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伝書鳩家族

私の家に会話はない。
“一家団欒”から一番遠いところにいるのが、私の家族。
直接の会話もない、ラインか、間接的に聞かされるか。

「ママが明日お弁当いるの?って聞いてるけど」
「ねえ、パパ何か言ってた??」
「ゆきなの目の病気、どうなってるか分かる?」

母が知りたいことは父から、父の気持ちは母から、私に関係することは父と母でコソコソと話し合う。

誰も直接話さない。
世界で一番まどろっこしい家族。

けれど、私は思うのだ。
この伝書鳩が、この家族の最善のコミュニケーション方法なのかもしれないと。

母と話すと、私はすぐに感情的になってしまう。
だって、話が通じないから。イライラするから。

幼い頃から2人とも全然成長していないので、何かあるとすぐに喧嘩、喧嘩、喧嘩。ばちばち。

だから私達は、父を伝書鳩にする。
ごめんね、父。でもこれは家族平和の為なのです。

そして私も、家族平和のために、世界平和のために、毎日伝書鳩になる。
父と母の薄く深い膜をつなげるのは、この世で私しかいないのだから。
私がこの家族に生まれ落ちた使命なのかもしれないから。

伝書鳩。
ふんわり、優しく、そっと飛ばすメッセージ。
これが、私達だけの、超個人化一家の、最も心地よい距離感を保った生き方なのだ。

これからも、伝書鳩パタパタ飛ばし合おうね。
そして、どうかそっとしておいてください。

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