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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.75 ナンバー2の役割②フォロワーの機能

【自分の考えに共感し、行動してくれるメンバーがいますか?】

会社の中で社長ほどやりたいことに溢れている存在はいないでしょう。リスクや責任を背負っても自分で会社を興しているのですから当然です。小さな会社ですがもちろん私にもそうした思いがあります。

さて、そんなやりたいことに溢れている社長であっても自身の目標や理念に共感してくれる存在がいないと、思うような成果を出しづらくなってしまうのも現実かと思います。

なぜなら社長の考えに共感してくれるメンバーが増えなければ、目標達成や理念、理想の実現が難しくなってしまうからです。

社長としては、成果が出たら社員にも還元したい、社員に仕事を通じてさまざまな成長をして欲しいと願っていてもそんな社長の思いも社員にはなかなか届かないものです。

結果として、常に社長は孤軍奮闘を強いられ、イライラしたり、落胆したりと精神的にもストレスを抱えてしまうということが残念ながら多いものではないでしょうか。

私自身もそんな社長を側近として見る機会が多かったように振り返りますし、現在もコンサルやアドバイザリーとして外部サポーターをしている中でもよく感じます。

今回はナンバー2の役割のひとつであるフォロワーの機能社長にはフォロワーが必要な理由、そして経営幹部であるナンバー2にフォロワーとしての自覚を促すために必要なことをお伝えしたいと思います。

【過去記事はこちらから】
ナンバー2の役割①補佐役の機能


1.フォロワーの機能

フォロワーは、社長が掲げた思いに沿って、自身の役割を果たすことで組織の成長に貢献することがメイン機能です。まずはフォロワーの主な機能について解説します。

(1)社長のリーダーシップを発揮させる
社長のビジョンや目標を共有し、社長のリーダーシップを支援します。日々の仕事を機械的にこなすのではなく、社長が掲げているビジョンや目標の実現を意識しながら行動することができれば、社長がリーダーシップを発揮しやすくなります。

(2)チームワークを促進する
目標達成のためには一人が努力するだけでは足りません。社長のフォロワーが他のメンバーに働きかけ、チームワークを形成します。フォロワーは社長の考えを現場のメンバーに理解しやすい言葉で伝え、相互のサポートやコミュニケーションを通じて協業しやすい環境を育み、目標達成を目指します。

(3)現場での問題を解決する
フォロワーは現場で発生する課題を主体的に受け止め、社長の考え方に照らして適切な対応を取ります。社長があらゆることに関わることなく、フォロワーが対応することができればそれだけ社長の負担が減ることにも繋がります。

(4)フィードバックを提供する
フォロワーは社長が気づけない現場の実状や諸問題を社長にフィードバックし、対応や改善が必要であることを社長が認識できるようにします。こうした情報を社長が適時に得ることで現場を把握し、適切な判断をしやすくなります。

(5)モラルやコンプライアンス遵守を率先垂範する
フォロワーは組織内での理念や倫理的な基準を維持し、他のメンバーに対して取るべき行動のモデルを率先し、公正な企業活動を推進します。同時に誤った判断を犯しそうになる社長のブレーキ役も担うことができます。

フォロワーは社長のリーダーシップと連携することで、組織の成長に不可欠な存在となります。彼らの協力と貢献によって、組織は機能不全に陥ることなく、目標を達成することができます。

2.社長にフォロワーが必要な理由

フォロワーの機能そのものを確認してみましたが、続いて、なぜ社長に社内のフォロワーが必要かについてあわせて解説します。

(1)社長のメンタルを健全に保つ
フォロワーの存在は孤独な社長の心に活力を与えます。ともすれば社長は自ら設定した目標によって孤立してしまうことがあります。社内に自分の理解者がいるということだけで社長は心強く感じ、メンタルが健全に保たれ、ブレることがなくなります。

(2)リーダーシップの実現
社長には組織全体を導く責任があります。フォロワーはそのリーダーシップを実現するための大事な要素であり、社長のビジョンや戦略を実行に移すのに役立ちます。リーダーシップはフォロワーの存在があってはじめて成立するものですから、リーダーシップを実現しようと考えるならフォロワーを一人でも多く作る必要があります。

(3)情報伝達
社長は社内外とのコミュニケーションに忙しく、社内の細部にまで目が行き届かないことがあります。また、社長の言葉が独り歩きし、真意が伝わらずに現場のメンバーに誤解されることがあります。フォロワーは、社内での情報伝達やコミュニケーションの役割を果たし、情報がスムーズに循環する手助けをします。

(4)メンバーのモチベーション維持
社長は組織のビジョンを示し、社員のモチベーションを維持させる重要な役割を果たしますが、一部のメンバーだけを集めた会議の場だけで話をしても社内のメンバー全てにその思いは伝わりません。日常の業務においても、ともに働くメンバーのモチベーションを維持する役割を果たします。

(5)意思決定のサポート
社長は戦略的な意思決定を行いますが、そのためには信頼できる情報や多角的な意見が必要です。フォロワーは、社長に情報を提供し、適切な意思決定をサポートします。

(6)組織文化の形成
フォロワーは、組織文化を維持し、価値観や行動基準を実践するのに重要です。社長のリーダーシップの下で、フォロワーは組織文化を形成し、他のメンバーに影響を与えます。

社内のフォロワーは、社長のリーダーシップを支え、組織全体が協力して目標を達成するのを助ける重要な要素です。リーダーシップはチーム効果に大きな影響を与えるため、社長とそのフォロワーの協力は組織の維持、成長に不可欠です。

