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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.92 社長がナンバー2に教えるべき組織運営の要諦

組織運営で本当に大切なことは何だろうか

社長としてナンバー2に物足りなさを感じる場合にどんなアドバイスをしたら良いのか悩んでしまうことがないでしょうか。能力なのか、経験なのか、性格なのか、考え方なのか。なかなか原因を突き止められないものかもしれません。

そんな時に立ち止まって考えて頂きたいことがあります。
組織運営で本当に大切なことは何か、ということです。

ナンバー2は社長の補佐をしつつ会社全体に対して目配り、気配りする立場。現場をまとめるリーダーとしての役目の方がウエイトが高いものです。

物足りなさを感じさせるナンバー2のリーダーとしての目線がズレていないかを確認してもらいたいのです。

リーダーとして機能しているかどうか

リーダーがリーダーとして存在するためには部下という存在が必要で、部下がいなければその人はリーダーではありません。なんだまた当たり前のことかと思われそうですが、部下がいてもリーダーとして機能していなければ、それもまたリーダーとは言い難いと考える人は案外少ないように思います。

では、リーダーとして機能していると言えるにはどのような要素を満たす必要があるのでしょうか。

・目標の明確化
・業務上の知識、経験、スキル
・責任感
・問題解決能力
・公平さと倫理観

他にもあれこれ並べたい気持ちになりそうですが、簡潔に言えばこれらを行っている人、持っている人だと集約できます。

目標が明確になっていなければ、部下はどこに向かっているのかわかりませんし、業務のことを一定レベルで理解していなければ指示にも説得力がありません。責任感がなければ部下から信頼されませんし、問題解決能力が未熟過ぎれば頼りないです。公平さがなく、人間性に問題があればやはり部下から非難を受けます。

スキルや知識に過度な依存をしない

「いやいや、目標設定、管理、PDCA回して成果出してます。数字に強く、マーケティングスキルも高い、コーチングもできる、最新のマネジメント論や心理学まで理解しています。」

人の上に立つにあたっては、そうした知識が豊富で実績もあれば、一目置かれる存在になれるかもしれません。

ただ、そのこととリーダーとして信頼され、部下が成長し、会社としても成果を出し続けることとは全く無関係です。

人間は複雑なようで単純な生き物です。

筋が通っていて、思いやりと厳しさが矛盾なく両立していて、自分の意見にも耳を傾けてくれ、どんな人に対しても礼儀を重んじて、人としての考え方がおかしくないと感じられ、働きをきちんと評価してくれる人に多くの人は心を開くものです。

部下の立場からすれば、リーダーのスキルや知識に対して敬意を払ったり、信頼しているのではありません。リーダーとしての信頼は人間性に起因しており、人となりを見ています。

反面教師から学ぶ

みなさんの周りにもこのような人はいないでしょうか。

・尊敬も信頼もできない上司や経営陣
・損得でしか物事を考えられない人
・知識が豊富で賢くても、どこか人を小馬鹿にしている人
・お世話になっても感謝の言葉を言わない人

皆さんと同じように私も数えきれないほどそういう人に出会ってきましたがその度にこういう人にはなるまいと反面教師として受け流してきました。

そして、ではどんな人間を目指したら良いのかと考えた時に、私の場合はいまよりもっと若い頃に論語をはじめとする中国古典に行き着きました。ものによっては2500年も前から読み継がれているものの中に、揺らぐことのない人としての真理や原理原則があるような気がしたからです。

例えば、論語に登場する五常という考え方は自分の人格形成に大きな影響を与えたように思います。

仁・・他人に対する思いやり、配慮
義・・人の道に外れない
礼・・礼儀作法
智・・人や先のことを読み解く力
信・・嘘をつかない

※もちろん孔子もこれらの徳だけではなく、能力も必要だと説いています。

この五常に則れば、みなさんの周りにいる人々は、こうした評価に落ち着くのではないでしょうか。

・尊敬も信頼もできない上司や経営陣
 ➢仁や義、礼、信がない
・損得でしか物事を考えられない人
 ➢仁がない
・博識で賢くても、どこか人を小馬鹿にしている人
 ➢仁や礼がない
・お世話になっても感謝の言葉を言えない人
 ➢仁義礼智信のいずれもない

