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妖の唄

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呪符師『麒麟』の不思議なオムニバス形式の物語。 過去作3つありますが、こんな世界観で遊んでくれる方募集。 スピンオフも大歓迎✨ なんなら妖しいお話でもありあり(笑) 『タイト… もっと読む
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記事一覧

妖の唄ー闇の捕食者に闇の裁きをー

妖の唄ー闇の捕食者に闇の裁きをー

事務所で煙草を吸いながらほくそ笑む男、『飯塚伸次』は自分を救世主だと思っていた。

もはや誰も金を貸してくれない人達へ手を差し伸べるのは私だけなのだから……。
『貸した』のだから、『返して』くれよ。どんな事をしてもな。

どんな事をしても返してもらった。
身体の一部を金に変えたり、
風呂に沈んでもらったり、
海に沈んでもらったり、
問答無用だよ。

いつしか……。
事務所が妙な臭いが立ち込めるよう

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「妖の唄」〜実話に基づくたヒト編 3〜

「妖の唄」〜実話に基づくたヒト編 3〜

前回までのお話しは、こちら↓

父が優しい陰の人なら、母は頑張り屋さんで働き者の陽の人だった。
私の耳が聴こえないと分かった時、母は藁にもすがる思いで色々な病院を駆けずり回り、効くと言われれば高価な水を買い、胡散臭い宗教へも幼い私を連れて軒並み顔を出した。もちろん直ぐに騙されたと気付いたそうだが。
先天的な聴覚障害が治らないと分かると今度は私のろう学校へも一緒に通学するようになった。。家の中で母だ

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妖の唄ーエゴの果てにーその弐【スズムラ氏コラボ】

妖の唄ーエゴの果てにーその弐【スズムラ氏コラボ】

『西條邸』
立派な日本家屋。
余程の商才か、『ゆり』の力か。
門を潜るや否や、怒号が響いた。
「みなみ!今まで何処へ行ってた!ゆりはお前が居ないと言うことを聞かんのだぞ!!ん、誰だ?その男は」
拓磨が捲し立てて来るのをしり目に、
「奥の部屋に居るんだね?」
拓磨を無視してみなみに聞く麒麟。
「うん」
無視されたことに更に激高する拓磨。
「みなみ!ちょっと来い!」
かなりの勢いで娘の腕を掴み、引っ張

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妖の唄ーエゴの果てにー【スズムラ氏コラボ】

妖の唄ーエゴの果てにー【スズムラ氏コラボ】

「助けてください……」
ようやっと探し当てた喜びとそれまでの疲労が溜まりに溜まって、掠れた声で助けを求めて来たこの娘はとある地方に財を築いた『西條家』の娘、『西條みなみ』高校生だ。
「おやおや、随分と遠くからお越しのようで」
麒麟は街中での占い師スタイルよろしく、小さいテーブルを出して、腰掛けて言った。
「どちらでわたしのことを?」
「座敷わらし様から」
「おやおや、懐かしい名前だねぇ、『ゆりちゃ

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妖凛のクリスマスの朝

妖凛のクリスマスの朝

金曜日から土曜日の朝迄しこたま食べ、麒麟との事も有り、日曜日の休日の凛は胸いっぱいで独りでケンタッキーをウーバーして自宅に引きこもり、思い出してはキャーキャー言いながらベッドへダイブして居た。

そして明日はまた麒麟ウォッチングが有るからと、ストーキングの時にもいつ出会えても良いように!と、念入りに全身の保湿をして眠りに着いた。

朝5時過ぎ、凛は麒麟の気配で目が覚めた。
とうとう妄想レーダーが働

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妖の唄─屋台おでん『闘魂』

妖の唄─屋台おでん『闘魂』

屋台おでん『闘魂』
妖怪達が贔屓にしている
この店に幼児が二人。

ふーふーとおでんの
ウィンナーを冷ましている。

貧乏神共も、静かに様子を
眺めてながら
チビチビと酒を傾ける。

「おお!チビ共!」
ニコニコと地獄酒の壺を振りつつ
遠くから声をかけているのはコン。

仕事後なのだろうか
妖艶な姿で微笑んでいる。

コンに気づいた貧乏神のジンは
背中を丸め、ゆっくりと
座敷童の後ろへと移動した。

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妖の唄ー源さんのおでんー

妖の唄ー源さんのおでんー

或る夜の麒麟。

またおでんが恋しくなって『闘魂』に足が向いた。
屋台の明かりが既に温かさを演出しているのがたまらない。

「やあ、ごしゅ……」
暖簾をくぐって主人に声をかけようとした麒麟は言葉を続けることを止めてしまうくらい面食らってしまった。
『よお、麒麟ちゃん』
源さんが『闘魂』の屋台に立っていた。
「どうしたんだい!?源さん」
『いやね、実はーー』

