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マルセル 小さな靴をはいた貝(2021)

小さな貝が堂々のスクリーンデビュー!
大きな世界へ飛び出す勇気をくれる感動作

マルセルは体長2.5センチの小さな貝。ちょこんと付いた足に、きちんと靴を履いて、ちょこちょこ歩く姿はたまらなくかわいく、マルセルの一挙手一投足に目を細めて見入ってしまいます。

植木鉢の中に置かれている貝殻を主人公に、映像クリエイターのディーン・フライシャー・キャンプが2010~14年にかけてYouTubeに公開した短編作品は、累計再生回数5000万回を記録。

愛らしくて、好奇心旺盛で、聡明で、ハートフルなマルセルの愛と勇気の物語が2021年、長編映画になりました。

【ストーリー】
マルセルは民泊ができる一軒家で、おばあちゃんのコニーと暮らしています。以前は家族や仲間たちと賑やかに暮らしていましたが、ある日、2人を残して、みんないなくなってしまったのです。
おばあちゃんと2人だけの生活は大変でしたが、マルセルたちは創意工夫して、穏やかに暮らしていました。そんな時、映像クリエイターのディーンがマルセルたちの家に引っ越してきます。そして、マルセルの生活を動画にしてYouTubeへの投稿を始めます。
すると、おしゃべりでキュートなマルセルの動画は大バズリ。そこでマルセルは動画で仲間たちの捜索を呼びかけることにします。

ひっそり生きてきた小さな貝たちが大きな人間世界で経験する出来事がコミカルかつ、エモーショナルに描かれます。

PC画面に映る自分に感動したり、ディーンとふざけあったり、家族を探しに車で街へ繰り出したりと、マルセルにとって初めての人間社会は刺激的ですが、ほろ苦さも感じます。

やがてYouTubeの視聴者が家に押し掛けるようになり、コニーとの生活が脅かされたマルセルはYouTubeの配信を止めますが、なんとテレビ番組『60ミニッツ』から、マルセルに出演オファーが入ります。

『60ミニッツ』は実在する人気ドキュメンタリー番組で、マルセルも仲間たちと観ていた大好きな番組という設定。『60ミニッツ』の実際のアンカー、レスリー・ストールが本人役で出演する遊び心ある展開には、マルセル、そして観る者にも人生で大切なことを教えてくれる驚きと感動のクライマックスが待ち受けます。

監督と脚本を手がけたディーンは本人役で出演しており、共同脚本のジェニー・スレイトはマルセルの声を演じています。あどけないマルセルの声もかわいらしくて、胸がキュンとします。

実写映像とストップモーションアニメーションを融合し、手作りの温もりに溢れた本作は製作に7年の歳月を費やしているそうです。

キャラクター、ストーリー、映像とすべてが良質。過熱するSNSの功罪をさらりと落とし込み、単なるメルヘンではなく、現代的な風刺劇のようにも感じられます。

キモカワ系キャラのマルセルは好き嫌いが分かれるところですが、私はマルセルの魅力にどっぷりハマってしまいました。

不安や辛いことのある生活を変えるには、一歩踏み出すこと。小さなマルセルが見つけた、ささやかだけど最高の生活をぜひ観てほしいです。

第95回アカデミー賞で、長編アニメーション賞にノミネートされました。

*劇場公開は終了していますが、とてもほっこりするので、ぜひティザーをご覧ください。

映画製作の舞台裏です。
マルセルがかわいすぎます!


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【実写と架空のキャラクターを融合した感動作
6月14日より公開】

大人になると見えなくなる心の友達とは
心が疲れた大人の方にぜひ観てほしい






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