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250字小説『夜明けブルー』

何時の間にか空は青に支配された。
最後に太陽に目を細めたのは、いつだったか。
「オレンジの空を見たいなら、もっと西へ行くといい」
どこからともなく声がした。
「どのへん?」
「それは行ってみないと分からない」
「…そう」
歩く。
生きてるうちに光を浴びたい。
そうすれば、きっと。
あの青い蝶々の美しさを再確認できる。
雲の白さを嬉しく感じられるはずだ。
そして。
青の世界から消えた彼女。
もう一度、逢えたら。
今度こそ、手を離さない。
逢って、抱きしめて。
体温を分かち合いたい。
神様。
もう一度、眩しい光を。

砂になって消え去る前に。







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