源さんがひとりで『闘魂』に呑みに来たあ

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妖凛のクリスマス作戦

妖凛のクリスマス作戦

イルミネーションが街を覆い、金曜日の夜は零時近くてもカップルやドライブをする車、忘年会で出来上がった人達で溢れかえって居た。

凛は珍しく麒麟に会えなかった為に帰宅してからクリスマスケーキをストレス解消法とでも言う用に焼き上げデコレーションした。

しかし、出来上がった時間は既に深夜。
この時間に流石に麒麟の自宅へ凸するだけの思い切りは無かった。

ふと凛はおでん屋の源さんは明け方迄お店を開いてい

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妖凛の年末年始推し活

妖凛の年末年始推し活

何となく日の浅い凛にすら、師走に入ってからの他の妖達の動きが忙しないのが伝わって来ていた。

凛は相変わらず妖の仕事内容や関わるべき境界線の学び、自分達のテリトリー、その他覚える事がいっぱいなのと、一日一度の麒麟ウォッチングで一日があっという間に過ぎていた。

この前の麒麟さんの朝食、マジ尊かったな~。
しっかし、あれを経験してしまうと欲望を抑えられないってもんよね。
うーむ( ¯ᒡ̱¯ )

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優しき見えない住人

優しき見えない住人

ここ1ヶ月に起きた不思議な体験。
勿論、非科学的なお話です。
基本この類は全く信じないアタイのそんな話。

この約1ヶ月、アタイはドーパミンの薬を服薬すれば眠れなくなるし、でも動けるから無駄な動きまでして身体の痛みを感じたりし、結局は服薬を止めてガッツリ鬱の寝たきりを決め込んでいた。

睡眠障害が嘘のように泥沼の中にいるかのごとく、気付けば朝で、夕方で夜中みたいな生活。
日常は荒れた。

それでも

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妖の唄ー凛、麒麟の家へ行くの巻ー

妖の唄ー凛、麒麟の家へ行くの巻ー

ちょいと飲みすぎたな。
源さんと嬉しくなって『闘魂』でやり過ぎてしまった。

面白い『妖』にも会えたし。

ーーん?やれやれ。

玄関に張った結界に触れたヤツが居るのだが、昨日の『凛』の気配だった。

玄関ドアを開ける。

「凛、何やってんだ?お前は」
『あ、あの……つい、匂いを追いかけて来てしまって』
「昨日飲んでた酒の匂いか」
『は、はい……』
「飯でも食ってけよ」
『ええっ!?』
「まぁ、入

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「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 2〜

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 2〜

父は優し過ぎるくらい優しい人だった。その優しさが、あんな結果を招いてしまったのかもしれない。

私が生きている父に最後に会ったのは、父が自ら命を絶った年のお正月だった。久しぶりに帰郷した私を精一杯のご馳走でもてなしてくれた。母が居ないお正月は寂しかったが、今思えば運命が父と二人きりで過ごす最期の時を作ってくれたのかもしれない。あの年、日本を襲ったコロナでその後は帰りたくても帰れない状況になってしま

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妖の唄─座敷わらし─

妖の唄─座敷わらし─

座敷わらしの話が
書きたくてイメージで作ってみた!

さて、どの童子が
いいだろう( ˘꒳˘ )

 

どんな座敷わらしが
好みでしたか?

まさか、本当に選んでくれると
思わなかったので
番号つけてなかったです(汗)

コメントありがとうございます!

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 1〜

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 1〜

私の友人の実話です。
繊細な部分にも触れますので職業、場面設定、年齢等は変えてあります。でも起こった事は出来るだけ忠実に書きたいと思っています。

「妖のうた」〜実話に基づくヒト編 1〜

「今まで、ありがとう…」
まるでそう言うように父は最期に店の中を見渡したらしい。
らしいと言うのは、父の両親、私の祖父母に聞いた話しだからだ。祖父母は早朝に階段を下りて来て、自宅の中にある店舗の前で立ち止まった

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