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食レポ|プクプク亭

 日吉駅から歩いて一分。「プクプク亭」は緑色の芝生に寝転がり、その場に身を任せて浴びる日差しのような店と形容したい。一片の翳りもなく、ずっといたいと思わせる。

 間隔が広く取られたカウンターに腰を落とした。太陽たる厨房。背後に座る人々は陽光に舌鼓を打つ。注文した「特製ハンバーグ」が運ばれてくるのを待つ間、そのコントラストを楽しんだ。

 「特製ハンバーグ」はカンディンスキーの絵画を連想させる。玉葱ドレッシングを乗せたキャベツ。ポテトサラダ。それらは淡くも、鮮やかな残像を視界に残す。

 もちろん、主役はハンバーグだ。デミグラスソースの海にル・フォールのタルタルが交わる。ハンバーグに箸を入れた。肉汁が湧出する。タルタルの苦味が音域を広げる役割を果たしている。たっぷりと盛られたライスは「特製ハンバーグ」によって美しく姿を消す。


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