3.ナンバー2にフォロワーとしての自覚を促すために必要なこと

さて、ここまでフォロワーの機能やその必要性についてお伝えしてまいりましたが、なぜナンバー2にフォロワーの機能が必要なのかについても解説します。

「要するに、社員に自分の考えや目標が共有されればそれでいいのでしょ?」

「ナンバー2がフォロワーであることは当たり前のことではないのか?」

こんな疑問もあるかと思いますが、そもそも共有と共感は異なりますし、ナンバー2のポジションであってもフォロワーではない場合があります。

共有は、情報、感情、知識などを他の人と分かち合うことを指します。これは物理的なものだけでなく、情報や感情を含むさまざまな意味合いで使用されます。

一方、共感は他の人の感情や立場に共感し、理解しようとする感情的な反応を指し、能動的な行動を促す作用があります。

つまり、社長の考え、方針、目標が共有されるだけでは部下は動かない場合があり、共感するレベルまで至ってはじめて本気で行動してくれるようになるのです。

「社長に言われたからやるしかない」
「仕事だから仕方ない」
「減給、降格をちらつかされたらやるしかない」

そうした心理では社員は本気で努力しません。

そして、ナンバー2に相応する人材が仕事そのものがいくらできたとしても社長が向かっているベクトルに関心を持たない、異なるベクトルで仕事をしているというケースも多いです。

そうしたケースでは、社長との価値観のすり合わせをせずに、営業実績などだけで人選した場合に多く見受けられます。

表面的には社長を慕っているように見えても、本音は自分だけが大事で、組織目標には実は関心がない。そういう人物を重職に就けてしまうと派閥が出来てしまったり、社長の方針に背くなど、社内秩序を崩壊させることもあります。

社長としては仕事ができること以上に価値観の合う人に重要な仕事を任せたいものではないでしょうか。

社長の価値観に合わせることができないのは社長の考えに共感していないことですから、そうした考えの人材と本当の意味で信頼関係も築けないでしょう。

またナンバー2というポジションであれば現場のメンバーに対する影響力を持っているでしょう。社長の知らないところで、社長を批判していたり、小馬鹿にしていたりすると、社長のリーダーシップ、求心力を低下させます。

ですので、ナンバー2は社長の強力なフォロワーであることが前提条件ですし、もしその意識が欠けているようであるなら、コミュニケーションを密にするなどの手当てをするか、改善が見られないようなら役割を見直す必要があります。

これを意識しないと、仕事はできるけれど会社の成長、発展に貢献する気持ちが薄いメンバーを重職に配置し、社長の負担は減らず、組織としての成果が出にくい状況になります。

では、ナンバー2をフォロワーの自覚を促すためににはどうしたらよいのかですが、以下に解説していきます。

(1)相互理解する
他人をより深く理解するためには、コミュニケーションを通じて相手の価値観、目標、信念を知ることが大切です。社長は自分のビジョンや価値観をナンバー2に知ってもらう前に、ナンバー2の仕事に対する価値観や考え方を理解することが必要です。

(2)信頼関係を構築する
ナンバー2が社長を信頼するかどうかは、経営者としての手腕ではなく、日頃の言動や態度、姿勢にかかっています。言ってみれば一人の人間として信頼するに値するかどうかを冷静に見ていますので、相手を不快にさせない言動を心がけることが必要です。

(3)感謝を示す
仕事で成果を出した時はもちろんですが、適切な報告や日常での気遣いなど相手の行動に対して感謝できる機会は多いはずです。社長である自分に対する行為の全てが当たり前だと考えて、感謝の言葉のひとつも言わないようでは器が小さい人間だと思われるでしょう。感謝の言葉や行動は積極的に示す必要があります。

(4)仕事に対して真摯に向き合う
さすが社長だなと思われる機会が少ないと尊敬されません。それは仕事の能力だけでなく、視点の高さや視野の広さなど見ている景色の違いを伝えることも大事です。また、掲げている理念や目標に向かって取り組んでいる姿を見せないと「この人は口だけの人だな」と思われます。

(5)自己開示
人の感情が揺さぶられる時というのは普段見せない姿を見た時です。いつも頼りがいのある人の弱みを見た時に「社長も一人の人間だな」と感じたり、厳しい姿勢で接してくる背景にある理由を知った時などです。この人の役に立ちたいと思われる人は自分をオープンにしています。

信頼関係作り、感謝、自己開示と平凡な方法と感じられるかもしれませんが、なかなかどうして、これらができない社長が世の中には多いものです。
その理由は、不必要に社長の威厳を保とうとしたり、誤った社長像に囚われているからです。

まとめ

今時、忠誠心というのはちょっと違和感があるかもしれませんが、人が他人の言葉や考え方に影響を受け、共感し、ともに行動したいという心理はどんな時代にあっても存在します。

社長は孤独なもの。ただ全ての社長がみなそうとは限らず、社員がある意味社長のファンであり、一緒に会社を盛り立てたいと考える人に囲まれている社長もいます。

ナンバー2は社長に一番近い人。そのナンバー2が自分のフォロワーでなければ、ナンバー2として求められる職務も全うできないでしょうし、一人また一人と社内が一枚岩になっていくことも難しいでしょう。

そして、ナンバー2は扇の要です。社内を目標達成のためにまとめあげる存在ですから、社長を最も理解し、現場のメンバーに対しても多くの働きかけをしていかなければなりません。

イエスマンを囲うだけなら簡単なことですが、そういう取り巻きを何人はべらしたところで目標達成や理念の実現はできません。

現在いる自社のナンバー2に物足りなく感じることがあるのであればフォロワーとしての視点がないのかもしれません。また、これからナンバー2を選ぶとしたら価値観の合う人を慎重に選ぶ必要があります。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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