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食レポ

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記事一覧

食レポ|デニーズの胡麻香る四川風坦々麺

 滑らかな麺の喉越し。甘く、風味豊かなごまとラー油の適度な刺激に乗せて。もっと味わいたい。もっと没頭したい。そんな思いを募らせる一杯が、デニーズにはある。

食レポ|百麺 中目黒店

 開店まで、華やぐ中目黒の街頭を練り歩く。洒脱な活気がそこにはあった。その一杯を「念願」と形容するのは大袈裟か。「百麺 中目黒店」の入り口から中を覗く。扉が開き、カウンターへと腰を落ち着ける。注文した「太麺」の到着を待った。  黒縁の丼に黄金色のスープが映える。そのスープには芯まで豚骨と醤油のうまみや香りが凝縮していた。安堵の息を吐きながら、心身を満たしていく。太麺やチャーシューは無骨と言える。繊細さと豪放さの共存。

食レポ|横浜家系らーめん 武術家

 黒地に黄の文字が浮かぶ看板。そこには「横浜家系らーめん 武術家」と書かれていた。雨に打たれる、朝の大井町。足元から這うように寒さが募る。突然の出会い。腹はそこに埋める食を求めていた。  早朝から食べる「ラーメン」はいつにも増して、全身にそのうまみが広がっていくような錯覚を覚える。水を求める草花のように。レンゲを持つ手を止め、充足の一杯との別れを告げた。

食レポ|ジェラテリア アクオリーナ

 再訪。「オリーブオイル」は上質な絹のように滑らかであり、オリーブオイルそのままの香りが口いっぱいに広がる。  「とうもろこし」の自然な甘味と適度に残った粒感が食感にアクセントを添える。濃厚であり、その濃厚さはこの上ない満足感を与える。しかし、そこにくどさはまったくない。上品な味わい。空、川、山。そうした自然に手が届くようだ。土の香りがする。手垢が浮かぶ。そんな真摯なジェラートがここにある。

食レポ|エリックサウス KITTE名古屋店

 僕は名古屋で忘れることのできないカレーと出会った。明るさを抑えた店内。スパイスによる刺激的な香りが食欲をそそる。「エリックチキンカレー」「はちみつバターチキンカレー」「サンバル」で構成される「3種カレープレート」を注文した。  そのカレーはまさに「逸品」だ。適度な硬さを残すターメリックライスをカレーに浸す。美食に共通する、食す者の想像を超える味わい。味わいが広がり、広がった奥に新たな扉が開くような快感がそこにある。「エリックチキンカレー」は刺激と爽快感が共存し、「はちみつ

食レポ|えびそば 一幻 八重洲地下街店

 「えびそば」との初めての出会い。その味わいは想像できるような、できないような。八重洲地下街の隅にひっそりと佇む「えびそば 一幻」。昼前でも多くの人々が舌鼓を打つ。僕は「えびしお」を注文した。  真紅の丼は赤漆を彷彿とさせる。掻き立てられた食欲。そこに没入する。えびのうまみが鼻を抜ける。海老だ。スープが太麺によく馴染んでいた。えび風味の天かすもまた特徴的。音が立つような食感が歯に残る。「えびそば」によって一日は始まった。

食レポ|らーめん一郎

 瀟洒な街並みに、こぢんまりした看板がなじむ。「らーめん一郎」。潔い。その佇まいは喧騒の中にある隠れ家のようだ。地下へと通じる細い階段の先に厨房とカウンターが広がっていた。「いらっしゃい」。飾り気のない言葉が僕を出迎えてくれる。  カウンターの中央へと腰を落ち着けた。注文した「特製醤油らーめん」の到来をしばし待つ。その瞬間はすぐに訪れる。期待した和の趣がそこにあった。自然の風合いを感じさせる白い丼に茶色のスープがよく映える。  レンゲでそのスープをすくう。風味が体内を駆け

