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2022年9月の記事一覧
【短編小説】灰色の水平線を辿って
思い出すのは、いつだってちょっと切なそうな、悲しそうな、寂しそうな、けれどどこか嬉しそうな、私を見るあなたから滲んだ表情。
もしかしたらそれは幻想なのかもしれない。
けれど、ほんの少しだけ醸されたそれを、私はもう何年も忘れることができない。
心に住み着いてしまったそれは、私とあなたを繋ぐ唯一の形ある存在なのかもしれない。
中学1年生の時、入学早々私は大きな一目惚れをして、斜め後ろの席の彼の
【短編小説】消えた虹に想いを馳せて
吹き飛ばされそうなほど強い風の日
20分以上かけて歩いて保育園に子供をやっとのことで送り届け、ぐでんと横たわっていた白い猫の死骸を避けて帰ろうと大通りを歩いた。
どんより薄黒い雲が空を覆う
こんなに朝早くから結構な距離を歩いているのに、爽快さを感じるなんてことはない。
むしろ、心のざわめきに体がそのまま晒されているような感覚だった。
風は荒ぶっている
目にゴミが入る
髪の毛は乱れ、衣類はまとわ