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【システム導入編2:まずは要件定義、業務フロー図なのです】

本マガジンの過去投稿は上記に入れています。

本マガジンは、ものづくりの現場でシステム導入する場合のポイントについて解説するシステム導入編です。工場のIoT推進部に配属された清史朗は、あるプロジェクトの担当になりますがなかなかうまくいっていません。そこに新米課長の紫耀もサポートに入って指導しながら、奮闘していきます。今回は、製造部長の岸川への進捗報告をしているところから始まります。

 本投稿は、細川義洋著「システムを「外注」にするときに読む本」に沿って記載しています。

・・・・・

◆何が嬉しさなの?

🧓;半沢君、いや、間違えた。清史朗君。これってさ、このシステム使って何がしたいかちょっとよくわからない。。ごめんな、嫌な聞き方になってしまうかもしれないけど、このシステムって結局何がうれしいの?わざわざこのシステムを導入する意味がピンとこないんだよ。

👶;岸川部長。まず、娘さんご結婚おめでとうございます。監査部の黒崎さんが指輪してたんでわかりました。

🧓;おお、ありがとう。そうそう、あれは実はいろいろあってな。って、まあ、それはいいいんだけどさ、結局なにがうれしいのさ、その製品トレースシステムというのは。

👶;で、ですから、製品すべてにQRコードを付けることによって、その製品がリアルタイムでどれだけ作られているのか、いつ作られたかのトレースが取れるようになって、それに製品ごと各プロセスでの加工の条件や各種設備データを統合的に管理して、AIを使って・・・・

🧓;じゃなくてさ、そういうことを聞いているんじゃなくて。。何の業務がどのように変わって何が実現できるかってことだよ。

👶;ですが、この要件定義書は皆さんから聞いた話をもとに作ったので、その確認の意味でもありま・・・。

🧓;ちょっと待ってくれ、手元(下記表)にある資料はヒアリングで現場メンバーが言ったことを箇条書きにして羅列してあるだけだろ。それは要件定義とは言えないぞ・・。

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👶;え、、でも一般的にこのようなものが要件定義書の形になると思うのですが。。

🧓;一般的にということはなくて、この要件定義書では、君のアイデアが製造工程の業務をどう変えてくれるかまるでわからない。これでまさかベンダーに投げていないだろうな?

👶;いや、もう投げてしまっています。

🧓;そうなの?あちゃー。。きっとベンダからもいろんな質問が来ているだろうし、彼らも混乱してしまっているだろう。今日はもういいからもう一度課長と相談して、要件定義の練り直しをしてくれ、そしてベンダー側にはこちらに問題があってもう一度要件定義を考えるから待っててくれといってくれ、その分の費用は当然払わねばならないが、それでよい。課長の紫耀くん君の責任としてきちんとサポートしてやってくれよ。

🧒;わかりました。すみません。

🧓;謝ることはない、今でよかった。頑張ってくれ。

👶;・・・・。

◆システム作りは「要件定義」から

・・・・・・・部署の机に戻って・・・・

🧒;清史朗くん、すまんな、サポートできてなくて。

👶;何を言っているんですか、紫耀さんまで巻き込んで怒られてしまってすみません。

🧒;要件定義というところもきちんと教育できていなかった俺の責任だ。先日話した通り、「システムを外注する時に読む本」を使って基本を学んでいこう。この本には、要件定義について下記のように解説しているよ。それとTRANS BizさんのHPも紹介しておくよ。

あなたのスマホに入っているアプリであれ、会社で使う業務システムであれ、AIを搭載した最新のロボットであれ、情報システムを作るときには必ず、その動作や使い勝手、速度などを決めなければなりません。たとえば銀行のATMなら、顧客が画面から「お引き出し」というボタンを選択し、カードを読み込ませて暗証番号を入れ、最後に金額を指定することでお金が機械から出てくる、という動作を決めます。そして、操作する画面のイメージや応答速度をどのようにするのかまでを最初に決めてから、実際のシステム設計に入っていくわけです。

このように、システムと、それを使う人の動作(業務)を決める作業を「要件定義」と言うんだ。(「要求定義」・「仕様定義」と言ったりもします)。つまりは「何を作るのか」を決める作業ですから、システム作りの中で最重要と言ってよい工程であり、多くはプロジェクトの最初のほうに実施されるんだよ。