食レポ|リンガーハット イオンモール浦和美園店

 イオンモールの中を練り歩いた。食欲を埋める、適切な一品を求めて。行き着いたのは「リンガーハット」だった。  「長崎ちゃんぽん」の麺を半倍とし、丼と向き合った。適度な塩気を味わいながら、大量の野菜を口へと運ぶ。滑らかな麺はスープをまとい、するりと食道を通りながら、熱へと変換する。額に浮かぶ汗を拭う。埼玉スタジアム2002へと向かう準備は整った。

食レポ|ロイヤルホスト 東新宿駅前店

 光には色がある。夜を迎えた「ロイヤルホスト東新宿駅前店」のそれはほのかに橙色が差し、適度な温感がそこから伝わる。広く取られた空間の中、人々は思い思いの時間を過ごす。発する声も波のざわめきのように耳へと入る。不快には感じない。参考書を持った大学生の男性二人。カップル。親子連れ。三世代とシャンパン。宇宙の中に小さな世界が散らばっている。それは記名性と匿名性が入り混じる、東京を象徴する風景なのかもしれない。  注文した「黒×黒ハンバーグ」が音を立てながら運ばれる。二五〇グラムの

食レポ|プクプク亭

 日吉駅から歩いて一分。「プクプク亭」は緑色の芝生に寝転がり、その場に身を任せて浴びる日差しのような店と形容したい。一片の翳りもなく、ずっといたいと思わせる。  間隔が広く取られたカウンターに腰を落とした。太陽たる厨房。背後に座る人々は陽光に舌鼓を打つ。注文した「特製ハンバーグ」が運ばれてくるのを待つ間、そのコントラストを楽しんだ。  「特製ハンバーグ」はカンディンスキーの絵画を連想させる。玉葱ドレッシングを乗せたキャベツ。ポテトサラダ。それらは淡くも、鮮やかな残像を視界

食レポ|イマカツ 銀座店

 東銀座で過ごす、贅沢な時間。心の赴くままに時間を満たした。「イマカツ 銀座店」は歌舞伎座の裏通りに軒を構える。段差を下り、扉を開いた。そこには旅館のような静謐な和空間が広がっていた。  注文した「イマカツ膳」を待つ間、供されたキャベツにたっぷりとごまのドレッシングを注いだ。新鮮なキャベツは濃厚なドレッシングをまとい、前奏を奏でた。「イマカツ膳」は素晴らしかった。メンチかつ、ササミかつ、一口ヒレ、カニクリーム。皿の上には精鋭が集結していた。  そして、衣の薄さが忘れられな

食レポ|中国ラーメン揚州商人 武蔵小山店

 唸るような記憶はない。しかし、毛布に包まれるような安心感が「中国チャーシューメン」にはあった。大ぶりなチャーシューを存分に味わった。正油のスープは故郷に帰ったかのように懐かしい味を届ける。中太麺の揚州麺に乗せて。

食レポ|うどん 丸香

 寒空が頭上に広がっていた。モダンなカフェのような「うどん 丸香」の前で数分の時を待つ。一年に一度の訪問。今日はその日だ。  注文した「釜たまカルピスバター」が運ばれてきた。バターと玉子が美しい海を作り、コショウとネギが彩りを添える。出汁醤油を上から注いだ。バターと玉子のまろやかな掛け合い。主役はうどんのコシだ。巨大なちくわ天は風船のように弾力があり、かしわ天は肉汁が口いっぱいに広がる。だしのうまみに思いを馳せながら、温まった身体を外へと運んだ。

食レポ|シェリーズバーガーカフェ

 整理されたアメリカンな内装。大きく取られた窓から、外光が「シェリーズバーガーカフェ」の店内へと飛び込んでくる。レジへと向かい、「アボカドチーズバーガー」を注文した。  アイスコーヒーを飲みながら、窓外を眺めた。「アボカドチーズバーガー」が運ばれてくる。女性スタッフの笑顔が印象深い。ハンバーガーとのファーストコンタクト。それは他の料理にはない、特有の高揚感を伴う気がする。バンズにフレンチフライ。ミニコールスロー。申し分ない。  フレンチフライの上からケチャップをかけた。手