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会社員兼Football Traveler。アウトプットをサッカー(W杯、CL、EUR…

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会社員兼Football Traveler。アウトプットをサッカー(W杯、CL、EURO、海外各国リーグ等を現地観戦)、食、旅、本で回していく雑文。 著書 『宴の記憶 ―眼の前にあったワールドカップ―』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0881WHNRC

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書評 #19|一人称単数

 村上春樹の『一人称単数』は話者によって紡がれた短編集。思考のあくのようなものをすくい取り、煮詰めるとこういう文章になるだろう。  著者の作品には「表裏」が存在…

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3年前
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EURO 2024
イタリア 2-1 アルバニア
・ブライトンを連想させるIの戦術
・ビルドアップの際に3バック化、中盤との上下動が流動性を生む
・幅を取る両SH、生まれたスペースを前線も含めて上下動して攻撃を活性化
・序盤に先制を許したが、終始支配的だった

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2日前
3

EURO 2024
スペイン 3-0 クロアチア
・強度の高いプレスを前線から浴びせるS
・ショートパスへのこだわりを捨てたS、理想的な試合運び

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3日前
4

EURO 2024
ハンガリー 1-3 スイス
・縦パスの意識が強いS
・同時にHのディフェンスラインの裏への飛び出しへも意識を向ける
・即時奪回のプレスもスムーズ、Hを寄せ付けない
・後半は引き過ぎたか、全体的に間延びして生まれたスペースを生かしてHが挽回するも、Sが勝ち切る

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9日前
2

EURO 2024
ドイツ 5-1 スコットランド
・幅を広げ、中に開いたスペースを生かしたGの先制点
・Dのスペースメイキングが印象に残る試合
・ハフェルツの飛び出しが追加点
・Sを圧迫するような前線からのプレス、前半は特に際立つ
・守備を崩せるムシアラ

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10日前
4

書評 #97|戦術リストランテVII 「デジタル化」したサッカーの未来

 サッカーの試合において「成功」と定義されるプレーの再現性を高めるべく、ポジショナルプレーに代表される戦術の自動化が流布されて久しい。本書の作者である西部謙司は…

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1か月前
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プレミアリーグ 2023-24
アーセナル 3-0 ボーンマス
・相手の想定を超え続けるウーデゴール、チームとしての意志に昇華された有機的な連鎖
・幸運でもあり、巧みでもあるハフェルツのPK獲得
・シュート精度、ゴール前での冷静さ、ゴールを呼び込む位置取り=トロサールの決定力

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1か月前
4

UCL 2023-24
ドルトムント 1-0 PSG
・自由なサンチョ、P陣内で随所に作るタメが攻撃に貢献
・アデイェミのスピードが攻守に有効
・フュルクルクのゴールは冷静そのもの、効果的なポストプレーも光る
・Pは好機も多かったが、最後まで生かせず

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1か月前
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書評 #96|森保ストラテジー サッカー最強国撃破への長き物語

 日本代表を率いる森保一監督の手腕をつぶさに見つめる。サンフレッチェ広島の監督を務めた時代から遡り、強みと弱みを指摘。連続して使用される専門用語を追いかけるのは…

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1か月前
8

プレミアリーグ 2023-24
トッテナム 2-3 アーセナル
・Tのプレス、Aのカウンター
・セットプレーも生かし、Aの現実的アプローチが奏功
・ハフェルツとサカによる圧巻のロングカウンター
・失点したが、Aは最後まで崩れず

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1か月前
5

プレミアリーグ 2023-24
エヴァートン 2-0 リヴァプール
・Eは町田を彷彿とさせるロングボール戦術
・ローリスクかつ高確度なリターン
・Eの鉄壁守備
・Lは引かれるとディアスの突破か単調なクロスしか活路がない

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1か月前
4

プレミアリーグ 2023-24
アーセナル 5-0 チェルシー
・相手陣内のサイドでのタメから階段を下りるような横スライドの展開がAの特徴
・コンディションも回復
・動きならボールを受けるAの選手たち、美しい
・カウンターから活路を見出そうとするC
・ウーデゴールの超絶アシスト

