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あの夏の、

忘れられない、夏がある。今でも時々ふと思い出して、ああ楽しかったなって顔がほころぶ、そんなひと夏の思い出。前にもnoteに書いたかもしれないけど、今日またふと思い出して、ふわふわと幸せな気持ちになったから書き残しておこうと思う。

大学3年生の夏、ホテルのビアガーデンでアルバイトをしていた。仕事自体は楽ではなかったけど、とても楽しかった。時間いっぱい客席を駆け回ってビールを運ぶ。季節限定のイベントを従業員もお客さんも、みんな一緒に楽しんでいるという印象で、みんな仲が良いというか、和気藹々とした雰囲気で本当に楽しかった。

わたしがいつも思い出すのは、アルバイトが終わったあとの帰り道。駅まで20分くらいかな、何人かで一緒に歩く。終電間近の駅前はがらんとしていて、車もあまり通っていない。そんな夜道を、いろんなことを話して、笑いながら歩いた。ただそれだけなんだけど、それがとっても楽しかった。大袈裟だけど、まさに「青春」とも呼べるようなキラキラした日々だった。アルバイトの期間が終わったらそれでさよならで、その後お付き合いが続いているというわけではない。時々、また会えたら嬉しいなって思うこともあったけど、そのくらいの関係だったから、気楽に楽しめたということもあるのかも。真夏の夜の夢。夢を見ていたみたいに、その何ヶ月かだけのキラキラと楽しかった思い出。

学生時代にあまりいい思い出がなくて、もちろん楽しかったこともあったけれど、どちらかというと鬱々と過ごしていた時間が多かった。特に大学生になって最初の2年は、過食がひどくてぶくぶく太って、自分のことが大嫌いで、人に会うのも嫌になっていた。あの夏は、妹と二人暮らしを始めて精神的に安定しつつあった時だったから、自分がいろんな人と普通に話して笑って楽しいと思えることが、すごく嬉しかった。

ビアガーデンのアルバイトだけでなく、その1年間は心穏やかに楽しく過ごせた時期で、わたしの人生の中の、一つのハイライトだったかもしれない。思い出してみると、楽しいことばかりじゃなかった。辛いことも嫌なことも悲しいこともあった。だけど、その時期を振り返ったとき、ネガティブな思いよりも、楽しかったなって、今笑顔で思えるのは、眩しいくらいに輝いて、暗い影を照らしてくれる思い出があるから。嫌なことばかりじゃないじゃん、わたし。だから、大丈夫。こんな風に、心がほっこり温まる思い出はまだ他にたくさんある。それがある限り、苦しくて立ち止まっていても、きっとまた前を向ける。


読んでくださって、ありがとうございました。

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