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出戻り小学生

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根っからの学校嫌いが大人になって、まさかの学校で働くことに…。 現場における謎と不思議、笑いと感動に溢れた日々の記録。 今でも、戻れるのなら戻りたい…。
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#大人

女子と女の境目

 ひっさしぶりにやって来た6年女子。歯科矯正器具を付けた口を尖らせ、「ちょー、きぃてぇーやー」とぶつぶつ言い出した。唇の荒れが気になる。
そこから愚痴、愚痴、愚痴。誰のかというと、先生の…だ。で思いっきり先生を敬称略で呼び捨てにする。舌を巻く。こんな子じゃなかったのに…大分お怒りの様子だ。
 内容は大して怒るようなことでもなかった。彼女自身、己の非も認めていた。しかし素直に謝るのも納得いかないらし

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褒め上手な小学生

 大人になるまで、人に褒められる…ということが殆ど無かった。
 親には勿論、先生など目上の人、友達などを含め…。
 子どもの頃に褒められた記憶がまるでないわけではないが、僅かなそれさえ、子どもの私にはピンとくるものでは無かった。そもそも褒められているのか貶されているのか、冗談で言われているのか、よくわからないものばかり。
「癖毛が可愛いね」(ぼさぼさなだけやん、どこがやねん)
「歌うまいね」(音楽

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不明本発見!

 初めての蔵書点検で不明本の多さに脅威した。数千冊を超えたのがそもそも異常。踏ん張って、最終的に30冊強まで減ったが、どの程度が普通なのかわからないので、他所の司書さんに状況を伺ったところ、多くても両手で足りる程度、小規模校なら片手で余るくらい、中には0という優秀な学校もあって、少々落ち込んだ。やはりうちは異常だ。
 勤めて丸4年。専任になって2年目。週5日、毎日司書が図書室に居るというのに、今年

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将来何になりたいか?

 子どもに訊かれる。
「先生の夢ってなに?」
 はて、夢とな。首を傾げる。
 私を大人と思っての発言か…?と思う言葉をしょっちゅう投げ掛けられるが、夢を訊ねられたのは初めて。詳しく意図を訊いてみると、将来何になりたいか?という話らしい。
 尚のこと、『私を大人と思っての発言か?』と思う。
 学校司書は…というか、私は、どうやらあまり、小学生に〝大人〟だと認識されていないようだと度々感じる。距離が近

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30センチだらりん事件

 このところ、やたらと続いていることがあり、それがとても気になっている。
 実はトイレのことなのだが、職員トイレにある三つの個室のうち、唯一の洋式トイレで、それは起こっている。
 入ってみると、トイレットペーパーが30センチぐらい、だらりーんと垂れ下がっているのだ。先は勿論、途中で引き千切られた形相。ガッタガタのギッザギサ。扉を開けるなり、毎回ギョッとする。
 あまりに続くのだが、それと共に、トイ

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