マガジンのカバー画像

何度でも読み返したいnote2

98
何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの2も記事が100本集まったので、3を作りました。
運営しているクリエイター

2022年5月の記事一覧

05.14

美味しいもの談義「よくわからんけどとりあえずすっごい美味しいもん食べたいなぁ。」 仕事の帰り道でぼくの隣を歩くいつもの上司が笑いながらぼくにこう語りかけてきた。 「そうですね。 とりあえずすっごい美味しいもの食べたいですね。」 そうぼくも笑いながら上司へと言葉を返す。 そうやってぼくと上司のいますっごい食べたいもの談義が突然幕を開けた。 まずはじめにあがった美味しいものは「回転寿司のサイドメニュー」だった。というのも仕事の休憩時間にぼくがInstagramで回転寿司

さっちゃん争奪戦

さっちゃんは、平凡なあだ名。さっちゃんはオールラウンダー。 学校で、あだ名で級友を呼び合うことを禁止する校則が世の中に存在することを初めて知った。容姿や性格から本人の意図しないあだ名がつけられた場合、差別助長につながる可能性があるから、だそうだ。苗字で呼ぶことでフラットな付き合いを目指すらしい。 小学校のとき、クラスでさっちゃんを最初に獲得したのは、私の友人の「さちよ」ちゃんだった。誰かが彼女のことをさっちゃんと言うので、私がその仲良しグループに入れてもらったときには、もは

なにごともない町

ここ数日間、大家さんへの退去の挨拶を書いては消し、書いては消しを繰り返していた。 彼らに懺悔しておきたいことや、共有しておきたい思い出。 いざ書き出してみると糸がするするほどけるように次から次へと記憶と言葉が溢れ出てきて、書けども書けども収まりそうになかった。 節分のあと自転車置き場に残された大量のハトのフン、ガリガリ削って片付けてくださってありがとうございました。 そして、本当にごめんなさい。 あの辺りに炒り豆をこぼしてそのまま放置した犯人は、私です。 なぜか真夏の昼間

あの夏の、

忘れられない、夏がある。今でも時々ふと思い出して、ああ楽しかったなって顔がほころぶ、そんなひと夏の思い出。前にもnoteに書いたかもしれないけど、今日またふと思い出して、ふわふわと幸せな気持ちになったから書き残しておこうと思う。 大学3年生の夏、ホテルのビアガーデンでアルバイトをしていた。仕事自体は楽ではなかったけど、とても楽しかった。時間いっぱい客席を駆け回ってビールを運ぶ。季節限定のイベントを従業員もお客さんも、みんな一緒に楽しんでいるという印象で、みんな仲が良いという

涙の代わりに飲み干してた缶ビールを喜びに変えようじゃあないの

いつかの旅行帰り、座った新幹線が3人席だった。 私と夫と、窓際には出張帰りのような方。 旅の余韻に浸りながらあれが美味しかったこれが面白かったと話していると、出発から程なくして隣の方に声をかけられた。 「あのすみません」 「はい、どうされました?」 するとその方はスッ、と懐から買ったばかりであろうご当地缶ビールを出して一言。 「これ、やらしてもらっていいですか。」 あまりにキッパリとした潔さ! 私も夫も最高の気持ちになってしまった。 思わず笑顔で「どうぞ〜!」としか言え

俺が真也で真也が俺で

夫が真也に理解を示している。 それも、とびきり深い理解と同情をだ。 我々夫婦が、そろってAmazonプライムのバチェラージャパンを楽しんでいることは、既に何度かお伝えした。 参考記事① 参考記事② ←最近ようやくリンクを付けられるようになったから多用 バチェラーとは、たった一人の完璧な男性を複数人の女性たちが奪い合う恋愛リアリティショーである。 シーズン4から視聴をスタートさせ、その後シーズン1、2と順調に視聴を重ね、このほどついにシーズン3を完走した。完全制覇である。

とんとん、とん

個人的な話で恐縮なのですが、私は現在パニック障害の治療の為、月に一度病院に通っています。 長年の付き合いである主治医、薬剤師の方とのカウンセリングと、数種類の薬による治療を施してもらっています。 日々の薬の服用はもちろん、適度に運動をしたり、ストレッチなどを日課的に行うことがとても大事だとのアドバイスを受け、毎朝仕事前、そして夕ご飯の前か食後に、計三時間ほどウォーキングをしています。 晴れた日は飲み物を持ち、雨の日は傘をさして歩いています。 いつもの見慣れた田舎道ですが、