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1か月前
4

書評 #95|スタジアムの神と悪魔 サッカー外伝 増補改訂版

 サッカーの歴史を駆け抜けた気がする。そして、そこには感情がほとばしる。喜怒哀楽。縦横無尽に感情を湛えることができるサッカー。勝利と敗北の幅の中に極めて重厚な感…

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1か月前
12

プレミアリーグ 2023-24
フラム 1-3 リヴァプール
・Lの不安や焦燥を振り払う、アレクサンダー=アーノルドのFK弾
・フラーフェンベルフのタメや他選手にない独特なリズムなドリブルがボールを前進させる
・得点も見事、値千金

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1か月前
4

UEL 2023-24
アタランタ 0-1 リヴァプール
・ダイレクトさ(少ない手数、前進する意識)と強度の高さを取り戻したL
・即時奪回の守備にも連動
・アレクサンダー=アーノルドの復帰も大きい
・しかし、チャンスの割に得点が奪えない
・出し手を抑えるAの守備を最後まで崩せず

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1か月前
3

書評 #94|もえるバトレニ モドリッチと仲間たちの夢のカタール大冒険譚

 クロアチアという国と紅白のユニフォームを身にまとう選手たちをより身近に感じさせてくれる。延長戦やPK戦も含めた異常なまでの勝負強さに象徴される「粘り」を連想する…

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1か月前
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書評 #19|一人称単数

 村上春樹の『一人称単数』は話者によって紡がれた短編集。思考のあくのようなものをすくい取り、煮詰めるとこういう文章になるだろう。  著者の作品には「表裏」が存在する。文体は軽やかでありながら、感情表現は起伏に富む。人間の言葉を話す猿など、極端な展開を設定しながら、日常の趣がそこにある。起承転結をそのまま受け止めても、物語として充分に成立する。  しかし、自分自身の過去や現在、果ては未来につながり、感情を呼び起こす力も持つ。ノスタルジー。後悔。感動。期待。それはまるで、読者

EURO 2024 イタリア 2-1 アルバニア ・ブライトンを連想させるIの戦術 ・ビルドアップの際に3バック化、中盤との上下動が流動性を生む ・幅を取る両SH、生まれたスペースを前線も含めて上下動して攻撃を活性化 ・序盤に先制を許したが、終始支配的だった

EURO 2024 スペイン 3-0 クロアチア ・強度の高いプレスを前線から浴びせるS ・ショートパスへのこだわりを捨てたS、理想的な試合運び

EURO 2024 ハンガリー 1-3 スイス ・縦パスの意識が強いS ・同時にHのディフェンスラインの裏への飛び出しへも意識を向ける ・即時奪回のプレスもスムーズ、Hを寄せ付けない ・後半は引き過ぎたか、全体的に間延びして生まれたスペースを生かしてHが挽回するも、Sが勝ち切る

EURO 2024 ドイツ 5-1 スコットランド ・幅を広げ、中に開いたスペースを生かしたGの先制点 ・Dのスペースメイキングが印象に残る試合 ・ハフェルツの飛び出しが追加点 ・Sを圧迫するような前線からのプレス、前半は特に際立つ ・守備を崩せるムシアラ

書評 #97|戦術リストランテVII 「デジタル化」したサッカーの未来

 サッカーの試合において「成功」と定義されるプレーの再現性を高めるべく、ポジショナルプレーに代表される戦術の自動化が流布されて久しい。本書の作者である西部謙司はサッカーの「デジタル化」「カーナビ化」「マニュアル化」という言葉に置き換え、消化された分かりやすい言葉を通じて概念を読者へと届ける。  デジタル化がサッカーにおける最先端であり、正解のような印象を受ける。守備から攻撃への円滑な移行を促し、その逆も同様だ。しかし、サッカーの要所であるゴール前に眼を向け、ゴールや決定機を

プレミアリーグ 2023-24 アーセナル 3-0 ボーンマス ・相手の想定を超え続けるウーデゴール、チームとしての意志に昇華された有機的な連鎖 ・幸運でもあり、巧みでもあるハフェルツのPK獲得 ・シュート精度、ゴール前での冷静さ、ゴールを呼び込む位置取り=トロサールの決定力

