったから、茶色の革靴の底に張り付いていたものだろう。なぜ道端に、靴底だけが落ちているのだろうか。ざざざと風が吹いた。答えは吹いてはこない。どこからか音楽が聞こえてくる気がした。たぶん、それは気のせい。どこからも音楽は聞こえてこない。風の音に乗って、私の妄想が働き出した。 👞 「ねえ、セバスチャン?」 「どうされました? レオン様」 白髪混じりの灰色の髪の毛を、前髪まで全てきっちりとセンターで分け

映画チャンネルに聞く、これから注目の作品と、テレビで楽しむ映画について。

スカパー!で映画を放送している8つの映画チャンネル担当者が集結した座談会。後編では、今公開中〜これから公開の映画の見どころから伺ってみました。 前編はこちら! これから上映予定の注目作品は? ――続いて、今年注目の映画やこれから公開する作品で注目している作品があれば教えてください。 チャンネルNECO・姜さん「『ラストマイル』(現在公開中)が気になっています。人気ドラマの『アンナチュラル』と『MIU404』の脚本家と監督がタッグを組んで劇場版になった作品で、映画ではど

今年おすすめの映画『ルックバック』の感想(※ネタバレ含む)

『ルックバック』観てきました。 チェンソーマンの藤本タツキの読み切り作品です。 予告はこちら。 今回は、『ルックバック』の感想を書いています。 個人的にとても好きな物語でした。 ※ネタバレも含むので、見たくない時はページをそっと閉じてください(笑) 映画館で映画観るのいいですね〜! 『ルックバック』観た感想控えめに言って、『ルックバック』最高でした! 理由はいくつかありますが、”映画だったから!”が一番大きいです。 最近の映画って、ちょっと説明が長めなのが多い。 し

グランツーリスモ(2023)

ゲーマーからプロのカーレーサーへの挑戦 本格的なカーレースシーンが楽しめる ソニーのゲーム機、プレイステーションのドライビングゲームソフト「グランツーリスモ」は、本物さながらのカーレースが体験でき、世界的な人気を集めています。 2008年、日産はリアルなドライビングテクニックが必要な「グランツーリスモ」を巧みに操るトップゲイマーにドライバーとしての素質を見い出し、彼らをプロのカーレーサーとして育成するプログラム「GTアカデミー」を開始しました。 本作は、そんな無謀ともい