yushin_ito
旅とはそういうものかもしれない。日常の窓を開けて、新鮮な空気で入れ替える。
村上春樹の『一人称単数』は話者によって紡がれた短編集。思考のあくのようなものをすくい取り、煮詰めるとこういう文章になるだろう。 著者の作品には「表裏」が存在する。文体は軽やかでありながら、感情表現は起伏に富む。人間の言葉を話す猿など、極端な展開を設定しながら、日常の趣がそこにある。起承転結をそのまま受け止めても、物語として充分に成立する。 しかし、自分自身の過去や現在、果ては未来につながり、感情を呼び起こす力も持つ。ノスタルジー。後悔。感動。期待。それはまるで、読者
プレミアリーグ 2024-25 マンチェスター・シティ 0-0 アーセナル ・サヴィーニョのターンが生んだ先制点、試合において一つのプレーが持つ重みを再認識 ・隙を突いたカラフィオーリの同点ゴール、Aにとっての新たな武器 ・守り勝てるAに確かな進化を感じる、6-3-0がその象徴
晴れ渡る空。陽光を受け、緑色に輝くピッチ。温もりを帯びた春の風が頬に触れる。 至福の瞬間。それは美しくもあり、音楽的でもある。環境がベースだとすれば、観客が発する声援や打ち鳴らされる太鼓の音色はギターか。水紋のように広がる青と緑。この舞台はいつも、僕の五感を刺激する。 横浜FM 2-2 湘南
結末を知り、鳥肌が立った。物語の過程とその価値が損なわれることはない。しかし、すべての記憶や印象が塗り替えられるような感覚を『十角館の殺人』のクライマックスはもたらす。計算された衝撃。緻密な設計は感嘆に値する。
プレミアリーグ 2023-24 トッテナム 0-1 アーセナル ・ウーデゴールを欠くAは地味だが、反対に勝負強さが際立つ ・ポゼッションの優先順位は下がりながらも、カウンターを中心にゴールへと向かう迫力は健在 ・縦への高い意識とスプリントの融合、ポステコグルーの特徴的なサッカー
プレミアリーグ 2024-25 サウサンプトン 0-3 マンチェスター・ユナイテッド ・ディブリングと菅原を中心とした右サイドがMに脅威を与える ・落ち着きとボールを持った時の引き出しの多さが印象的なディブリング ・菅原の広い視野と正確な技術も光る ・少ない好機を確実に仕留めるM
馳星周の作品を初めて読んだ。もちろん、実態はわからないが、『不夜城』に代表されるスリリングかつ現実的な作風が作者の特徴と認識していた。その雰囲気からは遠い『少年と犬』という作品名に興味を覚えて本を手に取った。 東日本大震災に被災し、飼い主を失った多聞という犬を中心とした物語。人々との出会い。多聞がそれぞれにもたらす前向きな変化。歩み続ける多聞の先に何があるのか。多様な感情と適度な余白が交わり、作品としての引力を放つ。 それもさることながら、多聞の聡明さ。献身性。人々
村上龍の文体に触れた。何年ぶりだろう。最後に読んだのは『オールド・テロリスト』だった気がする。それらの表現が適しているかわからないが、挑戦的であり、野心的であり、男性的。五感が鋭利になるような感覚が忘れられない。 『ユーチューバー』は作者の化身である、矢﨑健介の女性にまつわる回想録だ。どこまでも本能的な生き方が印象に残る。「用事のない生き方」という表現も同様だ。群れず、迎合しない。その生き方には責任が伴い、周囲の反発や抵抗も想像できるが、荒波の中を突き進むような、その姿
プレミアリーグ 2024-25 アストン・ヴィラ 0-2 アーセナル ・緊張感のある流れ ・時間のなさ、狭さ、空間を支配しようとする攻防 ・プレミアリーグの魅力を存分に物語試合 ・Asは後傾姿勢でありながら、攻撃へとつながる積極的守備 ・トロサールの巧みなポジショニングとシュート
象の見た目をしたインドの神様であるガネーシャが現れ、歴史上の偉人たちが実践していた行いや言葉を主人公に授けていく。一見当たり前のように思えることも多い。しかし、その当たり前を行動に移し、それらを積み重ねることの難しさも感じてやまない。 心の底から求める。試練をも前向きに捉える。行動すること。自らを律すること。 挑戦すること。他者を敬い、援助する気持ち。成功の定義は人それぞれだが、多くの人が解釈する成功はそれらの循環によって成立していることを再認識させられる。限界はない。
陰陽の対比において、差す闇をも一体として物事を捉える。その考えが生活に投影され、独特の美観を生む。陰影を悪しきものとして扱う西洋と、その存在を前提として捉える東洋。優劣はないが、後者の思想に深みを感じた。 闇が光を生む。闇があるからこそ、光が差すというのは宇宙の根源にも通じるのではないか。悠久、雅味、花鳥風月。日本と東洋の美意識を表す、それらの言葉の意味や魅力も谷崎潤一郎の『陰影礼賛』は再発見させてくれた。大川裕弘による、物語のような写真の数々も書を引き立てる。
相手を置き去りにするドリブル。突風のようなスピード感はどこまでも鋭く、宮市亮は日本サッカーに待ち受ける明るい未来の象徴だった。しかし、人々が思い描いたような輝きは現実に差すことはなかった。 「くらべる必要のないものまで、くらべてしまっていた」 アーセナルでの苦悩に触れ、心が痛んだ。重圧にいかにして向き合うべきか。心身の準備と言えばそれまでだが、サッカー界の頂点に位置する環境を生き、勝ち抜くための難しさ、過酷さが生々しく語られる。 同時に自分自身の未熟さにも触れた。
PARIS 2024 日本 1-0 マリ ・流動性の高いJ ・攻守の切り替えも早く、攻守の一体感が印象的 ・中盤に君臨する藤田、攻守に圧倒的な存在感 ・山本もラビオを彷彿とさせるプレーぶり、何度も見せたフリーランニングは値千金 ・後半は盛り返したM、強さや速さが際立つ展開
PARIS 2024 日本 5-0 パラグライ ・Jは難敵を相手に大勝、想像以上のパフォーマンス ・Pの退場による影響は大きいが、Jは光る確かな技術の数々 ・斉藤の縦パスが効いた先制点、速度も位置も完璧な配球 ・追加点を生んだアシストも同様、ドリブルに高精度のラストパスと躍動
EURO 2024 スペイン 2-1 イングランド ・Sは攻撃時に流動的な動きで内と外に選手が散らばる ・先制点を生んだヤマルのポジション取り ・緩急と速度、左右の振りが得点を生む確率を高める ・両チームともに目を見張る個人技を有す ・集団で相手を崩す力はSが何枚も上手
EURO 2024 ポルトガル 0-0 フランス (PK 3-5) ・Pはレオンの仕掛けが効果を発揮 ・粒揃いのP、有機的 ・Fよりも完成度が高いように映る ・レオンと同様にデンベレがPの守備組織を撹乱 ・Fを崩せなかったP、崩れなかったF