会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.93 ナンバー2人材の必要性が認知されてきた
ナンバー2人材への注目
ニュースサイトを読んでいると参謀、補佐役といったワードを目にする機会が増えたような印象があります。
中小企業白書でも後継者の補佐役の必要性についてそれなりにページを割いて解説しているなど、特にここ数年、ナンバー2人材に対する捉え方が変わってきた感じがします。
ナンバー2人材に対する考え方が変わってきている背景には、組織運営の複雑化や市場の変動速度の加速など、外部環境の変化が大きく影響していると考えられます。社長自身の能力向上や組織開発だけではなく、社長を支え、補完する能力の高い人材が必要とされている証拠なのでしょう。社長自身が「自分の限界が会社の限界」と気づき始めているとも言えそうです。
NHK大河ドラマでも、またもや豊臣秀長が取り上げられたのも偶然ではないかもしれません。
ナンバー2育成の難しさ
もちろん私自身はナンバー2人材はいないよりもいた方が断然いいというのが基本的な考え方ですが、実際のところ、人選、育成の観点では難しい面もあります。
どんな点が難しいのかというと、
・ナンバー2候補者と思われる人材がいないこと
・ナンバー2人材の役割がわかりにくいこと
・育成プロセスがわからないこと
・育成について難解な解説が多いこと
特に中小企業では、資源の限られた環境の中でどのようにしてこれらの人材を見つけ、育て、そして適切に活用するかは一つの大きな課題です。ナンバー2人材の役割が不明瞭であることや育成プロセスが確立されていないことが課題解決をさらに難しくしています。
古くは、大前研一さんの「企業参謀ノート」などが有名で、大前さんのような経営戦略の専門家が提供する知見は非常に価値がありますが、その適用は大企業やグローバル企業に限られるような気がします。
中小企業においては、もっと現実的で実行可能な育成プログラムや人材開発のフレームワークが求められますから、ナンバー2人材の役割を明確にし、実践的な育成方法を探求することが重要でしょう。
決してPRではありませんが、ナンバー2育成についての知見を大量に公開している事業者はほとんどいませんので、私の記事が参考になれば嬉しく思います。(おそらくナンバー2育成に関する記事を日本で一番書いていると思います。)
ナンバー2に求めることがズレている
経営者の立場からすると、ナンバー2人材には業績に関わる高い能力を求めたいところでしょうが、優先順位としては必ずしも高いとは言えないというのが持論です。
では、何が優先されるのかというと、強力なフォロワーシップです。
これがなくてはどんな有能な人材であっても社長の期待値を超えることはありません。
別の表現で言えば、本物の信頼関係です。
能力が高い人は世の中にたくさんいますが、そうした人がどうしたら自社で喜んで働いてくれるのか、どうしたら社長である自分を真剣に支えてくれるのか、これらのことを考えないと、いつまでもないものねだりになります。
私自身、複数社でナンバー2として従事してきて思うことは年収や待遇、権限の裁量の広さではなく、この社長を自分が本気で支えたいと思えるかどうかが基準でした。ナンバー2として従事し、30代前半で年収も大台を超えることは普通でしたが、当人にとってはそんなことよりもプライオリティが高いことがあるのです。
ナンバー2が欲しい、育てたいと思う気持ちから人材育成というとついついスキルセットに意識が向きがちになってしまい傾向がありますが、より大事なのは実はマインドであり、信頼関係なのですね。
業績貢献する能力よりもフォロワーシップが優先と聞いて、違和感を覚える経営者の方もいるでしょう。
けれど、経営者が信頼関係がないナンバー2に事業推進の裁量など与えないでしょうし、信頼関係がないのにナンバー2は経営者の気持ちを汲んで期待以上の働きなどしません。その状態で業績貢献などできないでしょう。せいぜい経営者のしていた仕事の量が多少減るくらいでしょう。
そして信頼関係を築く基礎には、経営者がナンバー2から共感される、尊敬される存在であることが必須です。先ほどの表現で言えば、本気で支えたいと思われるような人間であるかどうかです。相手に多くのものを求める前に、経営者自身も改めるべきことは改めない限り、永遠に理想のナンバー2に出会うことはないと思います。
成功するナンバー2人材に共通する特性や必要なマインドセット、どのようなマインドが特に重要で、どのような性格特性がこの役割に適しているのか。これを正確に答えられる人はあまりいないので、悩まれるかもしれませんが、これらを理解していないと戦略思考や財務分析能力といった紋切型の育成に走ってしまう気がします。
社長を補佐しながら組織運営を行うのに必要なことは、部下や外部の力を頼ったり、活用してでも実行することや、メンバーを同じ方向に向かせることなのです。
賢く有能であることと、社長を立てて、組織全体を牽引することは全く別の能力が必要ということに気が付いている社長には相応の人材が控えているように感じます。
ナンバー2を欲する社長にはこの点を覚えていて頂きたいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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