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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.83 ナンバー2の役割⑦統括役の機能

社長が一人で全てを把握することは現実的に無理です

従業員が10名を超えたあたりから把握できないこと、指示が行き渡らないことが増えたように感じないでしょうか。人間一人が見れる範囲というのはやはり5人程度だと思います。

私も会社員時代、2社で100人を超える部下を持つポジションで仕事をしたことがありますが、素直に言えばせいぜい10人くらいが限界で、それ以上は自分一人では無理だと実感しました。まして、多忙を極め、責任範囲が広い経営者ならなおさら難しいと思います。

統括役とは

統括役とは会社全体を総合的に統括し、業務を管理する役割です。内容としては、従業員の活動を把握し、設定した目標や予算の進捗管理、現場の困りごとに適切に対応することです。

この統括役は感覚的にはそれこそ社長の仕事のように思えるかもしれません。けれど、原則に立ち返れば、組織のトップが行うことは組織の状態を正確に把握し、必要な判断を適宜行い、最終的な責任を持つことで、自ら現場の状況を把握しようすればそれだけで多くの時間を費やすことになってしまい、社長にしかできない仕事に専念できないなら本末転倒となります。

また、社長が現場に関わり過ぎると正確な情報を把握できない場合があります。というのは、社長を前にして従業員は上手くいっていないことや困っていることを正直に言わないものです。お説教されたり、的はずれな指示をされたり、無能扱いされたり、余計な仕事を増やしたくないなど、さまざまな理由があるからです。

良かれと思って必要以上に現場に介入するとますます正確な状況把握ができないのですから社長という立場は難しいものです。

ですので、社長は自分以外に事実に基づいた情報を上げてくれる存在、従業員の本音を伝えてくれる存在、現場を進行させてくれる存在を持った方が生の状況を把握することができます。

【過去記事はこちらから】
ナンバー2の役割①補佐役の機能
ナンバー2の役割②フォロワーの機能
ナンバー2の役割③実行役の機能
ナンバー2の役割④通訳役の機能
ナンバー2の役割⑤改革役の機能
ナンバー2の役割⑥調整役の機能

統括役が果たす役割

では統括役は具体的にどんな役割を果たす存在なのかを確認していきましょう。

■目標設定と実行計画の策定
統括役は社長が掲げる目標やビジョンを理解し、これを実現するための計画や方針を策定する役割を果たします。社長と協力して、これら実現に向けた戦略を明確にし、社内全体に伝える役目があります。

■業務管理
日常業務を効果的かつ効率的に管理します。各部門の連携やコミュニケーションの円滑な進行を確保し、目標達成に向けたプロセスを最適化する役目があります。

■現場の管理職の指導、サポート
部門やプロジェクトの進捗を把握し、必要に応じて現場を取り仕切る管理職の指導・サポートをします。部門間での協力やチームワークを促進し、成果を最大化するための環境を作ることが求められます。

■社外関係先との連携
社外の取引先や協力会社との関係構築や連携を担当し、重要なパートナー関係と信頼関係を築き、自社の状況を把握したうえで打ち合わせや交渉、協議を社長に代わり行います。

統括役は、組織全体の健全な成長と成果に向けて指導し、社長のビジョンを実現するための鍵となるポジションです。こうした役割を担う人材がいるだけで社長の貴重な時間がどれほど確保できるかを考えると長い目で見てぜひとも欲しい人材です。

統括役を務めるために必要なスキル、マインド

統括役は会社全体を統括し、業務の管理を行うポジションですから、その任務を遂行するために必要なスキルやマインドがあります。

具体化するスキル
目標設定と実行計画の立案を行うためには具体的な計画に落とし込む能力が必要です。

管理能力
計画を立案し、部下に仕事を振ったらそれで終わりではもちろんありませんので、スケジュール、進捗管理と現場に適宜アドバイスやフォローをする必要があります。

コミュニケーション能力
社長、部下、社外の関係者と統括役として関わる範囲は広いので、無駄なく、ムラなく、コミュニケーションを図る必要があります。

察知力
数字の動き、部下の動き、社内の空気とを敏感に読み取り、適宜、手を打つことが必要です。

サポート力
現場が円滑に業務を行うために部下の困りごとを察知し、現場の意見に耳を傾ける必要があります。社内の協力を得たり、効率的に取り組めるようサポートを行います。

全体最適の視点
業務として取り組んでいるとついつい部分最適に陥りやすいため、会社全体という視点で全体最適化を図ります。異なる部門や機能が連携し合い成果を出すために尽力します。

まとめ

経営者なら会社で起きていること全てを把握しておきたい気持ちが強いのは当然のことだと思います。ただ、規模によってはそれは限りなく困難であることも事実です。

従業員の声に耳を傾けようと思っても、正直に話してくれない場合もありますし、さまざまな意見を聞けた場合でも聞いた以上は何かしら対応が必要となります。

従業員の立場からすれば意見を述べればボールはすでに社長の元にあり、適切に投げ返してあげないと失望や不満を抱かれてしまいます。考えているうちに時間ばかり過ぎてしまう、忘れてしまう、よく考えないで対応してしまう。つい、そうしてしまう場合も多いでしょう。

組織運営で大事なことは社長の求心力を低下させないことです。

場合によっては自分ではない人間が対応した方がよいこともありますし、そもそも社長に物理的な時間や心の余裕などないでしょう。

また、事業活動の中で、計画立案や管理などが実は苦手という社長もいるでしょう。そしてアイデア出しや決断だけして現場を任せ、どんどん次のことに着手したいというタイプの方もいます。

いずれにせよ、一定規模になると全てを把握し、全てについて検討し、判断し、指示を出し、管理をするというのは社長業としては現実的ではないです。ですので、自分の代わりに会社全体を統括してくれる役目を担ってくれる人材がいると有難いはずです。

そして、社長が全てにおいて頑張り過ぎるとかえって従業員は自分たちが信用されていないと感じ、指示待ちや受け身でいいやと思ってしまうことも忘れてはいけない点です。

ナンバー2という存在は、社長自身の物理的、精神的負担を軽減し、社長が本来やるべきことに専念できる環境を作ってくれる存在です。

今回はナンバー2の役割のひとつとして統括役という役割について解説させて頂きましたが、参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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