UCL 2023-24 ドルトムント 1-0 PSG ・自由なサンチョ、P陣内で随所に作るタメが攻撃に貢献 ・アデイェミのスピードが攻守に有効 ・フュルクルクのゴールは冷静そのもの、効果的なポストプレーも光る ・Pは好機も多かったが、最後まで生かせず

書評 #96|森保ストラテジー サッカー最強国撃破への長き物語

 日本代表を率いる森保一監督の手腕をつぶさに見つめる。サンフレッチェ広島の監督を務めた時代から遡り、強みと弱みを指摘。連続して使用される専門用語を追いかけるのは簡単ではない。しかし、明瞭な言語化はそれ自体に価値を感じる。「相手の戦術の裏返し」「戦略的ラッシュ」「主導的チーム戦術の欠如」などの表現は印象に残った。  特に「委任戦術」に対する評価には共感した。戦術は研究され、それを見越して先を読む力が求められる。言い換えれば奇跡は続かない。個人の成長など、得ている利益は皆無では

プレミアリーグ 2023-24 トッテナム 2-3 アーセナル ・Tのプレス、Aのカウンター ・セットプレーも生かし、Aの現実的アプローチが奏功 ・ハフェルツとサカによる圧巻のロングカウンター ・失点したが、Aは最後まで崩れず

プレミアリーグ 2023-24 エヴァートン 2-0 リヴァプール ・Eは町田を彷彿とさせるロングボール戦術 ・ローリスクかつ高確度なリターン ・Eの鉄壁守備 ・Lは引かれるとディアスの突破か単調なクロスしか活路がない

プレミアリーグ 2023-24 アーセナル 5-0 チェルシー ・相手陣内のサイドでのタメから階段を下りるような横スライドの展開がAの特徴 ・コンディションも回復 ・動きならボールを受けるAの選手たち、美しい ・カウンターから活路を見出そうとするC ・ウーデゴールの超絶アシスト

書評 #95|スタジアムの神と悪魔 サッカー外伝 増補改訂版

 サッカーの歴史を駆け抜けた気がする。そして、そこには感情がほとばしる。喜怒哀楽。縦横無尽に感情を湛えることができるサッカー。勝利と敗北の幅の中に極めて重厚な感情の濃淡が存在する。  サッカーは詩的でもある。官能的とも呼べるだろう。ウルグアイのモンテビデオに生まれたエドゥアルド・ガレアーノが紡ぐ言葉の数々は競技が内包する情熱的な美しさの象徴である。 「およそモラルというものについて、私はそのすべてをサッカーから学んだ」 「驚きを生み出す飽くことのない資質」 「サッカーは

プレミアリーグ 2023-24 フラム 1-3 リヴァプール ・Lの不安や焦燥を振り払う、アレクサンダー=アーノルドのFK弾 ・フラーフェンベルフのタメや他選手にない独特なリズムなドリブルがボールを前進させる ・得点も見事、値千金

UEL 2023-24 アタランタ 0-1 リヴァプール ・ダイレクトさ(少ない手数、前進する意識)と強度の高さを取り戻したL ・即時奪回の守備にも連動 ・アレクサンダー=アーノルドの復帰も大きい ・しかし、チャンスの割に得点が奪えない ・出し手を抑えるAの守備を最後まで崩せず

書評 #94|もえるバトレニ モドリッチと仲間たちの夢のカタール大冒険譚

 クロアチアという国と紅白のユニフォームを身にまとう選手たちをより身近に感じさせてくれる。延長戦やPK戦も含めた異常なまでの勝負強さに象徴される「粘り」を連想するが、それは歴史や経験から培われたものと認識させられる。 「クロアチアは小さい国かもしれないが、勇敢で闘争心があり、献身的で全力を尽くす国民なんだ」 数々の戦いを眼にし、クロアチアに抱く印象と合致する言葉に初めて出会った気がした。クロアチアを率いる、ズラトコ・ダリッチの言葉は像の輪郭を濃くする。  名のある選