私は今も魔女に憧れたまま
小学生の頃、大好きだった本がある。
あんびるやすこさんの『なんでも魔女商会』だ。
腕はピカイチなのに気難しい魔女のシルクと、
可愛いくて誰にでも優しい人間のナナ、
そしてネコで執事のコットンが、
洋服を作って、困っている人を助ける話。
いつも可愛い服をデザインする魔女のシルクが大好きだった。
大人になったら、シルクみたいな魔女になれると本気で信じていた。
魔女になって、可愛い服を作って、みんなを幸せにするんだ!と意気込んでいた。
しかし、大人になるにつれて、現実を知り、
私は「魔女になりたい」という夢を閉ざしていった。
恥ずかしいから。
馬鹿にされるのが怖かったから。
だけど、さっき、ふと気になって、この本を調べてみた。
なんと、驚くことに、今の私は、シルクの見た目にそっくりだったのだ。
オレンジ色のゆるゆる巻かれたロングヘアーに、
米粒ほど小さな細い目。
あの頃、憧れていた魔女シルクのことなんて、とっくに忘れていたはずなのに。
知らぬ間に、シルクに近づいていたなんて。
今の夢も、まるでシルクそっくりだった。
布からデザインして私だけの服を作りたい。
大好きなみんなに、服をプレゼントしたい。
私の作った服が、誰かの支えになってほしい。
いつか、自分の可愛いを貫いて服を作り、周りを幸せにするシルクになる。
そんなことを思いながら、デザイン画の勉強を進めてみる。
いつか魔女シルクになることを夢みて。
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