👶;なるほど。つまり、要件定義というのは、自分たちがどうしたいか、そのシステムを使う人にどう使ってもらうかというものなのですね。

🧒;そう。そして、「要件定義」は発注者が主導しなければならないんだ。

👶;確かに、、そういわれるとそれは発注側にしかわからないですもんね。

🧒;そして、この要件定義は、「業務要件定義」と「システム要件定義」に大別できるんだ。簡単に言えば、業務要件定義とは、新しくシステムを導入して、どんな業務を実現するのかということを決める作業なんだ。この時にどんなソフトにするだとか、どんな情報システムにするだとかは意識せず書き出していくんだ。君がさっき部長に見せたものもそれに近いものだ。一方、システム要件定義は、業務要件定義に書いたことを実現するために、システムが持つべき機能を書き出す作業なんだ。「トレース情報を表示する機能」「データを入力する機能」などを列挙し、各々について必要な入出力や論理演算、速度、容量、操作性、セキュリティなどを決めて いくんだ。

👶;その二つともやっぱり、発注側が主導ということですよね。

🧒;もちろん。サポートを受けるときはあるけどな。でも、特に「業務要件定義」については、発注者自身が全面的にリードしなければならない。現在の自分の課の弱点や今後の方向性を明らかにして、新しい業務をイメージする作業にるわけだから、社外ベンダにはわからないことだらけだ。ベンダーの方が製造業でかつうちの工場の業務がいきなりわかるわけがない。

👶;はい。わかりました。

🧒;そして、この本の主人公の白瀬さんも最初は全く君と同じ状況でまさにこの「業務要件定義」作業をしているんだ。システム経験がない人は、この業務要件定義において何をしていいかわからないんだよね。それで、過去事例に則って自分なりに書いて提案してみると、「で、何がしたいの?」「それで何が実現できるの?」「メリットはどうなっているの?」と頭のいい人たちにボコボコに言われるんだ。

◆要件定義の前にすべきこと

👶;まさにそうなのです・・・・。

🧒;おれもそうだったよ。(笑)それは多くの人が通る道だし、正論なんだよな。でさ、そこを抜け出すために理解すべきことがある。

👶;なんなのでしょうか?

🧒;実は業務要件定義書を書く前にやらなければならないことがあるんだ。この本では下記のように言っている。

社内全体の業務を俯瞰して、全体最適の視点から業務の問題点や新しいシステムが実現することで改善される点、全社的なメリットなどが一目でわかる資料を作成すること

例えば、この本の主人公白瀬さんは、顧客アンケート用のwebサイトを作ってマーケティングに活かしたいといっているようなんだけども、その場合だったら顧客に入力してもらった情報を、マーケティング部や営業部などに活かすことで、会社全体や顧客にどんなメリットやデメリットがあるのか、実現する業務が本当に会社の目的にかなうものなのか資料を作りながら確認する必要があるんだ。

👶;なるほど、まさに会社・顧客が何がうれしいのかというこですね。

🧒;そう。そして、その時にどんな人にも説明できる、「業務フロー図」を作る必要があるんだ。本の中では、この後、やってきたITコンサルタントにそれを学んでいくんだよ。

👶;そうなのですね。私も勉強したいです。でも、業務フローって、業務の流れを書けばいいのですよね?

🧒;いや、それだけではだめだ。その中に様々なことを「メモ書き」をしていかないと最終的に役に立たないシステムになってしまうと言われている。

👶;え?じゃあ、役に立つシステムにするために業務フローに書き込まなければならないものってなんなのでしょうか?

🧒;それはね。。おっと、もうこんな時間じゃないか。すまん、また明日解説するよ。

👶;え?そうなのですか。。気になります。

🧒;明日朝少し早く来てくれるかい?これから毎日朝に時間を取って、細川さんの著書の解説をしていこう。勤惰入力に関しては、この勉強の時間も業務時間としてカウントしてくれ。

👶;わかりました。ありがとうございます。自分でも考えておきます。

・・・・・・

 今回は要件定義について、そして業務フローの触りについて記載しました。何かIT化したいと思って提案してみたけども、、、うまくいかずという清史朗の状況になったことはないでしょうか?もしくは、そのまま突っ走ったがうまくいかなかったということはないでしょうか?業務フローを書いて要件定義にしていくところで、正直プロジェクトの成否は決まっているといっても過言ではないくらい重要だと思います。次回は、本の1章を使ってメインに業務フローの書く時の注意事項をメインに解説していきたいと思います。なお、1章は非常に重要なので数回に分けて解説していきます。(あと二回か三回を予定。)

 この本は、実際のプロジェクトでのステップを書いてくれていますので、非常に参考になります。プロジェクトにかかわる可能性のあるから是非、スキ・フォローいただければ幸いです。

また、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。

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