琲音(はいね)

50代専業主婦、3人の子の母、二女が難病、絵手紙と散歩と珈琲が好き 日々の暮らしのなか…

琲音(はいね)

50代専業主婦、3人の子の母、二女が難病、絵手紙と散歩と珈琲が好き 日々の暮らしのなかで心がぐーんと動いたことを書いています 公募エッセイコンテストにて13回受賞 noteではパナソニック「#清潔のマイルール」にてグランプリ受賞/2023note創作大賞エッセイ部門中間選考通過

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父のまなざしと、洋食屋さんのプリンアラモード

「お父さんに愛されていると感じた思い出はありますか?」 と、先日、ある方に訊かれて少し戸惑った。 父に愛されていた、と思っている。 父は家族を何よりも大切にする人だったから。 でも、愛されていると感じた具体的なエピソードが、すぐには浮かばなかった。 昨年の3月に父は亡くなり、会えなくなってもうすぐ一年になる。 父を思い出す機会は少しずつ減ったが、それでも時々、父に話したいことがあると、空を見上げたり、スマホの中の写真を見つめたりすることもある。 スマホで撮った写真に

    • 大阪でsorry、sorry言いまくる

      前回の記事に続き、今回は翌日の観光のお話を、記憶が新しいうちにちょっとだけ書いてみたいと思います。 瀬戸内海の島を出て、その日のうちに私と妹は大阪まで戻りました。 夜間、二女に何かあれば、少しでも早く自宅に帰れるようにと思い、関西圏に帰ってきておりました。 とりあえずホテルでチェックインを済ませ、夜遅く、通天閣へ。 この日は妹と、夜遅くまで語らいました。 翌朝、私たちが張り切って向かった先は大阪城です。 予想に反してめちゃくちゃ良いお天気!暑すぎず、心地よいお散歩日和

      • 過疎の島の未来を思う

        10月の最後の週末、妹と一泊二日の旅に出た。泊まりの姉妹旅行は大人になってからは初めてだ。 目的地は両親の故郷、瀬戸内海の島。 島へ行くのは3年ぶりだった。 前回は、弟が両親を島へ連れて行ってあげようと計画してくれて、弟の運転で、両親と私と妹と、つまり家族水入らずで島へ渡った。その日は、私と妹は日帰りで帰ってきた。 当時、肺を患い、歩くのがやっとだった父は、島に帰ると別人のようにサクサク歩いた。叔父たちにも会えてよほど嬉しかったのだろう。 その旅が父の最後の里帰りになった

        • 独居老人の義母、詐欺師に騙されてしまう

          義母がキャッシュカード詐欺盗に遭ってしまった。 我が家の地域の回覧板でも、つい先日、こんな注意喚起がなされていた。 その手口と全く同じで、そんな!まさか!と思った。 9月の終わりだった。 夕方、義母から電話がかかってきて、声を震わせながら私に小声で話し始めた。 「琲音さん、琲音さん、わたし、大変なことになってね。詐欺に遭ってしまって。」 驚いた私は、まず、義母の身の安全を心配した。 とりあえず警察にも知ってもらっているとわかり、ゆっくりと義母から話を聞きながら、すぐ

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        父のまなざしと、洋食屋さんのプリンアラモード

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        記事

          あんパンには牛乳を、チョコレートには珈琲を

          時々、無性にあんパンが食べたくなる。 お餅はこし餡派なんだけど、パンはやっぱりつぶ餡がいい。 高級なパン屋さんよりも、4個入りのヤマザキあたりがちょうどいい。 それも1個で充分。 2個以上欲張ったら胃もたれするようになったから、加齢ってある意味、エコだと思う。 よくよく考えてみたら、私があんパンを恋しがるのは体がガッツリ疲れた時だ。 例えば肢体不自由の二女を連れ出した日。 ようやく帰宅して娘を整え、荷物を片付けて、いったん座り込んだ時とか。 例えば庭の草取りを、無心

          あんパンには牛乳を、チョコレートには珈琲を

          我が家の北側の生垣に、今年も鳩が巣を作っていた 剪定が遅れた年は必ずやってくる 鳩は衛生的にも苦手なんだけど、鳥獣保護法的にもう仕方ない 彼女の名は鳩子 毎年同じ鳩なのか、鳩子のハトコか?と思って調べたら、鳩の寿命は約10年だから、きっと同じ母鳥だ 鳩子、子育てがんばれ!