「死んだら悲しい」は本当か

また、知り合いが自殺した。 その人とは何人かで集まる時に居合わせるという感じで、個人的にすごく話したというわけではなかったので、「〇〇自殺したよ。」と聞いた時、驚きはしたけど「驚き」程度だった。 「まじか。」に次いで出た言葉は、「OD?」だった。その人がやたら薬に詳しくて度々ODしているのを知っていたから出た言葉だったが、自殺の知らせを聞いてから何も考えずに自殺方法を尋ねてしまうくらいには、私はおかしい。 その手のニュースに私は上手く反応できなくなっている。 友達が死んでも

あなたのおかげで、今日も楽しい一日だったよ。

万博記念公園で「OUTDOOR PARK」というイベントが開催された。 その名のとおり、アウトドアメーカーがギアの展示・販売をするほか、フード・ドリンクの屋台も出る。ポップアップテントなどの簡易テントを立てたり、シートを敷いたりする人も多く、アウトドア好きな人たちが集まって、思い思いに楽しむことができる。 ここ数年開催されているイベントで、キャンパーの私と夫も何度か足を運んでいる。今年も楽しみにしていて、日曜日の昼前に出かけた。 ただ、朝起きた時からあまり体調が良くなかっ

ぼくのエメラルド

これは、今から約10年前の、息子が小学2年生の時の作文だ。 夏休みに、街の小さなコンクールに友達と参加して書いたもの。 コンクール名は、「家族のことを書こう」だった。 息子はクワガタの「エメラルド」を、家族として作文に書いた。 私は少し、エメラルドが羨ましかった。 夏休み、私は、当時中学生だった難病の二女に付きっきりだった。 二女は外出することが難しい身体。 娘を預けるところも現在ほどは充実していなかった。 だから、息子はお友達の家族に混じって一緒に遊びに連れて行っても

結婚したくてもがいていた過去の自分に伝えたいこと

私が結婚したのは35歳のとき。世間一般には、晩婚と呼ぶのだと思う。 独身時代が長かったし、結婚を意識するようになってから実際に結婚に至るまでの間、悩み苦しむ時間が割と長かった。結婚については、私なりにいろいろと考えたので、いつか言葉にしてまとめたいテーマでもあった。 実際、何度か書いてみたことがあったのだが、自分の経験をさらけ出すことにためらいがあった。それに、デリケートな感情に触れざるを得ないから、そんなつもりはなくても、誰かを傷つけてしまうような気がして、ボツにしてき

「ありがとう」を美しいと思ったあの夜を、

ああ、なんと美しいんだろう。 わたしも、然るべきときにはそう在りたい。 と、強く願った。 * 「洗っておくよ」と言われた。 赤いネルフのロゴ入りの、黒いマグカップはわたしのお気に入りで 昨日から、飲みかけのコーヒーを冷蔵庫に入れっぱなしになっていた。 今夜はもうコーヒーは飲まないから、洗っちゃおう。 そう、思ったときにこと。 「いいよ、わたしやるよ」 だってマグカップひとつだし。 わたしは、シンクの前に立っている。 君はこのあと、手を洗うついでだと言ったけれど ぜんぜ

あのひとの読む本|きらきらひかる

趣味がほしいんや、と彼が言った。 いつものように本を読みながら。 あるじゃない、趣味。とその本を指さして私は言う。 彼は私をみて本をみて首を振った。 読書は趣味やないよ。ライフワークやから。 長野まゆみがすきなの、と言って あぁ少年アリスのひとやろ。それだけ読んだことあるわ、 と返ってきたとき、私はびっくりした。 男性で、長野まゆみを読んだことのあるひとを、はじめて見たのだ。 浮気性で軽薄な彼は、意外にも、無類の読書ずきだった。 本なぁ、まあまあ読むで、と言うのは、別

一人もいいが、二人もいい

年賀状の整理をしていて、そのうちの一枚に目が止まった。 昔、会社の同じ職場で仕事をしていた女性からのものだ。親子三人が笑顔で写った、娘さんの七五三の記念写真が載せられている。とても幸せな家庭ということが想像できる。 知的ながら、やや冷たそうな雰囲気だったその女性の顔つきは、すっかり穏やかなお母さんの表情になっている。 彼女は、当時、法律の専門家として、取引先との契約文書の法務チェックや営業部門の各種相談窓口、取締役会、株主総会の運営と、多岐にわたり活躍していた。専門家であり