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「知」を作るのは誰か 『関係からはじまる』第7章(読書会記録)

 2週に1章ずつオンライン読書会で読み進めているガーゲンの「関係からはじまる」。今回は第7章のまとめです。※あくまで個人の受け取り方・感想です。

📕第7章概要

第7章 知の共同生成

 第7章からは第3部「専門的実践における関係規定的存在」に入り、とうとう半分を折り返しました!(全12章)
 500ページもあるこの本は、一人では絶対挫折して読めなかったと思うので、ここまできたことがちょっと感慨深いです。
 今回の章は、全体的には「知の生成」を行う=大学などのアカデミックの話となっており、個人的に体感としてあまりしっくりこなかった部分ではあります。
 ただ、個別の文面からはなるほどと思うこともあったので少しだけ書いておきます。

📕知はコミュニティで作られる

 物事は関係によって規定されるという考えでここまできていますが、とはいえ実際のモノやコトは、そもそも先に存在してますよね。例えば「月」は「関係」なんかの前に既に「月」として存在している。

 では、その「月」をどう捉えるか?というのは、そのコミュニティによって違うというのが、「知はコミュニティで作られる」の真意のようです。

同じ月でも・・・
・日本ではウサギがいてお月見、海外は別のものに見えてる
・夏目漱石を読んでる人にとっては「月が綺麗ですね」の意味は?
・スピリチュアルなコミュニティで月が持つ意味は?

 みたいな感じかなと思います。(上手い例え思い付かず……)

📕学問分野の問題点と良い兆し

 学問分野においては、細分化されていき対立が生まれているということ、研究者が論文を書くのは、優れた書き方=優れた思考であるとみなされているということが初めにたくさん書いてありました。

 それに対し、知はコミュニティに起源があることを思い出し一般に向けてわかりやすく伝えることや、経験に基づく言葉で書くことで平等な立場を明らかにするなどの取り組みが紹介されています。

 研究者にとって、一方的に研究対象を観察し伝えるという作業ではなく、社会的参加を通じて初めて知ることができるのでは(そのコミュニティの文脈を理解できる状態になるよう溶け込む・多様な表現の仕方がある)という問題提起がなされています。

 面白いのは、この本自体がまさに第7章で書かれている提言を実現している本ということです。
 随所に、著者ガーゲンの(一見唐突だったり不可解に見えたりする)過去のエピソードが盛り込まれていたり、ミニストーリーがあったり、偉人の言葉が書いてあったりしています。

 500ページにわたるこの本を、いろんな人がいろいろなことを感じながら読み進められる工夫がしてあるのかなと思いました。

📖各章の感想はこちら
第1章 誰もが「私」から世界を見ると起こること
第2章 生きている限り関係なしで成り立つものはない
第3章 「心の中のこと」と思ってたことも、全て「関係」による
第4章 関係のシナリオで対話(現実)を変える
第5章 自分も相手も関係によって変わりゆく
第6章 グループ間の対立をやわらげるには
第7章 「知」を作るのは誰か
第8章 多様な参加の輪が教育にも有効
第9章 セラピーも関係で捉え、自分自身のナラティヴも変えていける
第10章 関係の視点で捉えた組織・リーダーシップのあり方
第11章 自分の価値観を押し付けないことで対立を柔らかくする
第12章 関係から成り立つ全てのことに感謝を

もう少しわかりやすい入門書はこちら→「現実はいつも対話から生まれる

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