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祭りのあと|140字小説

祭りのあと|140字小説

外から子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。祭りが終わったらしい。呑気なもんだ。俺は仕事でヘトヘトになって帰って来たってのに。

「あー! うるせぇ!」

勢いよく窓を開けると、そこには誰もいない。
薄暗い街灯が無機質なアスファルトを照らしている。

湿った風が吹いた。

「ああ、俺だけ置き去りか」

(140字小説)

こちらもどうぞ。

テーマ「創作」でCONGRATULATIONSを頂きました!

【短編】菫咲く頃、午後の墓地にて(前編)

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 気がつけばここにいる。この場所の、巡る四つの季節のすべてに、私と物言わぬ兄との時間が刻まれている。マリーベル、マリーベル。変わらぬ兄の声を胸に墓地を行けば、うららかな春の昼下がり、芽吹いた緑があちこちで古びた墓碑を優しく包み込み、いつになく穏やかな気持ちになれた。
 
 頬を撫でる風につい、癖で髪をなで付ける。いつもは下ろしている長い髪、細い巻き毛は風に絡みやすい。けれど今日は一日歩くつもりだっ

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最優秀賞と特別賞を頂きました【文苑堂第1回54字の物語コンテスト】

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2022年8月12日から9月30日にかけて開催された、文苑堂書店さん主催の第1回54字の物語コンテスト。
なんとなんと、最優秀賞と特別賞を頂きました!

「賞」をもらったのは、中学と高校の吹奏楽コンクール以来、そして個人としては人生初です。
公募に落ちまくり、一次選考すら突破したことなかった私にとって、初の受賞です。

今までの落選は、きっとこの54字の物語コンテストを受賞するためだったんですね。

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