まだ暑い 駅のホームで バティック柄の 扇子を 使うと 空気が 動いて ジャワの風が 吹く バティックの扇子 に 描かれたライオン に忍ばせた 『メモアール』 の 香りが 若い人には 物珍しいのか すぐ前に 並んでいた 長い髪の子が 振り返った ような気がした
自然の豊かな宿へ赴き 夜を迎える 部屋の明かりを付けず 夜の帳(とばり)に その身を委ねて 窓を開けて穏やかな風を呼び 自然の奏でる調和(ハーモニー)を感じて 穏やかに眠りに就く コンクリートの街から離れた時くらい 涼やかに夜を過ごして良いだろう
とか言ってる側から根っこに足取られてバランス崩して、見越したかのような見事な設楽キャッチ。キャッチて。ほら危ない、俺抱えたぐらいじゃびくともしない腕で、栗とあけびと松茸も死守。こういうのがスパダリ言うんだろうけど、ちょっと面白くないんよスパダリは俺でありたいのお!わかって!(続)
もらった優しさはちゃんと返したいんだ、ジョンは静かに呟いた。俺ら三人の中ではすでに何語なのかわからなくなっているが、何を言ってるのかわかる境地に。皆から預かってきたものがあるんだ、ジョンがバックパックから取り出したのは小さな箱。中からは無骨なつくりのゴールドのチェーンが2本(続)
そんなこと言わなくても伊達さんはオレのスパダリです、唐突なニヤリ笑い。もう思っててもそうでなくてもどっちでもいいや、平屋までの道のり、ゆるく手を繋ぐ。唐突に金木犀の香りが鼻をかすめて、あれ今匂ったよねえ?小さいけど去年植えたやつが。どうやらハルちゃんと一緒に植樹したんだって(続)
何か英語より通じるから教え込んだんだ、コイビトノハナシガイチバン、片言で説明するジョン。何故ドイツ語にしてやらないんだ。ドイツ語と文法似てるらしいぞ?当の本人達は噛み合ってようがいまいが楽しそうだ。ジョン連れてさ一緒に商店街行こうか真弓!かまわないが銭湯閉めるまで待てるか?(続)
あの二人と同時に付き合うだなんてそりゃビックリしたけど、泰司くんがそう決めたんなら全然大丈夫だなって。ばあちゃんとメイちゃんはウチの一族を育てた、そう思ってるけど、こと恋愛や性的嗜好に全く偏見なく、自分が好きな人を見つけて大切にするんだよ、そう言われ続けて今のオレがあるんだ(続)
リウが海外赴任してた時の友人がいきなり遊びに来た。名前はジョン。最後のNにEをつけて発音してくれ、リウなんだそのお願いは。ジョン(ヌ)は日本語が話せない。しかしリウと喋っているんだが、英語がどこか怪しい。ジョンは英語が苦手なジャーマニーで俺は英語苦手なジャパニーズだったんだ(続)
よかったね伊達くん、泰司くん私ら先に車戻ってるからね、ばあちゃん、メイちゃん、義姉さんも嬉しそう。ミオミオが手伝ってくれて大荷物を駐車場まで。あっちの車賑やかだね、泰良は勝手にマスカット摘んでる。帰り道、皆いっしょくたに包んでくれる人達を、感謝なんて言葉で片付けたくないんだ(了)