とてもシンプルです。
他者への感謝や尊重を欠いた態度であるということです。

程度にもよりますが、五常のいずれか又は全てが欠けていると本来なら人の上に立つ資格がない人になります。ただ、スキルや実績でそうしたポジションに就いてしまうことはあるでしょう。

ですが、だからといって、どんなに能力的に優れていたとしても、この人についていこう、信じてみようとは必ずしも思われないのではないでしょうか。

不幸なことにそれでも関係を続けなければならないのは、利害関係のためです。会社勤めであれば、腹を立てようが不満があろうが、生活のためにそう簡単に会社を辞める訳にはいかないからです。

そして、信頼関係のない状態でも会社としての成果は出さなければならないので、昨今ではその利害関係を巧みに利用したマネジメント方法が支持されているのでしょう。

他人を操ろうと考える愚

意識が高い方々は日頃から情報収集に熱心で、スマホを開けばビジネスに関するこんなトピックを目にすることも多いでしょう。

「部下に〇〇させるには〇〇しろ」
「デキるリーダーは〇〇しない」
「Z世代の育成に必要な〇〇」

ハウツーは参考にはなりますが、一律にうまく適用させることは難しい側面があります。なぜなら対象は人間で、思う通りにはならないからです。

違う場面で考えてみるとわかりやすいです。

家族である奥さんや子どもが自分の意のままになるでしょうか。一緒に暮らす人間ですら思う通りにならないのに、ましてや赤の他人である部下を意のままに操ることなど無理でしょう。もっと言えば自分のことさえ思うようにならないことを考え合わせてみるとなおさらです。

「過去と他人は変えられない。 変えられるのは未来と自分自身だ」
という名言がありますが、それが真実です。

組織運営で大切なこと

「企業は人なり」とは多くの方がご存じの言葉です。人材の重要性は誰もが頭では理解はしているものの、重要なはずの人材に対して日々の現実において何をしているかを省みる人は少ないのではないでしょうか。

組織運営で大切なのは、次の3点に尽きるように思います。

・人を大事にする
・人を育てる
・人を活躍させる

部下を目下の存在と侮って、碌な挨拶もしない、自分をサポートしてくれてもありがとうの一言も言えない、自分の非があっても謝ることもできない。そもそもリラックスした状態での会話もない。それでは本来やらなくてはならない仕事にすら支障が出るというものです。

全てが出来上がっている人間などいませんから、はじめから何でも上手くはいきません。むしろ全てが出来上がっている人間ならあなたの会社になどそもそも入社しないし、あなたの部下になどならないでしょう。

背中を見て育てというのも、過保護になって失敗させないように腫れ物に触るような指導もよくないでしょう。人を育てるというのは小さな子どもが自転車に乗れるように特訓するのに付き合うのと同じ感覚ではないでしょうか。

誰しも例外なく得手不得手があります。短所やミスばかりを指摘し、長所や得意なことを活かす機会を奪っていないか。前提として、部下のことを理解しようとしていたかどうかを考えないといけないでしょう。

部下の個々の特徴を理解し、成長の機会を提供することが重要ということです。

なんだ当たり前のことばかり。
でも、当たり前のことを当たり前にやっている人はあまりいません。

ナンバー2に組織運営の要諦を教えるのであれば、たったひとつです。

「人を大事にすること」

社長とPCの画面だけ眺めるのではなく、社員の顔を見ることです。
顔を見て、何を必要としているのか察する。わからなければ本人に聞く。
そのうえで必要な打ち手を真剣に考え、わからなければ徹底的に調べ、
得意な人の意見を聞いて、実行する。
この繰り返しだけです。

ナンバー2が物足りないと感じているのであれば、人を大事にする気持ちが薄いことに原因があることが多いです。このポイントを踏まえれば、組織運営においてはスキルや知識だけでなく、人間性が重要であり、人を大切にする姿勢が成功の鍵となることがお分かりいただけるかと思います。

それこそ本当にデキる社長は「俺の顔色じゃなくて、社員の顔を見ろ」と言うでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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