ユートロニカのこちら側

#読書の秋2020 の課題図書に、いまさらながら感想を寄せます。

読書感想文投稿コンテスト「#読書の秋2020」の結果発表を先日行いました。 noteで本や出版業界を盛り上げることを半ば使命のように(勝手に)感じているので、こうして業界横断での取り組みができたこと、そしてたくさんの人に参加いただき盛況のうちに幕を閉じることができたことは、ほんとうにうれ…

早川書房とnoteで開催した、読書感想文投稿コンテスト「#読書の秋2020」のベスト感想文…

早川書房とnoteで10月中旬から11月末まで開催した、読書感想文の投稿コンテスト「#読書の秋2020」。たくさんのエントリーをいただきまして、本当にありがとうございました! 課題図書となった『ユートロニカのこちら側』『嘘と正典』『入れ子の水は月に轢かれ』『月の落とし子』『売国のテロル』の読…

三浦君が教室から飛び降りようとしたことについて。

三浦君を思い出した。 「自殺してやる!!」 そう言って、算数の授業中、いきなり2年2組の教室の出窓に足を掛けた彼には、聞こえていたのかもしれない。 ユートロニカの音楽が。 本書は所謂ディストピアもののSFである。アニメでは某サイコパスものでガッツリふれてはきたが、小説では初めてだった。 …

自分にとって黒か白か~ユートロニカのこちら側~

この世界に、絶対的に正しいことがあるのか? これはこうだ、と決めつける。断定する。 それは果たして、正しいのか?それが正しいと言える根拠はあるのか? 読んだ人に、そう問いかけてくるような小説でした。 アガスティアリゾート計画。 その居住区内で暮らしているだけで、生活するのに不自由し…

書評|ユートロニカのこちら側

 スマートフォンから離れると、不便さと同時に解放された感覚を覚える。世界中の人々をつなぐ糸。止めどなく押し寄せる情報の波。人はスマートフォンを操作するのではなく、スマートフォンと同化した。データ化された人格。データ化は均一化を生み、個性の喪失へとつながる。  小川哲の『ユートロニ…

『ユートロニカのこちら側』を読んで

あらすじ (本書、裏表紙より) 巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報ーー視覚や聴覚、位置情報等全てーーを提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨む彼岸の理想郷から零れ落ちる人々もいた……。苦しみの此岸をさまよい、自由を求…

ユートロニカのこちら側 第一章 リップ・ヴァン・ウィンクルを読んだ感想

 アガスティアリゾートで働かなくていい幸福を享受する妻のジェシカと、その生活に適応することができないジョン。人が死ぬ時に後悔することトップ10に必ず入ってくる「仕事ばかりしていたこと」、でもジョンはアガスティアリゾートで働かなくていい生活を手にしたのに幸福ではない……。  お金の多…

【読書感想文】自由を犠牲にして得られた平和に価値はあるのか?『ユートロニカのこちら…

「人生をコントロールできていない」感覚 自分の人生をコントロールできていない これは、海外駐在員としての日々を過ごす中で、芽生え始めた感覚です。 わたしは仕事の都合で、数年間、海外で生活をしていました。 こういうことを書いてしまうとお叱りを受けるかもしれませんが、駐在はわたし自身…

Society5.0の行き着く先は『ユートロニカ』なのかも

小川哲著『ユートロニカのこちら側』。 「#読書の秋2020」課題図書であったことがきっかけで手にしたが、面白かった。SFには苦手意識があるのだが、違和感なくひきこまれた。 SFといっても異星人が出てきたり異空間に迷い込むわけではない。数年後にはこういう社会になっているんじゃないの?と…