          我が家の北側の生垣に、今年も鳩が巣を作っていた 剪定が遅れた年は必ずやってくる 鳩は衛生的にも苦手なんだけど、鳥獣保護法的にもう仕方ない 彼女の名は鳩子 毎年同じ鳩なのか、鳩子のハトコか?と思って調べたら、鳩の寿命は約10年だから、きっと同じ母鳥だ 鳩子、子育てがんばれ!

          一人一人に話しかけるように#こんな仕事です

          私も仕事についてnoteで書いてみたい、そんな気持ちはずっとあったのですが、専業主婦を25年もやっているとなかなか書けなくて。   ですが是非とも、み・カミーノさんの企画に参加したくて、思い切って私の若い頃の話を書こうと思います。 ずいぶん前になりますが、私は公立中学校の教諭でした。 教科は数学です。 二女の病気がわかり、大好きな仕事を辞めることになりました。 その時の悔しかった気持ちを忘れたくて、noteでは仕事について触れずにいました。 しかしそれも、もう四半世紀

          一人一人に話しかけるように#こんな仕事です

          朝、突然ガラスが娘に降ってきた

          パッリーン! 数日前の早朝4時過ぎ。 頭の右上の方で大きな音がして飛び起きた。 枕元にあるリモコンで電気をつけると、壁にかけてあった額縁が棚の上に落ちて、表面のガラスが割れていた。 その棚は、肢体不自由の二女に必要な医療的ケア用の機械や物品を置くために、娘のベッドの頭の方にピッタリとくっつけて置かれている。 うわぁ、あかん!娘が危ない! 寝ぼけた頭が猛スピードで覚醒した。 慌てて娘のまわりを見ると、ベッドの上にも小さなガラスのかけらが散乱していて血の気が引いた。 娘

          朝、突然ガラスが娘に降ってきた

          孫を連れて、ベビー服屋さんでお買い物

          初めて孫を連れてお出かけできる! 留守番の夫には申し訳ないけど、朝からワクワクが止まらない! 生後6ヶ月になった孫の動画を、毎日50回くらい再生している私たち夫婦。 声を出して笑ってるやん! ずり這いしてるやん! 手で足を掴んで噛んでるやん! あら、スプーンでごっくん、上手上手! 動画を観て、おもちゃや服を買ってあげたくなる衝動を抑えつつ、私はせっせとおしり拭きばっかりを買って、長女たちが遊びに来たら渡してきた。 おしり拭きはサイズが気にならないし、何でも拭けるし、腐

          孫を連れて、ベビー服屋さんでお買い物

          漫画家を目指していた私の小学生時代

          学級文庫って、小学校に今でもあるのかな。 唇の両端に両手の人差し指を入れてちょっと引っ張りながら「学級文庫」って言ってみる遊び、昔は流行ったんだけど、今の子たちもやるのかな。 いきなりお行儀が悪くて、失礼しました。 そんなお茶目で昭和な話はさておき… 私は昔、自分の作品たちで冊子を作ったことがある。 と言っても、それは拙い手書きの漫画を冊子にしたものだ。 あれは私が小学6年生の頃のこと。 私と親友は漫画雑誌を作り、その冊子を学級文庫に置かせてもらった。 そんな懐か

          漫画家を目指していた私の小学生時代

          おうちカフェはエンドレス

          我が家は時々、「おうちカフェ」や「おうちランチ」のお店になる。 外でランチやお茶ができればいいんだけれど、娘の介護があって私がなかなか家から出られないので、友だちが我が家に来てくれることが多いのだ。 それは最近に限ったことではなくて、これまでもずっと。 特に肢体不自由の二女に関係のある友人たちはみんな、我が家のおうちカフェに慣れていて、気楽に来てくれる。 二女にも会ってもらえるので、私はそれも嬉しく思っている。 先日も、二女繋がりのママ友が遊びに来てくれた。 彼女と会

          おうちカフェはエンドレス

          今朝、急に思い立って、文フリ大阪へ行きました お目当ての本をご本人から買えて嬉しかったです たくさんのお店をゆっくり見て回りながら、気に入った本を数冊買って、ほくほくしました! お会いできた方々、ありがとうございました 良き時間を過ごせました!

          今朝、急に思い立って、文フリ大阪へ行きました お目当ての本をご本人から買えて嬉しかったです たくさんのお店をゆっくり見て回りながら、気に入った本を数冊買って、ほくほくしました! お会いできた方々、ありがとうございました 良き時間を過ごせました!

          初めて、化粧品売り場でメイクをしてもらった50代のわたし

          化粧品販売員さんと話すのが苦手だ。なぜなら、みなさん、きれいなお姉さんばかりだから。 彼女たちは美容部員やビューティアドバイザーと呼ばれるらしい。 バッチリメイクのお人形さんみたいな瞳で見つめられると、雑&薄化粧な自分がなんだか恥ずかしくなる。 だからいつも、なるべく話しかけられないように通路を選び、いつもの決まっている商品を持って、さっさと化粧品売り場のカウンターに持っていく。 カウンターで美容部員さんから 「肌チェックをしてみませんか?」 とか言われるのを全力

          初めて、化粧品売り場でメイクをしてもらった50代のわたし

          息子が帰ってきた日には

          春からのひとり暮らしで、息子は4キロ痩せた。 先日、我が家に帰ってきた息子を見て、細い体が一段と細くなっていて、心配になった。 「ちゃんと食べてるの?」 「あぁ。」 「でも、あんた、痩せてるやん。」 そう言うと、食べても食べても痩せていく、と彼がぷよぷよ肉の全くないお腹を見せながら困った顔をした。 自炊をして、たくさん作ってモリモリ食べているのに、と息子本人は言っている。 なんならスナック菓子も食べてるわ、と威張ってくる。 「朝ごはんは?」と聞くと、 食パンを

          息子が帰ってきた日には

          母に運転させない練習

          母がスーパーの駐車場で車のトラブルを起こした。 母は車を運転して、ひとりで来店していた。 買い物を終えて、買い物カートから車に荷物を移し替えたあと、ちょっと気を抜いた隙に、空っぽになったカートがスルスルと勝手に動き出してしまったらしい。 その駐車場は緩やかに傾斜している。 足が痛くて早く歩けない母は、動いていくカートを追いかけることができない。 「誰か、止めて!」と大声で叫んでも、まわりに誰もいなかった。 数台先の、ちょうど動き出したばかりの車にそれが衝突して、お相手の

          母に運転させない練習

          たった一度だけ、祖父に叱られた夏の日のこと

          私の両親の故郷は、瀬戸内海に浮かぶ島だ。 私が幼い頃は、夏休みになると母方の祖父母の家で過ごし、毎日のように島の海で泳いだ。 浮き輪でぷかぷか浮かんだり、幼いいとこを抱っこして波打ち際で遊んだり。 休憩には浜で砂遊びしたり、スイカを食べながらタネをプープー飛ばしたり。 真っ黒に日焼けして、肩や背中、鼻の頭の皮がピラピラむけてしまっても、平気で毎日海へ行った。 思い返せば瀬戸内海の海はバスクリンのように緑色っぽくて、いつも美しくて穏やかだった。 しかし私が一番印象に残って

          たった一度だけ、祖父に叱られた夏の日のこと